【開催報告】CHROラウンドテーブル2024

価値創造経営を実現するための人的資本経営の未来―組織カルチャーをキーにした変革―

  • 2024-09-30

2024年7月、PwCコンサルティング合同会社はCHROを対象としたイベントを開催しました。「価値創造経営を実現するための人的資本経営の未来―組織カルチャーをキーにした変革―」と題したこのイベントには、日本国内で人的資本経営に取り組む先進企業のCHROや人事責任者27名が一同に介し、実際に人事戦略を指揮するCHROのパネルディスカッションや、人事戦略のプロフェッショナルの講演、CHROや人事部門が真の人的資本経営を実現するために必要な取り組みにかかるディスカッションなどが行われました。

急速な経営環境の変化を受けて変わる人事部門の役割

PwCコンサルティング合同会社 執行役員 パートナー 組織人事コンサルティングリーダー 北崎 茂

人的資本への注目度が高まるに伴い、人事部門に求められる役割が変わってきています。従来の人事部門は、企業のバックオフィス機能を果たすことが重視され、例えば社員が安心して働くための労務関連業務の推進、報酬や昇進などを含む各種制度の構築、社員の能力向上を目的とする研修制度の整備などが主な役割でした。グローバルに事業展開する大手企業などでは、海外拠点を含むグループ企業で統一された人事制度を構築するといった取り組みも見られましたが、それも企業活動の土台を固める後方支援にとどまるケースがほとんどでした。

しかし、現在はその役割が大きく変わりつつあります。経営戦略や事業戦略と連動した人事戦略を実行していくことが求められるようになってきたのです。例えば、採用・育成領域においては、自社のビジョンを踏まえてどのような人材を獲得するかを戦略的に考えます。近年の働き方改革に対応しながら多様な人材を獲得するとともに、新しい人材ポートフォリオの構築や、社員それぞれが十分に能力を発揮するための組織カルチャーの再構築にも関わります。

このような変化によりCHROや人事部門の活動領域が広がっている一方で、変化のスピードの速さゆえに、人事の現場では担当者が自分たちの役割を把握できていなかったり、整理できずに混乱していたりするようなケースも散見されます。企業全体を見渡してみても、人的資本経営に向けた取り組みや人事制度改革の進み具合にはばらつきがあります。

このような背景を踏まえて、PwCコンサルティングは人事戦略の立案と実行に関するヒントを提供するためにイベントを企画し、開催するに至りました。PwCコンサルティングの強みである企業の価値創造経営および、近年の大きな経営課題である人的資本経営の実現をテーマとして、企業の成長のために人事部門がどのように貢献できるかを明らかにし、また、そのための具体策を提示しました。

27名の先進企業のCHRO・人事責任者が一同に介すラウンドテーブル

本イベントは大きく分けて3つのコンテンツ(パネルディスカッション、講演、参加者によるディスカッション)で構成されました。

パネルディスカッションは、人事戦略のリーディングカンパニーであるみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)、富士通株式会社、中外製薬株式会社から代表者を招き、人的資本経営の実現につながる人事の取り組みをテーマに行われました。

講演では、PwCコンサルティングより、企業価値の創造と向上に資する組織カルチャーを構築するための要諦を解説しました。

イベント参加者によるテーブルごとのディスカッションでは、人的資本経営において重要視しているテーマや、今後注力すべき取り組みが議論されました。パネルディスカッションや講演の内容を踏まえながら、参加者それぞれの意見や自社での取り組み、課題などを共有し、知見を深める機会としました。

みずほFG×富士通×中外製薬×PwCコンサルティング:4社のプロフェッショナルが語る人的資本経営のこれから

パネルディスカッションでは、先駆的な人的資本経営を推進し、多くのメディアでも取り上げられている、みずほFG、富士通、中外製薬の各社のCHRO、モデレータとしてPwCコンサルティングが加わり、各社のプロフェッショナルが人的資本経営に向けた取り組みを紹介し、今後の人的資本経営の進化に向けたディスカッションを行いました。

左から北崎、上ノ山 信宏様(みずほFG)、平松 浩樹様(富士通)、矢野 嘉行様(中外製薬)

左から北崎、上ノ山 信宏様(みずほFG)、平松 浩樹様(富士通)、矢野 嘉行様(中外製薬)

パネルディスカッションでは、各社の人事戦略の背景や狙いを聞くとともに、人的資本経営の実現を目指すうえでの課題などについてもお話しいただきました(詳細はこちら)。

これからの人的資本経営を支える組織カルチャーマネジメントの要諦

PwCコンサルティング合同会社 パートナー 喜島 忠典

PwCコンサルティング合同会社 パートナー 喜島 忠典

講演では、PwCコンサルティングより、人的資本経営と組織カルチャー(以下、カルチャー)の関係性をテーマとして、カルチャー変革に取り組む際の4つのポイントを解説しました(詳細はこちら)。

1つ目は、組織が目指すカルチャーの解像度を高め、社員の共感を獲得することです。カルチャー変革は経営層がメッセージやキーワードを掲げて旗振り役となりますが、実際にカルチャーを醸成するのは現場の社員です。そのため、社員が自ら変革に加わりたい、推進したいと思うように共感を得る施策が必要です。

2つ目は、論理と感情の両方からアプローチする施策を行うことです。大手企業のカルチャー変革は、ルールや仕組みに重点を置く論理系の施策が中心です。しかし、社員を変革に巻き込んでいくためには、従業員体験(Employee Experience)に着目しながら、社員が仕事に感じる誇りやチームと協業する姿勢などルールとして明文化されていない要素も取り入れていくことが重要です。

3つ目は、個人の能力だけでなく、組織力の向上に対しても投資を行うことです。そのためには、個人の能力を高めるための研修プログラムなどだけではなく、社員それぞれが部門やチームで能力を発揮できるようにするための施策や投資が必要です。

4つ目は、カルチャー変革の取り組みを最後までフォローしきることです。カルチャー変革の成果が出ない組織では、そのための具体的な行動を個人任せにしている場合が多々あります。着実に変革を進めていくためには、社員や部門長が変革の重要性を理解しているか、行動に落とし込めているかを確認し、生産性やエンゲージメントのKPIを測定しながら成果を見ていくことが重要です。

日本企業の人的資本経営を支えるためのPwCコンサルティングの取り組み

人的資本を高め、事業戦略・経営戦略に貢献する取り組みは企業にとって避けて通れない経営課題です。PwCコンサルティングは、組織人事・チェンジマネジメント分野に関する幅広い知見を持ち、グローバルのPwCメンバーファームとも連携しながら企業・組織の成長と変革に貢献していきます。

主要メンバー

北崎 茂

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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喜島 忠典

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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加藤 守和

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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土橋 隼人

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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