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PwCコンサルティング合同会社は2024年5月、企業が顧客から収集しているデータの収集範囲(一次顧客、二次顧客以上エンドユーザ未満、エンドユーザ)、およびデータ収集の活用度、データ収集における現状の課題の実態調査を実施しました。
調査からは、回答者の半数近くは何らかの形でエンドユーザまでの情報を取得しており、それらをマーケティング施策や販売戦略、品質向上、計画精度向上に活用して、売上向上や原価削減に成果を出していることが分かりました。
一方で、IoTや、外部データと自社DBの連携、他社と自社をまたがる統合プラットフォームなどの先進的なツールは、ニーズはありつつも活用事例は20%未満であることが分かりました。
今回の調査では、経営者・役員、経営企画、営業・販売業務、企画・調査・マーケティング・配送・物流業務に関わる計435人からの回答を元に顧客データのデータ連携実態を分析しました。
エンドユーザまでの情報を取得している回答者は半数近くで、BtoBのビジネスであっても40%近くの回答者がエンドユーザの情報を何らかの形で受領をしている。
BtoCのビジネスでは、ビジネスの特性上、エンドユーザまでの情報を取得している回答者が50%を超えました。一方でBtoBに特化したビジネスにおいては、40%近くの回答者がエンドユーザの情報を取得しています。BtoBのビジネスであってもエンドユーザの情報まで取得する企業が少なくありません。
今後のビジネスにおいても一次顧客よりも先の情報をいかに収集し、活用できるかが、重要なポイントの一つになると考えられます。
取得しているエンドユーザの情報の種類としては、エンドユーザから直接寄せられた意見やエンドユーザの嗜好性が間接的に参照できる情報(SNSやECの履歴)、修理/保全/設備稼働データなどの販売済製品の保全やアフターサービスなどに関連する情報を収集している傾向が見られた。
取得しているデータの種類として多いのは、購入履歴(95%)、顧客基本情報(顧客リスト/会員データ:91%)、お客様アンケート(85%)、修理/保全/設備稼働データ(75%)、コールセンターのログデータ(問い合わせ/クレーム:74%)という順でした。
このように、業務の延長線上で取得できる顧客のマスタデータや購入データが取得データとしては最も多いことが分かります。顧客アンケート、コールセンターの問合せ、修理/保全/設備稼働データなど、自ら働きかけたり、システム構築することで収集しているデータも次に多く見られました。
取得している情報のうち、エンドユーザまで取得している割合が多い情報の種類を順番に並べると、コールセンターのログデータ(問い合わせ/クレーム)が63%、SNS上の口コミ情報が60%、顧客アンケートが56%、ECサイト上のアクセス履歴(お気に入り登録や顧客嗜好データ)が54%という順でした。ただし、BtoBビジネスのみに絞って同様の情報を分析すると、コールセンターのログデータ(問い合わせ/クレーム:53%)、修理/保全/設備稼働データ(45%)、SNS上の口コミデータ(43%)という順番になります。
エンドユーザまで取得している情報としては、全体的には、エンドユーザから直接寄せられた意見やエンドユーザの嗜好性が間接的に参照できる情報(SNSやECの履歴)を取得している企業が多いことが分かります。
一方で、BtoBビジネスでは、全体の傾向と比較すると上記情報に加え、修理/保全/設備稼働データなどを収集している割合が多く、販売済製品の保全やアフターサービスに活用することをより重視しているように見受けられます。
先進的な企業では、MA(マーケティングオートメーション)やテキストマイニングなどのツール、CRMやECサイト上の情報、IoTなど何らかのツールやシステムを導入し、その結果得られたエンドユーザの情報をマーケティングや営業戦略に活かして「他社との差別化」を狙い、計画精度を高めることで、「機会損失と在庫過剰の最小化」を狙っているようである。
全体の傾向として、取得している情報は、お客様センターお問い合わせメール、お客様センター入電が圧倒的に多くを占めました。
また、MA(マーケティングオートメーション)やテキストマイニングを使用している企業も比較的多いです。
エンドユーザまでのデータを取得するために活用しているツールとしては、上記に加えて、CRMやIoTツール、ECサイトの情報が多く挙がりました。
このように、先進的なITツールを用いなくても収集できる問い合わせメールやお客様入電を収集ツールとして使用しているケースが最も多いですが、中には、MAやテキストマイニングなどのツール、CRMやECサイトの情報、IoTなど何らかのツールやシステム導入を行い、その結果得られた情報を活用しているケースも多いことが分かります。
取得したデータの活用先は、マーケティング戦略や営業戦略が多い傾向が見られました。次点で、計画業務(経営計画策定、売上予測、予算策定、需要予測精度の向上、購買計画、生産計画、在庫管理計画、輸配送計画の立案)に活用しているケースが多く見られます。
このことから、収集したデータの活用先は「1.売上を伸ばす」、「2.計画立案の精度を上げる」という目的が多くを占めていることが分かります。マーケティングや営業戦略につなげることによる「他社との差別化」や、計画精度を高めることによる「機会損失と在庫過剰の最小化」の実現を狙っているように見受けられます。
顧客データ収集の課題は、顧客サイドの協力体制、データ精度、技術的要素、工数、予算と多岐にわたり、多面的、複合的な観点で想定課題を洗い出し、それらを解決していく総合的なアプローチが必要になる。
二次顧客以上、エンドユーザまでのデータ収集の課題として最も多いのは、顧客がデータの提供に非協力的である、もしくはデータ精度が低いという理由でした。
次に、データの収集方法が分からない、データ収集はできているが分析に必要なデータが十分に得られておらず、次のアクションにつなげられないという理由が多く見られました。
さらに、データ収集に適するシステムの選定や導入方法論が分からない、または、部内の工数やリソースの不足、予算不足などさまざまな意見が見られます。
二次顧客以上のデータ収集の課題は、顧客サイドの協力体制、データ精度、技術要素、工数、予算と多岐にわたることが明らかになりました。
この結果から、二次顧客以上のデータ収集を行うためには、多面的、複合的な観点で想定課題を洗い出し、それらを解決していく総合的なアプローチが必要になると考えられます。
データを活用するにあたっての自社や自部署の課題は、スキル、プロセス、データ管理方法、リソース、ツールの使いづらさなど多岐にわたり、多面的、複合的な観点で想定課題を洗い出し、それらを解決していく総合的なアプローチが必要になる。
データ活用の上での会社や部署の課題としては、人材のスキル不足やデータ活用の業務プロセスが標準化されておらず属人化されていること、リソース不足など、人材に関する課題が最も多く見られました。
一方で、データの一元管理がされておらず、データを組み合わせた分析や管理が煩雑である、収集データが限られている、収集から分析までの時間差によるリアルタイム分析の難しさなどの技術的な課題が次に多く見られました。
このように、スキル、プロセス、データ管理方法、リソース、ツールなど複数の課題が挙げられました。自社内で収集したデータを活用するという点においても、二次顧客以上のデータ収集(質問4)と同じく、多面的、複合的な観点で想定課題を洗い出し、それらを解決していく総合的なアプローチ、人的資本経営の推進が必要になると考えられます。
顧客データの収集と活用によって、業務の効率化やコスト削減など、売上向上と原価削減の双方の観点で効果が出ている。データ分析/活用が十分に進んでいない企業は早急に対応を行うことが重要である。
データ活用の結果、感じている効果としては、売上向上が最も多く、次に業務の効率化ができたこと、モノ・サービスの品質が向上したことが挙げられています。
このことから、顧客データを収集/活用している企業においては、売上やサービス品質の向上、業務の効率化やコスト削減など、売上向上と原価削減の双方の観点で効果が出ていることが分かります。
全社統合DBが構築されていない企業は、早急に統合DBを構築することが求められる。一方で先進的な企業においては、外部データと自社DBの連携、IoTデータの活用などで他社との差別化を行うことが肝要である。
顧客データの収集と活用について導入済みのツールや必要性を感じているツールをアンケートしたところ、CRMツールを導入している企業が最も多く、次に全社統合DBとMAツールを導入している企業が多く見られました。
現時点で導入できていないが必要性を感じているツールとしては、全社統合DBと需要予測ツールが多く挙がりました。
全社統合DBの導入有無に差がある結果となりました。一般的には統合DBが構築されると、より鮮度が高く、より正確に、よりスピーディーに、人、もの、カネの情報が可視化され、迅速かつ適切な意思決定ができます。これは経営判断の速さという側面で、他社との差別化にもつながります。今後の競争に打ち勝つためにも、全社統合DBを構築し、全社情報をスピーディーに可視化できる環境を整えることは急務と言えます。
導入済企業が少ないが必要性を感じられているツールとしては、外部データ(気候、SNS、トレンド、地図)と自社DBの連携、販売済製品のIoTデータ(故障検知/予知データ)、法規制データと自社DBの連携が挙げられました。これらを活用している企業は20%未満です。
先進企業においては、これらのツールをいかに早く導入し、活用して他社と差別化を図るかが肝要になると考えられます。