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2021-12-23
2021年11月1日に株式会社肥後銀行(以下、肥後銀行)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の準備が整っている事業者を経済産業省が認定する「DX認定制度」の認定を取得しました。そこで、DX認定取得のサポートに携わったPwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)マネージャーの小形洸介が、肥後銀行でDX計画の策定と推進をリードしている経営企画部デジタルイノベーション室企画役代理の浦津明氏をお迎えして、認定取得に至る取り組みを振り返りながら、地方銀行がデジタル化の推進とDXに取り組む意義についてインタビューしました(本文敬称略)。
対談者
浦津 明 氏
肥後銀行 経営企画部 デジタルイノベーション室 企画役代理
小形 洸介
PwCあらた有限責任監査法人 マネージャー
※本文敬称略
※法人名・役職などは掲載当時のものです。
(左から)浦津 明 氏 、小形 洸介
小形
この度はDX認定の取得、誠におめでとうございます。DX認定取得の過程で苦労もあったかと思いますが、肥後銀行さんとして具体的にどのような課題や悩みをお持ちでしたでしょうか。
浦津
当初は、DX認定制度が始まったばかりで情報が少なく、「DX」という単語もさまざまな捉え方があるなかで、DX認定に取り組む意義や価値などについては行内でも議論になり、慎重な意見もありました。しかし、私が所属するデジタルイノベーション室はデジタルテクノロジーを活用することでお客さまの利便性向上に資することを目指す組織として2019年4月に立ち上がった部署で、地域社会とお客さまとの価値共創という使命を果たし、当行を含めた地域のDX推進に向けて具体的な取り組みを加速するため、DX認定の取得を目指すことにしました。
当初はビジネスライクな制度との理解のもと、拙速に申請書の作成から着手してしまいましたが、徐々にDX認定の制度設計の目的や必要なアプローチについて理解が進みました。まず、経営、戦略、組織・人材、IT、ガバナンスと広範囲であることに加え、これらを一貫して対外的に公表するためのドキュメント整理が必要だったのですが、それらをどれくらいの粒度で、どの程度詳細に行内コンセンサスを進めていくべきか、といった悩みがありました。また、DX認定制度を運営する情報処理推進機構(IPA)のウェブサイト上で毎月公表される認定事業者一覧の取り組みを見るたびに、他の事業者では制度への理解度が徐々に高まっていることを感じ、焦りを感じました。これは、経済産業省のDX認定制度のコンセプトである「デジタルガバナンス・コード」を私たちが十分に理解できていなかったことが原因で、そこからPwCあらたさんにさまざまな知見をいただきながら、キャッチアップしていきました。
小形
なるほど。まさに一般企業様も現在進行形で悩まれているポイントをいち早く掴んでいたということですね。DX認定制度も2021年度に入って、より一層の認知が進んできている実感があります。実際に、2021年8月のDX投資促進税制の施行にあわせて経済産業省がガイドライン「DX認定制度の概要及び申請のポイントについて」を公表したタイミングから、他社様からも具体的なお問い合わせを多くいただくようになりました。では、私たちPwCあらたとの連携をご選択いただいたポイントや役立ちはどういったところにありましたでしょうか。
浦津
PwCあらたさんも自社でDX認定取得に取り組まれており、知見が豊富であったことに加え、当行や地方銀行のビジネスをご理解いただけていたこと、ステークホルダー目線で客観的かつストレートなご意見をいただけたことも、連携する上で大きなポイントだったと思います。
また、単にDX認定を取得だけすれば良いというアプローチではなく、中長期的な目線でDX推進のグランドデザインのアドバイスをいただけたのも役立ちました。さらに「肥後銀行DX計画」を策定した際、どのような粒度で対外的に打ち出していくのが現実的で、既存の事業戦略と中長期計画などと、どのように整合性を取るべきかサポートいただけたのは大変役立ちました。
小形
ありがとうございます。当法人としても、デジタル社会に信頼を築くリーディングファームとして2021年8月にDX認定を取得し、当局への照会や申請書作成、不備対応を経験していることから、肥後銀行さんに対してより具体的なDX認定対応のサポートができたと思っております。
肥後銀行 経営企画部 デジタルイノベーション室 企画役代理 浦津 明 氏
PwCあらた有限責任監査法人 マネージャー 小形 洸介
小形
九州の地方銀行で初めてDX認定を取得したということで、熊本地域での反響も大きいと思いますが、今後の肥後銀行さんのデジタル化推進の取り組みを教えてください。
浦津
DX認定は取得しておしまいではなく、ビジネス変革の準備が整ったに過ぎないと認識しています。初回のDX認定取得のタイミングでDXに関する戦略をたて、計画的にDXに取り組むことでお客さまの信頼を得て企業価値をあげていく制度なのだと理解しています。また「肥後銀行DX計画」も外部環境の変化などに応じ、適宜見直していく必要があると考えており、行内で都度協議していく体制を整えています。DX認定制度は2年更新であることからも、2年後にデジタル戦略の進捗状況をいかに対外的に公表していくかも、大きな意味合いがあると考えています。
そのうえで「肥後銀行DX計画」に沿って、行内のデジタル化推進やさまざまなDX施策に取り組んでおります。現在取り組んでいる主なDX施策としては、店頭でのセルフオペレーション拡充や地域のお客様のDX推進をご支援するDXコンサルティングサービスの取り組みなどが挙げられます。また、施策を実施するために必要なDX推進人材を定義し、育成していく体制を整えています。地方銀行が地域に金融機能をご提供するのは当然のこととして、私たちはいかに非金融領域で地域社会と持続的な価値共創を進めて行くかを重要な課題として取り組んでいます。当行が力を入れているSDGs、ESG投融資に加え、地域社会のデジタル化推進およびDXの担い手として、当行が熊本地域で果たすDXの役割・期待は大きいと考えています。
地域の中小企業様へのDXコンサルティングサービスでは、このDX認定の取得で得られた知見を活かした展開を始めています。地域の中小企業にとってデジタルガバナンス・コードやDXそのものは難易度が高いため、まずは経営課題と企業規模に応じたデジタイゼーション、デジタライゼーションを推進することでビジネス変革につなげていくお手伝いができればと考えています。その点では、自治体や経済団体と連携し地域の中小企業のDXに貢献できる仕組み作りなど、地域での価値共創も考えてまいります。
また、今回のDX認定は肥後銀行としての取得になりますが、グループ会社の1つの九州デジタルソリューションズ(旧:肥銀コンピュータサービス)では、クラウドサービス事業に参入しました。私たちは九州フィナンシャルグループの一員としても、地域のDXの中核となるべくDX推進に取り組んでまいります。
小形
すばらしい取り組みですね。国内の地方銀行の差別化の方向性の1つとして、コンサルティング領域への参画が増えている印象がありますが、とりわけ肥後銀行さんの場合はDX認定を取得したからこそ、地域の中小企業様をサポートするにあたって説得力がありますね。これらに持続的に取り組むためには、リスクとオポチュニティに機動的かつ柔軟に対応することが肝要ですので、今後もデジタルガバナンスの専門家としてサポートできればと思います。本日はありがとうございました。