行動12:タックス・プランニングの報告義務

概要

行動12(タックス・プランニングの開示義務)は、タックス・プランニングの税務当局への開示制度について国内法による義務規定に関する勧告を行うことを目的とした取組みです。

行動12に関する議論については、2015年3月31日にディスカッションドラフトが公表され、パブリックコメントおよびパブリックコンサルテーションを経て、2015年10月5日に最終報告書が取りまとめられました。

最終報告書では、既に類似の開示義務制度を導入している国々(英国、米国、アイルランド、ポルトガル、カナダおよび南アフリカ等)の制度を参考にして提言内容が取りまとめられています。まず、タックス・プランニングの開示義務制度の目的および制度設計上で考慮すべき基本原則について整理した上で、各国が自国に適した制度設計が可能となるよう、ミニマム・スタンダードではなく、開示義務制度の基礎的な要素(開示義務者、開示の対象範囲、開示手続等)について、それぞれ推奨される複数の選択肢が提示(モジュラー方式)されています。また、国際的な税務スキームをターゲットとした開示義務制度を導入するにあたって、国際的な税務スキームの特徴を踏まえた留意事項について提示しています。さらに、開示された情報の各国の税務当局間での情報交換は、JITSICネットワークを活用するのが効果的であるとしています。

その後、2018年3月9日にモデル義務的開示ルールが公表され、幅広い仲介者にCRS報告を回避するためのスキームを税務当局に開示する義務を導入することで、仲介者およびそのアドバイザーを標的とし、また、オフショア資産、法人および信託の実質的な所有者を隠すストラクチャーについても報告の対象としています。

我が国においても、タックス・プランニングの税務当局への開示義務制度に関する議論が高まっていく可能性があるものと考えられるため、今後の議論の動向に注視が必要と考えられます。