03 Business

成長力の源泉

人ならではの発想とテクノロジーの活用で
多様な専門家の総合力を発揮
社会や企業の構造変革に貢献する

グループマネージングパートナー(戦略、マーケット)
鹿島 章
PwC Japan合同会社 執行役副代表
PwCコンサルティング合同会社 会長
PwC Japan有限責任監査法人 執行役

グローバルネットワークを活かして
成長に向けた事業変革を支援

2023年度の世界情勢は、ロシアによるウクライナ侵攻、原油価格の高騰、インフレや金利上昇などが懸念され、国内においてもウィズ/アフターコロナ時代に向けた経済活動の正常化を期待する声と不安の声が入り混じる1年間でした。

しかし振り返ってみると、政治・経済面のさまざまな課題がありつつも、世界経済は概ね堅調に推移しました。 PwC Japanの事業も成長を続け、業務収益は前年度比10.0%増加と9期連続の2桁成長となりました。

2023年度も、PwC Japanは事業の構造変革を推進するクライアントを継続的に支援してきました。 持続的な成長のためには、 1つ1つの事業の見直しだけでなく、企業全体としてのビジネスポートフォリオを評価し直した上で入れ替えることが求められます。 私たちは、注力分野の競争力強化のための買収、自社内でのシナジー創出や成長が難しい事業の撤退・売却といったM&Aを通じて事業構造の変革に取り組んでいるクライアントを支援しています。

例えば、自社グループ内で近接するビジネス領域で事業を展開していたり、同様の事業を別々の子会社が展開していたりする場合には、グループ内の事業再編が必要となります。このような構造的な変革を目指す複雑なプロジェクトでは、M&Aに関連した税務的な視点での検討、会計上の対応やグローバルでのガバナンス強化、それらを支えるシステム対応、そしてプロジェクト全体のマネジメントと、多岐にわたる専門性が要求されます。

PwC Japanはプロフェッショナル・サービス・ファームとして、多様な分野において高い専門性を持つプロフェッショナルがスクラムを組み、複雑な課題に直面するクライアントに高品質のサービスを提供しています。このように多様な専門家がチームとなってクライアントと一緒に課題解決に取り組む体制を私たちは「Community of solvers」と呼んでおり、これはPwCグローバルネットワークの成長戦略「The New Equation」を推進する施策の1つでもあります。 こうした体制により、私たちはさまざまなクライアントの事業変革の実現をサポートしています。

また、世界151カ国のPwCグローバルネットワークの専門家と連携するとともに、ネットワーク内で日本企業を支援する組織「Japanese Business Network(JBN)」を通じて、グローバル規模での事業変革に取り組むクライアントの国際競争力の強化を支援しています。

実績と知見を基盤に社会に
信頼される事業展開を支援

近年では、社会やクライアントが必要とする支援において、「信頼の構築」が大きなキーワードになっています。 内部監査をはじめとするガバナンスやリスク管理などの守りの分野に対し、経営を高度化する攻めの視点で強化に取り組むクライアントが増えており、私たちが持つ専門性やケイパビリティへの期待がより大きくなっているとも感じています。

例えば、さまざまな業種で行われている、決済機能を提供する金融サービス事業の立ち上げにおいては、消費者の利便性を向上するインターフェースの開発やシステムの構築だけでなく、金融サービスに関連する適切な会計・税務処理の導入、法令・規制を遵守した業務プロセスやシステムの導入などが求められます。 これらは私たちがこれまで培ってきた金融規制対応の知見と経験を活用できる領域であり、クライアント支
援を通じて、利用者ならびに社会に対して、「安心してサービスを利用できる」という信頼の構築に貢献できると考えています。

政府情報システムのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and AssessmentProgram:ISMAP)対応の支援も、社会からの信頼構築の要請に応えるものと言えます。 ISMAPは、政府が定めるセキュリティの要求水準を満たすクラウドサービスをあらかじめ評価・登録することで、一定のセキュリティが担保されたクラウドサービスを円滑に導入することを目的とする取り組みです。 この領域において私たちは、システム監査の実績やプライバシー・セキュリティ分野の専門性を活かして、安心して活用できるクラウドサービスを社会に展開していく支援を行っています。

脅威と機会の可視化によって
柔軟で的確な意思決定を支える

経営管理の高度化においては、ガバナンスやリスク管理といった守りの分野の強化が重要なアジェンダになっています。

これまでのリスク管理では、過去に発生したことがあるリスク、すなわちすでに認識できているリスクへの対策がとられてきました。 しかし現在の事業環境では、想定していないリスクが突然顕在化して大きな影響をもたらし、さらにはそれらが相互に影響し合うなど、リスクシナリオがより複雑化しています。 これからのリスク管理は、「想定していないリスクは常にあるもの」「モニタリングによって現状を把握し、リスクの大きさを常に見直すもの」という前提に立ち、レジリエンスを持って対応していくことが求められます。

そのための施策の1つとして、クライアントのリスクを可視化し、影響を把握するためのリスクダッシュボードの導入を支援しています。 リスクダッシュボードは、クライアントのグローバルデータをモニタリングできる環境を整備し、リスク事象の影響を把握する仕組みです。 リスク事象としては、地政学リスクや経済安全保障に関連した規制の変更、自然災害や感染症などによるサプライチェーンや事業運営の混乱、さらには各国・地域での輸出入に関わる税制変更や税額開示などがあり、影響を把握すべき分野は多岐にわたります。

私たちは幅広い分野に専門性を持つプロフェッショナルからなるチームを組成し、クライアントが直面するさまざまなリスクに対し、影響を把握・評価し、対応するための支援を提供しています。

非財務情報の開示を拡充し
企業価値のさらなる向上を

経営アジェンダの1つとして、サステナビリティはその重要性を増し続けています。 サステナビリティの実現には、脱炭素をはじめとする気候変動への対応、人的資本の重視や人権の尊重、またこれらを含むガバナンス体制の高度化といった課題があり、こうした取り組みを可視化するため、いわゆる非財務情報の開示が社会から求められています。

例えば、企業からの情報開示ツールである統合レポートは、かつては財務情報を主軸とした内容で構成されていましたが、環境への配慮、サステナブルな社会への貢献といった非財務分野の情報や指標を加えて、企業としての取り組み姿勢やメッセージを発信するものへと変化しています。

非財務情報も財務情報と同様に客観性と根拠を伴っていることが重要です。 私たちは、監査や保証業務などアシュアランス分野の専門性に加え、私たち自身も取り組んでいる環境負荷軽減とその計測の取り組みなどを通じて得た実務上の課題についての知見も踏まえ、クライアントの非財務情報の開示拡充を実践的に支援しています。

一方で、サステナビリティを経営戦略に組み込み、構造的な事業変革に取り組む企業も増えています。 こうしたクライアントに向けても、既存事業の評価、サステナビリティ視点を踏まえた成長戦略の立案、グループ内再編を含むビジネスポートフォリオの入れ替え、それらを支えるガバナンスの高度化とシステム導入といった幅広い領域で、高品質なサービスを提供できる体制を整えています。

デジタル分野の信頼が
新たな価値創造に結びつく

テクノロジーの進展と活用範囲の拡大が一段と加速する中で、重要性が増しているのが、生成AIをはじめとするデジタル分野の信頼(デジタルトラスト)です。

デジタルトラストは、サイバー攻撃への対策などにとどまらず、AIやドローンといった先端テクノロジーを使ったサービスやデータの利活用の分野でも求められています。 例えば、生成AIは急速に活用が拡大している新しい技術であるため、利用時におけるルールづくりが追いつかず、各国・地域で対応が始まっているものの世界的な連携が必要な分野です。 AIが学習に使用しているデータの利用についてもルールが定まっておらず、意図せずに著作権などを侵害してしまうリスクが残っています。 私たちはこれまでさまざまな領域でAIの活用を推進してきた知見を活かし、2023年3月には生成AI導入を支援する専門タスクフォースを立ち上げました(詳細は「Special Contents:Business 生成AI」参照)。

生成AIに対する社会的なニーズの大きさはまだ完全には見えていませんが、私たちが受ける相談件数が急増している現状を踏まえると、これから大きく成長することが見込まれる分野であることは明らかです。 そのため、生成AIにおけるデジタルトラストの重要性はますます高まっていくと考えています。

また、AIだけでなく、ドローンやロボットといった先端テクノロジーを活用していくための課題に取り組むべく、Technology Laboratoryでの研究や情報収集などにも力を入れています。 ここでは先端テクノロジーの専門性を持つPwC Japanのメンバーが、大学や官公庁など外部の専門家とも連携しながら、先端技術を安全に活用していくためのルールづくりやユースケースについて議論を深めています。

私たちは、社会の変化の兆しをいち早く把握し、自ら率先して取り組むことで、クライアントならびに社会の複雑な課題に対し、実践的で統合的なソリューションを提供し続けるプロフェッショナル・サービス・ファームであることを目指しています。

Special Contents

Trust
”あらゆるサービスにトラストの要素を組み込み、社会における信頼の空白を埋めていく”

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生成AI
”日本企業の内部で眠っているノウハウやデータの活用が、世界で戦う競争力の源泉になる”

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