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PwC Japanグループ アニュアルレビュー 2023

Trust

あらゆるサービスにトラストの
要素を組み込み、社会における
信頼の空白を埋めていく

久保田 正崇
PwC Japan有限責任監査法人
執行役副代表

マルチステークホルダーの視点で
専門的な知見をタイムリーに提供

コロナ禍を機にテクノロジーの活用が急速に進みましたが、新しいデジタル技術やツールも、利用者からの信頼がなければ社会のインフラにはなり得ません。 世界の至るところで既存体制にほころびが生じ、不確実性が増したことで、社会活動の根幹を成す信頼が揺らぎ、新たなトラストギャップ(信頼の空白)が生まれているのです。 もはや「信頼」は当たり前に存在するものではありません。 企業や組織のサステナブルな成長のためには、自分たち自身と自分たちが提供するサービスに対する、社会からの信頼を構築していくことが求められます。

その際に直面する課題の1つは、自らへの信頼を自ら評価するのは難しいということです。 独りよがりの評価に陥らないためには、顧客、取引先、株主、従業員、地域や社会を含むマルチステークホルダーの視点で客観的に評価し信頼を保証することが重要です。 また従来は、商品・サービスそのものや、財務情報の適切な開示が中心となって企業の信頼が構築されましたが、近年は温室効果ガス排出量、男女の賃金比率、人権や生物多様性への配慮といったESG経営に関わる非財務情報まで、根拠がありかつ広範な開示が求められます。

しかし、こうした保証や開示に対応できる幅広い分野の専門家を社内で育成することは、時間やコストの面で大きな負担となるでしょう。 信頼構築の内製化が難しいからこそ、客観的な視点で、専門的な知見をスピーディかつタイムリーに提供できるプロフェッショナルが必要なのです。 そのような外部組織と連携することで組織はサステナブルな成長を実現でき、テクノロジーを活用する新たな事業についても、ユーザーからの信頼を礎に大きくスケールさせることが可能となります。

PwCは、監査をはじめ、ガバナンス、データセキュリティなど幅広い領域の支援を通じて、企業の信頼を長期にわたり守ってきました。 また、時代に合わせて変化する組織の経営方針、体制、サービス内容に対して新たな信頼を構築するという点でも、私たちは企業の事業変革やテクノロジー導入において戦略の立案から実行に至る全ての活動に信頼を組み込み、「攻め」の信頼構築を支援できるという大きな強みがあります。

信頼はあらゆるビジネスの基盤であり、信頼のない社会では、人々の将来への希望も奪われてしまいます。 これからの社会を変えるカギとなる「信頼」の構築支援は、私たちだからこそ担えるのだと自負し、その努力と取り組みをたゆまず続けてまいります。