STORY Part1 海外での悔しさをバネに。
ロシアでの挫折。それが私の出発点です。学生時代にロシアに留学していた私がインターンシップに参加したのは、さまざまな分野を担う現地のコンサルティングファームで、事業のなかには日本のスタートアップ企業の支援も含まれていました。私が担当することになったのは、「本物のラーメンをロシアに届けたい」と出店を決めたラーメン店経営者で、市場分析や商品開発のサポートなどが主な業務でした。しかし、学生の私が日中に市場調査に出向いて商品分析を行い、隙間時間でビジネスロシア語を勉強するのは想像以上にハードで、結局十分なサポートが果たせず、当初想定していた事業内容は挫折に追い込まれてしまいました。「自分はあまりにも未熟だ」。大きな悔しさを残して、インターンシップは終了。就職活動でコンサルティング業界を志望したのは、この経験が忘れられなかったからです。
PwCコンサルティングに入社した決め手は、自分に足りていないスキルを高いレベルで習得でき、かつそれらを活かすための総合的な視座を得ることができると考えたからです。偶然にも、PwCグループのブランドカラーは、私が最も好むオレンジ色。「ここだ」という運命を感じましたね。
ロシアでの失敗は、複数の物事を並行して進められなかったことが原因でした。多忙な経営者にコンサルティングサービスを提供するなら、自分自身も同程度の速度で仕事をすることが求められます。そこで、入社1年目に「マルチタスク処理の能力を高める」という目標を立てました。意識したのは、とにかくタスクを細分化すること。週次報告書に、「どのようなことを」「いつまでに」「どんな優先順位で」終わらせ、上司からのフィードバックをどのように自分に落とし込むかを明記して、小さな仕事を終えるたびに立ち止まって現状を俯瞰するように意識しました。
しかし、努力はなかなか実を結びませんでした。自分の考えは間違っているのか。葛藤する日々が続きました。タスクがあふれてクライアントに迷惑をかけてしまい、その不甲斐なさに涙を流すことさえありました。そんな時に先輩が教えてくれたのが「クライアントが何を求めているのかを正確に理解すること」で、「仕事の効率化につなげる」という考え方。「速度」「量」「質」。いま重要なものが何かを見極めることで作業に対する考え方が変わり、徐々にマルチタスクをこなしていけるようになりましたね。