
自動車部品メーカー、ヘルスケア領域へ挑むOneTeam戦略とは
創業71年目のゴム製品メーカー株式会社フコクがライフサイエンス事業という異業種への新規参入の壁をどう乗り越えたのか、その過程をOne Teamとして支援したPwCコンサルティングのメンバーと語り合いました。
高齢化の進展、テクノロジーの進化、医療データやPHR(Personal Health Record)の利用環境の整備などが進むなか、ヘルスケア業界が対象とする領域は、病気を治療するという従来の範囲から大きく拡大してきています。保健および予防、さらには日々の生活を自分なりに豊かに過ごすためのツールやサービスを提供することが求められ、そのためには多様なテクノロジーを活用し、多くのステークホルダーと連携することが必要とされています。
一方で、ヘルスケアに係る事業は人の命に関わる製品やサービスを提供するだけに、固有の規制が存在し、また公的保険が適用されて主に国・自治体によって担われてきたことから、収益を捻出することが難しいのも事実です。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、日本のヘルスケア業界におけるデジタル化の遅れという課題を浮き彫りにしました。これらの課題を解決するためには、法規制やステークホルダー間の垣根を取り払い、革新的かつ人に優しいテクノロジーを利活用することが望まれます。
ヘルスケア業界をとりまく課題の解決を目指して、PwCは「ヘルスケア参入支援(Healthcare entrants initiative)」と銘打ち、専門知識や経験を持つ人材が業界の枠組みを超えて協働し、ヘルスケア業界への新規参入や事業拡大を検討している企業を支援します。
Beyond Health(日経BP社)に、「ヘルスケア参入支援(Healthcare entrants initiative)」の取り組みを掲載しました。
参入支援に特化したチームでビヨンドヘルスを支える―あらゆるステークホルダーのハブとなりヘルスケアのエコシステムを構築する
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ヘルスケア参入支援を行うにあたり、PwCには大切にしている考えが2つあります。
ライフステージや社会的背景、時代環境などにより、患者や個々人のヘルスケアニーズは異なります。PwCは、そうした個人ごとの相違や変化に応じた施策を細やかに立案し、実現に結び付けることを重視しています。
また、医療従事者、ケア従事者の負担を軽減するなど、治療やケアの担い手に配慮し、寄り添うことも心がけています。
PwCでは、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーで構成されたチームが、フラットな立場でサポートをすることにより、複雑なビジネス課題の解決に貢献します。また、より多くのステークホルダーに利益が還元される包括的なエコシステムの形成を目指します。
経済産業省によると、ヘルスケア業界の市場の50%以上は、公的医療保険および介護保険からの給付が占めています。これら公的保険の対象サービスには、保険財政の逼迫、医療従事者や介護の担い手といった人材の不足や偏在などの課題が山積しており、将来にわたり持続させることが困難な状況にあります。今後も人口構造や医療・ライフスタイルの変化に伴って寿命の延伸が予想され、国の財政難や医療・介護資源の確保難などが続くことが想定されています。
こうした課題に対し、健康維持・増進や介護予防などに係るサービスは公的保険の対象外であり、医療費や介護給付費の適正化に寄与する可能性があります。また、公的保険の対象サービスに比べて異業種から参入しやすいため、例えばデジタル化の推進により人材不足を補うといった効果も期待できます。これらのサービスは現在の医療・介護業界が抱える課題を解決する可能性がある上に、2025年度に約33.1兆円に拡大することが予想されるなど、今後も成長が見込める魅力のある市場と言えます(図表1)。
ヘルスケア業界の変化は、「用途・目的の広がり」「個人の生活への浸透度」「テクノロジーの進化」の3つの側面でも捉えることができます。こうした変化に伴い、技術革新やデジタルテクノロジーの活用が求められており、多様な業界からの支援や提携によって創出されるソリューションへの期待がますます高まっています(図表2)。
PwCコンサルティングが2022年9月に実施したアンケート調査において、ヘルスケア事業への新規参入状況について調べたところ、「既に事業実施中」とした企業は24.9%に上りました。また、今後算入の余地がある企業(「参入を検討中」「参入を検討予定」「検討可能性あり」の合計)は44.8%となり、合わせて約7割の企業がヘルスケア事業に関心を寄せていることが明らかになりました(図表3)。
しかし新規参入の課題として、回答企業の42.2%は人材の不在や不足、35.7%はビジョン・戦略立案の困難さ、36.4%が実行計画の欠如を挙げていることも分かりました(図表4)。
この背景には、ヘルスケア業界の持つ特殊性、法規制の煩雑さなどがあり、必要とされるケイパビリティが多岐にわたることが挙げられます(図表5)。
ヘルスケア業界に新規参入するに際しては多くの障壁があり、またさまざまな企業が同業界への参入を検討していることから、厳しい競争が生じる可能性があります。しかし、PwCは次の4つのポイントを抑えることで、勝ち筋が見えてくると考えています。
ヘルスケア業界では、個々の患者や住民のニーズに即した「パーソナライズドケア」や、「個別化医療」という考え方が広がりつつあります。PwCは、従来からの医療業界のプレーヤーである製薬企業や医療機器メーカー、医療機関などに対する支援を行ってきた経験や、住民のヘルスケアニーズに応える地方自治体など向けの支援実績を豊富に有しています。こうした経験や実績、知見を活かすことで、患者や住民の個別化されたニーズの解決をサポートします。
PwCは産官学との連携によって新たなテクノロジーを活用したヘルスケア課題の解決を図るための取組を行っています。こうした取り組みを通じて得られた知見や、PwCのグローバルネットワークを通じて得られる最新の情報、科学によって実証された効果に基づき、事業の価値を訴求する必要があると考えています。
ヘルスケア事業でのマネタイズには困難が伴いますが、PwCはヘルスケアエコシステムを築くことで、事業価値の最大化を実現し、より多くのステークホルダーに利益を還元することができると考えます。
さまざまな業界においてコンサルティングサービスを提供してきた経験、それらを通じて得られた知見を有する人材が、それぞれのケイパビリティと人脈を活かすことにより、多くのステークホルダーを結びつけます。
テクノロジーの進展を背景に、より専門性の高い技術がヘルスケア業界に必要とされています。さまざまな企業がそれぞれの得意分野を活かし、結びつくことで、他に類を見ない技術開発や、サービスの充実などが実現します。自社の製品や技術に固執しない姿勢を持つことが望まれる中、PwCは、クライアント企業の事業に必要なパートナー探しをサポートします。
グローバルネットワークを通じて培ったPSP分野における豊富な経験と、日本の医療業界に関する深い知識をかけあわせることで、高い付加価値をもたらすさまざまなソリューションを提供します。
ヘルスケア業界およびデジタル技術に精通したプロフェッショナルがスクラムを組み、クライアントの医療機関と併走しながら、DXおよび経営改革に関する構想の策定から実装、稼働後の運用サポートまでを一貫して支援します。
創業71年目のゴム製品メーカー株式会社フコクがライフサイエンス事業という異業種への新規参入の壁をどう乗り越えたのか、その過程をOne Teamとして支援したPwCコンサルティングのメンバーと語り合いました。
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ヘルスケア事業を本業としていない企業を対象に、ヘルスケア事業への参入意欲や参入に際しての課題などについて調査し、分析を行いました。
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従来タブー視されがちだった女性の健康問題について、これからの社会における重点領域であるとの認識を広めるにはどのようなアクションが必要なのか。フェムテックに携わる専門家をお招きし、お話を伺いました。
介護ロボットの開発者として活躍する、いとうまい子氏をゲストに迎え、高齢者のニーズに寄り添う技術と産官学が連携した新たな産業基盤の構築のあり方について意見を交わし、介護・ヘルスケアの未来像に迫りました。
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本鼎談ではカレンダーアプリ「ジョルテ」を運営し、脳の健康研究に踏み出した株式会社ジョルテの代表取締役・下花剛一氏をお招きし、ウェルビーイング実現に向けた脳の健康管理を促すポイント、データの民主化、エコシステム形成のためのアプローチについて聞きました。