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2022-05-31
コロナ禍を契機に急速に進展したリモートワークも、ここ1年ほどで社会に相当程度浸透してきました。このような状況下において、私は育休明けとなる2021年1月に部門異動を経験し、リモートワークの環境下で未経験の仕事を面識のない方々と進めていくことになりました。その中で試行錯誤することにより、オンラインでのコミュニケーションにおける課題が2点見えてきました。これは、リモートワーク環境下において入社または部署異動した職員や、学校の講義・授業を受ける学生の皆さんであれば誰もが直面し得る課題だと考えています。そこで、今回は私自身の経験から得た、オンライン環境において円滑なコミュニケーションを図り、人間関係を構築するためのコツを紹介します。
PwCあらた有限責任監査法人のアシュアランス・イノベーション&テクノロジー部は、法人全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する部門であり、機能別に分けられたチームごとに社内の課題を発見し、問題解決を行ったり、新たな支援策をゼロから創造したりすることが求められます。チームで業務を進めるにあたってはメンバー同士の相互理解を深めることが重要だと言われていますが、その理由としては、人柄・価値観・バックグラウンドなどを理解し合うことでメンバー同士の信頼関係やチーム内の連携が強くなり、コミュニケーションが円滑になり、結果的に生産性の向上につながるからだと考えられます。
しかしながら、オンラインでコミュニケーションを行う際の課題としては、業務を進める相手との距離を縮めるきっかけが少ないことが挙げられます。対面で話したり、食事をともにしたりする機会が大幅に減少したため、物理的に同じ空間を共有していた時には自然に発生していた、業務以外の事柄を話すという機会は失われてしまいました。その結果、お互いの人柄・価値観などを把握できないまま、業務を遂行しているようなこともあるのではないでしょうか。
このような課題を解消するために、私は意識的に雑談の機会を増やすなど、リレーションを形成するための取り組みを始めました。例えば、ミーティングの際に状況が許せば雑談をはさみ、共通した価値観やその人となりを理解する機会を設けることで話しやすい環境を作りました。また、趣味や生活の話から共通点を探し、そこから話を広げていきました。
一緒に仕事をするメンバーの考え方や価値観などを理解することにより、当初ほとんど面識がなかったチームメンバーに対しても職階の違いに関係なく、親近感・信頼感を持つことができました。その結果、質問、進捗やトラブルの共有、フォローなどさまざまな場面で素早く連携できるようになり、チームの生産性向上に貢献ができたと感じます。
オンラインコミュニケーションにおける2つ目の課題は、相手の反応が見えにくいことです。特にカメラオフでのミーティングやチャットツールでのコミュニケーションでは、表情や身振り手振りなどのノンバーバルコミュニケーションが生まれないため、自分の意見に対する相手の反応を正しく察知したり、推測したりすることが難しく、意思疎通のしづらさを感じることもあるのではないでしょうか。
この課題を解消するため、私はオンラインでも伝わりやすいノンバーバルコミュニケーションを実践するようにしました。例えば、週平均12回、合計で8~9時間程度ミーティングに参加してチームコミュニケーションを取る機会があったのですが、その際にカメラを活用し、意識的に相槌を打ったり、積極的に発言したりすることを心がけました。また、アイスブレイクの時間を設けたり、会議の参加者が多い時にはウェブ会議ツールのテキストチャット機能を活用してコメントしたりするなど、ちょっとした工夫を積み重ねています。自分がプレゼンターを務める際にはモバイルモニターを活用し、画面投影時にも参加者の反応が見えるようにしています。
その結果、相手に自分の意図をより正確に伝えることが可能になったと感じています。また、相手から自発的にカメラをオンにしてもらえる場合には、相手の表情・状況を視覚でとらえることが可能になり、双方において、先入観なく相手の状況・本心を汲み取ることができるようになったと感じています。オンラインでもオフラインに近いような感覚でミーティングを行うことができ、チームメンバーへの理解が深まるとともに、信頼関係が構築されて、チームへの帰属意識がより高まったと思います。
リモートワーク、そして今後はハイブリッドワークが浸透していく中で、オフィスで働くメンバーとリモート環境で働くメンバーの間で垣根なくリレーションを構築していくことがますます重要になると考えられます。
オフラインで働く立場としては、オンラインでの就業経験に基づいてオンラインで働く状況をイメージし、どうすればオフラインで働く立場の人とうまく連携し、生産性を上げていけるかを考えていく必要があると思います。また、オンラインで働く立場としては、ツールを使って効果的なコミュニケーションを実現しようとするマインド、それを実現するための工夫が必要だと考えます。オンラインとオフラインのどちらかの働き方を良しとするのではなく、それぞれの働き方を尊重・理解した上で相互に工夫しあうことで、組織において多様な働き方が浸透していくのではないでしょうか。多様な働き方を実現するためにできることを今後も自分なりに考え、実践し、得られた経験を共有していきたいと思います。
太田 ゆり
シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人