リアルタイムなデータ活用を実現するために必要な2つの要素

2020-10-14

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は、「デジタル社会に信頼を築くリーディングファーム」となることをビジョンとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と個々のデジタルスキル向上に取り組んでいます。

ここでは私たちの監査業務変革の取り組みや、デジタル化の成功事例や失敗を通じて得た知見を紹介します。これからデジタル化に取り組まれる企業やDX推進に行き詰まっている企業の課題解決にお役立ていただければ幸いです。

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

日々増加するデータから有用な知見を引き出し、課題解決や意思決定に役立てようとされている企業は多いのではないでしょうか。人工知能(AI)やデジタルツールを活用すれば、データを活用した現状の見える化や異常検知、将来予測をリアルタイムに行えるようになる可能性があります。PwCあらたも、リアルタイムにデータを分析し、その分析結果をもとに被監査会社とコミュニケーションを取りながら監査を行うという未来を描き、AIやツールの研究・開発を進めています。その中で得た知見として、リアルタイムなデータ活用を実現するために必要となる2つの要素をご紹介します。
 

「リアルタイム監査」という未来

監査におけるAIやデジタルツールの活用領域が拡大していく先には、「リアルタイム監査」が実現すると考えています。リアルタイム監査とは、被監査会社からリアルタイムに共有されたデータをAIが解析して瞬時に不正や誤謬を検知し、その解析結果をもとに、監査人が適時に被監査会社とコミュニケーションを取りながら、監査を進めていくというものです。被監査会社が仕訳を計上するたびにAIが解析し、不正や誤謬の可能性が高い仕訳を瞬時に監査人が把握するということができるようになるかもしれません。

こうしたリアルタイムなデータ活用を実現させるためには、少なくとも2つ、必要となるものがあります。

一つはデータの安全な運搬です。例えば、リアルタイム監査では、被監査会社の会計システムから監査上必要なデータを抽出し、データプラットフォームに移動して分析を行うことになります。抽出ツールの不具合やセキュリティの甘さによってデータが外部に漏えいしてしまうと、監査法人だけでなく被監査会社にとっても多大な影響があり、ビジネスそのものを壊してしまう可能性もあります。このようなリスクを低減しながらリアルタイムなデータ活用を実現するため、PwCあらたは、被監査会社のERP(統合基幹システム)から会計データを自動抽出し、暗号化・圧縮してPwCのセキュアなデータプラットフォームに連携するツールであるExtractの導入を進めています。また、データを安全に移動するだけでなく、セキュアな環境にデータを格納し、その中で分析が行えるデータプラットフォームも、リアルタイム監査を実現する上で欠かせないものとして整備しています。

もう一つは、使用するデータの標準化です。使用するデータの標準化です。データといっても種類や形式はさまざまです。そのため、収集したデータをAIが分析できるよう、あらかじめデータをクレンジング(加工)しておく必要があります。Extractはあらかじめ設定した取得条件に従いデータを抽出するため、常にAIやツールに適した形でデータを取得でき、データ加工の手間を省くことを可能にします。

「リアルタイム監査」 という未来

リアルタイム監査の実現にはデータの安全な運搬とデータの標準化が必要

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リアルタイムな データ活用がもたらすものとは

リアルタイムなデータ活用がもたらすものとは

抽出したデータをセキュアな環境に格納し、AIやデジタルツールに適した統一的な形式に加工することで、AIやデジタルツールの活用領域が拡大していくと考えます。日々生み出されるデータをリアルタイムに活用できるようになれば、従来よりも早く異変に気付き、適時に適切な対応が取れるようになる可能性があります。

リアルタイム監査が実現した暁には、AIによる解析結果やビジュアライゼーションツールにより可視化された情報をもとに、監査人が被監査会社と適時に円滑なコミュニケーションを行えるようになり、より高品質な監査を実現できるようになると考えています。

執筆者

久保田 正崇

代表, PwC Japanグループ

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近藤 仁

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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Tomorrow's audit, today――次世代監査への取り組み

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