半導体サイバーセキュリティに関する業界標準/規格SEMI E187とは

  • 2024-07-29

SEMI E187制定の背景

半導体業界の地政学リスク・セキュリティリスク

半導体はデジタル製品から防衛装備品に至るまで幅広く利用されており、経済と安全保障の両面から戦略的物資に位置付けられています。近年の半導体不足によりさまざまな業界が大きな影響を受けたように、半導体業界・企業がひとたびサイバー攻撃を受けると、関連するサプライチェーンや社会インフラ、事業の停止などにつながることもあり、各国の経済活動・安全保障に甚大な影響を及ぼしかねません。

PwCのインサイト「地政学リスクが映すサイバーインテリジェンスの重要性」で言及しているとおり、PwCがグローバルでサイバー攻撃を観測している中でも、日本国内の半導体企業を標的とするサイバー脅威アクターが確認されており、米国、日本、オランダ、台湾が主な標的となっています。

半導体のサプライチェーン

半導体のサプライチェーンは米国・欧州・中国・台湾・韓国・日本など、世界中に広がっており、地政学リスクを孕んでいることは前述のとおりです。

さらに、半導体製造工程のサプライチェーンは設計・前工程・後工程の大きく3つに分けられ、設計・前工程・後工程を一貫して行う垂直統合型デバイスメーカー(IDM:Integrated Device Manufacturer)、設計のみを行うファブレス、前工程のみを行うファウンドリ、後工程のみを行う外部委託半導体組立てテストメーカー(OSAT:Outsourced Semiconductor Assembly and Test)と、プレーヤーごとに担当する領域が異なります。

例えば、ファウンドリ企業の場合においては、いわゆるファブ装置(半導体製造装置)を装置メーカーから購入し、自社の工場にて維持・運用しながら、半導体を製造しています。

このように半導体のサプライチェーンは世界各国のさまざまなプレーヤーが密接に関係し合っており、地政学リスクが高まるなか、サイバー攻撃のリスクも高まり、その被害がサプライチェーンの各プレーヤーに大きな影響を及ぼす可能性があります。

半導体を製造するには、この製造装置が不可欠であり、機器の導入、半導体の製造、装置の運用という各プロセスにおいて、セキュリティ脅威への対策をとることが求められます。

法規制

このような半導体業界における地政学リスクやサイバー脅威の高まりを受けて、各国は法規制、セキュリティ規格、ガイドラインなどの制定、施行を進めています。

米国のCHIPSプラス法※1、EUの欧州半導体法※2、中国の中国製造2025※3のほか、日本では2022年5月に成立した経済安全保障推進法※4では半導体がサプライチェーン強化対象の特定重要物資に指定されるなど、各国は対策強化の動きを強めています。

このような動きは半導体業界団体も同様であり、半導体業界の国際団体である「SEMI」は半導体セキュリティ規格を公表しています。

執筆者

藤田 恭史

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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神田 健生

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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日隈 聖也

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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