ジェネラル・コーポレート・プラクティスニュースレター (2024年12月)

PwC弁護士法人のジェネラル・コーポレート・プラクティスニュースレターでは、企業において日々生起する法的な課題の解決に有益と思われるトピックを取り上げて、情報を発信して参ります。

今回は、以下の3つのトピックを紹介します。

トピック1: 機能性表示食品制度等の改正

トピック2: 育児・介護休業法等の改正

トピック3: フリーランス法施行と下請法を踏まえた留意点

トピック1:機能性表示食品制度等の改正

1. 背景

2024年8月23日、サプリメント製品(機能性表示食品)による健康被害事案を受けて、食品表示基準及び食品衛生法施行規則が改正され、機能性表示食品及び特定保健用食品に係る制度等が改正されました。

機能性表示食品とは、疾患に罹患していない者を対象として、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除きます。)が期待できる旨の表示をする食品を指します(食品表示基準第2条第1項第10号)。当局の許可を必要とせず、科学的根拠に裏打ちされた安全性・機能性に関する資料等を消費者庁長官に届け出ることで販売が認められる点(同号イ)、及び、最終製品を用いたヒト試験(人に食品を摂取させる試験)を行うことは必ずしも必要とされず、最終製品又は機能性関与成分に関する複数のヒト試験の結果(文献)を収集して総合的に評価する、システマティック・レビューを以て科学的根拠とし得る点が特徴です。

これに対し、特定保健用食品とは、からだの生理学的機能等に影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品を指し(健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令第2条第1項第5号等)、一般に「トクホ」と呼ばれています。機能性表示食品とは異なり、販売には、有効性及び安全性について国の審査を受けた上で、表示について消費者庁長官の許可等を得る必要があり(健康増進法第43条第1項、第63条第1項、第69条第3項)、また、科学的根拠としては、原則として、最終製品を用いたヒト試験が必要とされています。

2. 改正の概要

今般の改正事項は多岐にわたりますが、主要なものは以下のとおりです。

(1) 健康被害情報の収集・提供の義務化

従前より、食品全般について、健康被害に関する情報を得た場合、営業者は都道府県知事等に情報提供するよう努めるものとされていました(食品衛生法第51条第2項、同法施行規則第66条の2第3項、別表第17第9号ロ)。

今般の改正では、かかる食品全般の健康被害情報の提供については努力義務を維持した上で、特定保健用食品の許可取得事業者及び機能性表示食品の届出者について、健康被害*1に関する情報を収集すること、及び、健康被害の発生・拡大のおそれがある旨の情報を得た場合には、速やかに都道府県知事等に情報提供することが義務付けられました(食品衛生法第51条第2項、同法施行規則第66条の2第3項から第5項、別表第17第9号ハ*2)。また、当該情報については、消費者庁長官に提供することも求められています*3

かかる改正は、2024年9月1日から施行されているため、関連通知等*4を踏まえて適切に対応する必要があります。

(2) サプリメント形状の機能性表示食品に係るGMPの義務化

ア 改正の概要

錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の食品については、従前より、通知*5(以下「錠剤、カプセル剤等通知」といいます。)において、事業者が自主的に、GMP(Good Manufacturing Practice、適正製造規範)に従った製造管理及び品質管理を図ることが望ましいとされていました。また、以前、消費者庁が制定していた「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」*6では、機能性表示食品のうちサプリメント形状の加工食品について、GMPに基づく製造工程管理が強く望まれるとされていました。

今般の改正では、錠剤、カプセル剤等通知別添2と同様の内容の告示*7(以下「GMP告示」といいます。)が示され、かかるGMP告示に基づく製造管理及び品質管理がサプリメント形状*8の機能性表示食品の届出者の法的義務とされました(食品表示基準第2条第1項第10号ロ、別表第26の4の項イ、第27の2の項第1号)。

かかる改正は、2024年9月1日から施行されていますが、2026年8月31日までは、「なお従前の例によることができる」とされています*9

イ GMP告示の概要

製品の適性な製造及び品質確保には、原材料の受け入れから最終製品の出荷に至るまで*10の全工程において、主に作業員、機械等による製造行為に着目した製造管理と、原材料、中間製品、最終製品の試験等、品質の確認行為に着目した品質管理を組織的に実施することが必要であり、①各製造工程における人為的な誤りの防止、②人為的な誤り以外の要因による製品そのものの汚染及び品質低下の防止、③全製造工程を通じた一定の品質の確保という3つの観点から管理システムを構築することが重要です(錠剤、カプセル剤等通知別添2の第5参照)。

GMP告示は、このような基本的な考え方を背景に、例えば、以下のような遵守事項を定めています*11

① 各製造工程における人為的な誤りの防止の観点

  • 製品標準書、製造管理基準書、品質管理基準書及び各種手順書を作成し、これらに基づいて製造管理及び品質管理に必要な業務、出荷管理等の各種業務を行うこと(GMP告示第6条、第8条、第9条、第10条等)
  • 作業員等に対する教育訓練の実施(GMP告示第12条第2号、第18条第2項)
  • 原材料の保管・出納、製品の製造・加工、採取検体の試験検査等の各種作業の記録の作成及び保管(GMP告示第7条第2項、第8条第3号、第9条第2号等)

② 人為的な誤り以外の要因による製品そのものの汚染及び品質低下の防止の観点

  • 作業室を専用化するなど、交差汚染を防止できる構造設備の構築(GMP告示第19条第3号)
  • 機械器具、容器等で製品等に直接接触する部分は、製品を変化させない材質のものとし、また、製造機械は潤滑油等により製品を汚染しない構造とすること(GMP告示第19条第5号)

③ 全製造工程を通じた一定の品質の確保の観点

  • 製造所等ごとに総括責任者を設置し、その下に、製造管理責任者及び品質管理責任者を設置すること*12(GMP告示第5条第1項、第2項)。
  • 製品の品質に大きな影響を及ぼす製造手順等の変更がある場合等に、バリデーション*13を実施すること(GMP告示第11条第1項第2号等)
  • 作業室及び機械設備を、製造工程の順序に従って合理的に配置すること(GMP告示第19条第6号)

(3) その他機能性表示食品制度の信頼性確保のための改正

以上に加え、機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置として、同制度に関し、以下の食品表示基準の改正も行われています*14

① 届出日以降の科学的知見の充実により機能性関与成分について特定の保健の目的が期待できる旨の表示をすることが適切でないと消費者庁長官が認めた食品は、機能性表示食品の要件を満たさないことを規定(食品表示基準第2条第10号ハ(5))

② 「機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない旨」、「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない旨」、及び、摂取する上での注意事項として、医薬品等との相互作用や過剰摂取防止のための注意喚起を具体的に記載する等、表示の方法や表示の方式等を見直し(食品表示基準第3条第2項、第8条、第22条第1項第4号、別表第20)

③ 届出者の遵守事項として、届出者は、遵守事項を遵守していることを届出後1年ごとに自己評価し、その結果を毎年消費者庁長官に報告することを規定(食品表示基準第2条第1項第10号ロ、別表第27の4の項)

④ (ⅰ)当該食品に関する表示の内容、(ⅱ)食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、(ⅲ)安全性及び機能性の根拠に関する情報、(ⅳ)生産・製造及び品質の管理に関する情報、(ⅴ)健康被害の情報収集体制、並びに、(ⅵ)その他必要な事項について、届け出られるべき情報として具体的に規定するほか、様式等については内閣府告示で定めることを規定(食品表示基準第2条第1項第10号イ、別表第26)

⑤ 届出実績がない新規の機能性関与成分について、届出資料の確認に特に時間を要すると消費者庁長官が認める場合には、販売前の届出資料の提出期限について、原則として60営業日前までとしているところを、特例として120営業日前までとすることを規定(食品表示基準第2条第1項第10号イ)

これらの改正のうち、①、②及び④(ⅴ)については、2024年9月1日から施行されています。ただし、②については、2026年8月31日までは、「なお従前の例によることができる」とされています*15。また、③から⑤(④(ⅴ)を除きます。)については、2025年4月1日から施行されます。

3. 法務の視点

以上のとおり、今般の改正事項は多岐にわたりますが、法務の観点からは、サプリメント形状の機能性表示食品の製造委託契約に留意する必要があります。

機能性表示食品については、OEMを委託する企業(届出者)も少なくない印象ですが、たとえOEMであっても、サプリメント形状の機能性表示食品の製造者等がGMP告示に従って製造・加工を行うことを確保することは、届出者の責務とされています*16(GMP告示第4条第1項)。したがって、今後、OEM契約を含め、サプリメント形状の機能性表示食品の製造委託契約を審査する際には、GMP告示の遵守が委託先に義務付けられているかの確認が必要です。

また、既存の製造委託契約の見直しも必要です。前記2.(2)アのとおり、従前より、錠剤、カプセル剤等通知では、事業者が自主的にGMPに従った製造管理及び品質管理を図ることが望ましいとされていたこと等もあり、既存の製造委託契約において、例えば、民間団体のGMP認証基準や国際基準の遵守等を委託先に義務付けていた企業も少なくないのではないかと思われます。もっとも、今般の改正でサプリメント形状の機能性表示食品の届出者に課せられた法的義務は、GMP告示への適合であり、民間団体のGMP認証基準等を遵守していれば直ちにかかる義務を果たしたことになるわけではありません*17。既存の製造委託契約の内容を維持する場合、委託先に遵守を義務付けていた民間団体のGMP認証基準等が、GMP告示の内容を漏れなくカバーしているかについて、確認の必要があります。

なお、以上の点は、製造委託先が国外の製造者等であっても異ならず、特に、国外の製造者等が製造国におけるGMP認証等を受けていたとしても、直ちに日本のGMP告示に適合していることにはならない点に留意が必要です*18

トピック2:育児・介護休業法等の改正

令和6年5月24日に、育児・介護休業法と次世代育成支援対策推進法に関する「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律」(以下「令和6年改正法」といいます。)が成立し、同月31日に公布されました。さらに、同年9月11日に、令和6年改正法に関連する政省等令が公布されました。令和6年改正法のうち育児・介護休業法に関する改正については令和7年4月1日及び同年10月1日に施行されます。
本ニュースレターでは、令和6年改正法に基づく改正のうち、育児・介護休業法の主な改正内容について説明します。なお、本ニュースレターでは、改正後の育児・介護休業法を「本改正法」、改正後の育児・介護休業法施行規則を「本改正規則」と表記します。

1. 令和6年改正法の概要

令和6年改正法の概要は以下の3点です。

① 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
② 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化*19
③ 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

以下、各項目について説明します。

2. 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

本改正法による子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充により、現行の制度が下記の図のとおり変更されることとなります。

出典:厚生労働省HP「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要(令和6年法律第42号、令和6年5月31日公布)」2頁の一部*20

(1) 柔軟な働き方を実現するための措置等(本改正法第23条の3、本改正規則第75条の2から第75条の10)(施行日:令和7年10月1日)

事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者(引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者等については労使協定により対象外とすることが可能です。)に関して、以下の5つの措置の中から、2つ以上の措置を選択して講ずることが義務付けられることとなります。
そして、対象の労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができるようになります。

始業時刻等の変更
フレックスタイム制、時差出勤の制度

テレワーク等
一日の所定労働時間を変更せず、一定日数(週5日勤務の場合、月に10日)以上利用でき、るもの。原則として、時間単位で取得可とする必要があります。

保育施設の設置運営等
保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与をするもの

養育両立支援休暇の付与
一日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上利用できるもの。原則として、時間単位で取得可とする必要があります。

短時間勤務制度
一日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの

事業主は、講ずる措置を選択する際、予め(すなわち、施行日に先立って)過半数組合等から意見を聴取する必要があります。

また、事業主は、労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に、労働者に対し、個別に、以下の方法にて、上記の措置に関する以下の事項を周知し、制度利用の意向確認を行う必要があります。

周知事項

① 事業主が選択した対象措置の内容

② 対象措置の申出先

③ 所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度

個別周知・意向確認の方法 ①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか※③④は労働者が希望した場合のみ

(2) 所定外労働の制限(残業免除)の範囲拡大(本改正法第16条の8)(施行日:令和7年4月1日)

現行法においては、所定外労働の制限(残業免除)の請求可能な労働者は、3歳に満たない子を養育する労働者に限定されていました。しかし、本改正法により、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者についても、所定外労働の制限(残業免除)の請求が可能になります。

(3) 育児短時間勤務の代替措置としてのテレワーク等の追加(本改正法第23条第2項)(施行日:令和7年4月1日)

3歳に満たない子を養育する労働者を対象とする短時間勤務制度について、労使協定により短時間勤務の対象外とした従業員に対して講ずべき代替措置(始業時刻の変更等)として、本改正によりテレワーク等が追加されます。

(4) 育児のための努力義務対象措置へのテレワーク等の追加(本改正法第24条第2項)(施行日:令和7年4月1日)

現行法上、事業主は、小学校就学前の子を養育する労働者に対して、子の年齢の区分に応じて、育児のための休暇制度の導入、始業時間の変更等の措置を講じる努力義務を負っていますが、本改正法により、事業主が3歳に満たない子を養育する労働者に対して講じる努力義務を負う措置に、テレワーク等が追加されます。

(5) 子の看護休暇の見直し(本改正法第16条の2、第16条の3、本改正規則第32条から第33条の2)(施行日:令和7年4月1日)

本改正法により、子の看護休暇について、対象となる子の範囲が小学校就学前の子から小学校第3学年修了前の子にまで拡大されます。
また、看護休暇の取得事由として、新たに感染症に伴う学級閉鎖等・入園(入学)式及び卒園式が追加されます。
さらに、改正前には、労使協定によって子の看護休暇取得の対象から除外可能であった継続して雇用された期間が6か月未満の労働者について、労使協定により子の看護等休暇取得の対象から除外することができなくなります。

(6) 妊娠・出産等の申出があった場合の個別の意向聴取・配慮(本改正法第21条第2項・第3項、本改正規則第69条の6、第69条の7)(施行日:令和7年10月1日)

現行法における労働者からの妊娠・出産等の申出があった場合の事業者による個別周知・意向確認に加えて、本改正法では、当該労働者に対し、以下の方法で、仕事と育児の両立に関する以下の事項について意向を聴取し、その事情等に配慮することが義務付けられます

聴取内容

①勤務時間帯

② 勤務地

③ 両立支援制度等の利用期間

④ 仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)

意向聴取の方法 ①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか※③④は労働者が希望した場合のみ

3. 育児休業の取得状況の公表義務の拡大(本改正法第22条の2、本改正規則第71条の5、第71条の6)(施行日:令和7年4月1日)

現行法では、男性労働者の育児休業等の取得状況に関する毎年少なくとも1回の公表が、常時雇用する従業員数1000人超の事業主に義務付けられていましたが、本改正法により、従業員数300人超1,000人以下の事業主にも義務付けられることとなります。なお、施行日後の初回公表期限は、公表前事業年度終了後、おおむね3カ月以内とされており*21、例えば、従業員数が500人で事業年度末が3月の会社については、令和7年6月末が公表期限の目安となります。

4. 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

本改正法による介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等により、現行の制度が下記の図のとおり変更されることとなります。

出典:厚生労働省HP「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要(令和6年法律第42号、令和6年5月31日公布)」5頁の一部22

(1) 介護のためのテレワーク等の導入の努力義務化等(本改正法第24条第4項)(施行日:令和7年4月1日)

家族を介護する労働者がテレワーク等を選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務となります。

(2) 介護休暇の見直し(本改正法第16条の6)(施行日:令和7年4月1日)

改正前には、労使協定によって介護休暇の対象から除外可能であった継続して雇用された期間が6か月未満の労働者について、除外できなくなります。

(3) 介護離職防止のための個別の周知・意向確認(本改正法第21条第4項、本改正規則第69条の8から第69条の11)(施行日:令和7年4月1日)

事業主には、労働者から家族の介護に直面した旨の申出があった場合に、当該労働者に対し、個別に、以下の方法にて、介護休業制度等に関する以下の事項を周知し、制度利用の意向確認を行うことが義務付けられます。

周知事項

①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等

②介護休業・介護両立支援制度等の申出先

③介護休業給付金に関すること

個別周知・意向確認の方法

①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか

※③④は労働者が希望した場合のみ

(4) 介護に直面する前の早い段階での両立支援等に関する情報提供(本改正法第21条第5項、本改正規則第69条の12から第69条の14)(施行日:令和7年4月1日)

事業主には、労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)、又は労働者が40歳に達した日の翌日(誕生日)から1年間のいずれかのタイミングで、労働者に対し、仕事と介護の両立支援制度等に関する以下の事項を周知することが義務付けられます。

情報提供事項

① 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等

② 介護休業・介護両立支援制度等の申出先

③ 介護休業給付金に関すること

情報提供の方法

①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか

※③④は労働者が希望した場合のみ

(5) 介護離職防止のための雇用環境の整備(本改正法第22条第2項・第4項、本改正規則第71条の3、第71条の4)(施行日:令和7年4月1日)

本改正により、①介護休暇に関する制度、②所定外労働の制限に関する制度、③ 時間外労働の制限に関する制度、④ 深夜業の制限に関する制度、⑤介護のための所定労働時間の短縮等の措置の申出が円滑に行われるようにするために、事業主に対し、下記のいずれかの措置を講じることが義務付けられます。

① 介護休業や仕事と介護の両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業や仕事と介護の両立支援制度等に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業の取得事例や仕事と介護の両立支援制度等の利用事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業制度と介護休業取得促進に関する方針の周知及び仕事と介護の両立支援制度等や仕事と介護の両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

5. おわりに

以上見てきたように、令和6年改正法により、育児・介護休業法等に関する多数の新たな制度が設けられることとなり、また、制度変更がなされることとなります。
本改正法の施行日が令和7年4月1日と迫ってきているところ、事業主としては、厚生労働省の公表する本改正法の詳細に関するQ&Aや、改正内容に対応するための就業規則・労使協定の規定例や個別周知・意向確認を書面で行う場合の記載例等を参照しながら、就業規則等の改定、労使協定の締結、個別周知・意向確認に関する書面の作成など、本改正法に適切に対応できるよう準備を進めていく必要があります。

トピック3:フリーランス法施行と下請法を踏まえた留意点

本年11月1日より、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号。以下「フリーランス法」といいます。)が施行されました。そのため、フリーランス法による規制を受ける事業者においては、同法を遵守した取引を行う必要があります*25
もっとも、フリーランス法の適用対象となる取引のうち、一定の取引については、依然として下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます。)が別途適用される可能性があることに留意を要します*26。また、フリーランス法における各種の規制の解釈・適用に関しては、下請法における解釈・適用や摘発事例を参考とすることができると考えられます。
そこで、本トピックにおいては、下請法との異同を意識してフリーランス法の適用範囲及び規制内容を概観し(後記1)、これらの法令間の執行上の優先関係を確認(後記2)したうえで、フリーランス法遵守の際にも留意を要すると考えられる下請法違反事例のうち、最近の2事例の概要を紹介(後記3)します。
なお、本トピックでは、フリーランス法のうち、公正取引委員会(以下「公取委」といいます。)及び中小企業庁が所管する「取引の適正化」観点での規律のみに焦点を絞り、厚生労働省所管の労働法分野に類する「就業環境の整備」観点での規律については取り上げておりません。

1. フリーランス法の適用範囲(下請法との異同を中心に)

フリーランス法が適用されるのは、(1)「業務委託」(同法第2条第3項)が、(2)「業務委託事業者」(同法第2条第5項)から「特定受託事業者」(同法第2条第1項、以下「特定受託事業者(フリーランス)」といいます。)に対して行われる場合です。

(1) 適用対象取引:「業務委託」

フリーランス法の適用対象となる「業務委託」取引は、以下の2点において、下請法の適用対象となる取引(以下「下請取引」といいます。)と比較しても幅広いものとなっています

  • 製造委託や役務提供委託について、下請法では委託対象の物やサービスの範囲が限定されていますが、フリーランス法上の「業務委託」取引についてはそのような限定はほとんどありません。
  • 下請取引には、下請法が定める委託目的のいずれかがあって初めて該当するため、それらの目的を欠くことにより下請取引非該当となる取引も相応に想定されます。他方で、フリーランス法上の「業務委託」取引では、発注事業者がその事業のために委託していれば、それ以上の委託目的の限定はありません。

例えば、フリーランス法上の「業務委託」の3類型の1つである「製造委託」(同法第2条第3項第1号)については、下請法上も「製造委託」(下請法第2条第1項)として類似する定義がなされていますが、下表に整理したとおり、フリーランス法上の「製造委託」の方が対象物及び委託目的のいずれの面でも幅広い取引を対象とする定義がなされています。

  下請法上の「製造委託」*27 フリーランス法上の「製造委託」*28
対象物 以下のいずれかに限定
  • 物品、その半製品、部品、附属品、原材料若しくはこれらの製造に用いる金型
  • 業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料
製造及び加工できる動産全般が対象
委託目的 以下のいずれかに限定
  • 有償での提供(販売又は請負)の目的物である物品等の製造委託
  • 業として行う修理に必要な部品や原材料の製造委託
  • 無償提供又は自社で使用・消費している物品等であり、かつ自社で体制を備えて内製している物品等の製造委託
事業者がその事業のために委託していれば足り、それ以上の限定なし

(2) 適用対象事業者:「特定受託事業者(フリーランス)」/「業務委託事業者」

フリーランス法が適用されるのは、前記(1)で説明した「業務委託」取引の当事者であって、それぞれ以下の要件を満たす事業者である場合に限られます。かかる要件充足性は、個人、法人を問わず、基本的には、役職員の人数規模で判断されるものとなっています。この点で、下請法の適用対象事業者について、発注側では一定金額超の資本金を有する法人に限定され、かつ、受注側でも法人に関しては一定金額以下の資本金を有する場合に限定されていること(下請法第2条第7項及び第8項)と対照的であるといえます。

ア 受注側:「特定受託事業者(フリーランス)」

まず、受注側の特定受託事業者(フリーランス)とは、人数規模の観点から組織としての実態を有しないと評価できる、以下のいずれかに該当する事業者をいいます(フリーランス法第2条第1項、解釈ガイドライン第1部の1)。

  • 個人であって「従業員を使用」しない*29
  • 法人で代表者1名以外に他の役員がなく、かつ、「従業員を使用」しない

ここで、「従業員を使用」するとは、基本的には1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者(労働基準法第9条に規定する労働者をいいます。)を雇用すること等をいいます(解釈ガイドライン第1部の1(1))*30

イ 発注側:「業務委託事業者」/「特定業務委託事業者」

発注側については、特定受託事業者(フリーランス)に対して「業務委託」をする事業者であれば、「業務委託事業者」としてフリーランス法の適用対象となります(同法第2条第5項)*31
さらに、「業務委託事業者」に該当する事業者が、人数規模の観点から組織としての実態を有していると評価できる、以下のいずれかに該当する場合には「特定業務委託事業者」となり(同法第2条第6項)、その他の「業務委託事業者」(「従業員を使用」していない個人等、組織としての実態を有しない発注事業者)よりも多くの規制に服するものとされています。

  • 個人であって「従業員を使用」している
  • 法人であって代表者以外に役員が2名以上いるか、もしくは「従業員を使用」している

(3) 取引の適正化に係る規制の概要

前記(2)イで説明したとおり、フリーランス法上、同法の適用対象となる発注事業者である「業務委託事業者」は、①2名以上の役職員で構成される「特定業務委託事業者」と、②それ以外(「従業員を使用」していない個人等)の2種類に分けられます。
そして、上記①及び②のいずれにも共通して課せられる義務等が後記アであり、上記①に対してのみ課せられる義務等が後記イ・ウとなります。

ア 「業務委託事業者」共通の義務(取引条件の明示義務)等*32

業務委託事業者は、特定受託事業者(フリーランス)に対して「業務委託」をした場合、原則として直ちに、業務委託日や特定受託事業者(フリーランス)の給付内容等の一定の事項を書面又は電磁的方法により特定受託事業者(フリーランス)に明示しなければなりません(フリーランス法第3条)*33。かかる書面又は電磁的方法による明示は「3条通知」と呼ばれます(解釈ガイドライン第2部第1の1)。
なお、下請取引については、下請法第3条に基づいて類似する内容の書面交付義務が課されています(いわゆる「3条書面」)。もっとも、フリーランス法上の3条通知は、下請法上の3条書面とは記載事項が若干異なる他、下請法上の3条書面は原則として書面交付すべきとされているのと異なり、特定受託事業者(フリーランス)の承諾なく、電子メール等の電磁的方法で明示することができるとされています(解釈ガイドライン第2部第1の1(5)イ)。

イ 特定業務委託事業者の義務①(報酬の支払期日の設定義務/期日における報酬の支払義務)

特定業務委託事業者に該当する事業者は、前記アの義務に加えて、特定受託事業者(フリーランス)に対して支払う報酬について、以下の義務が課せられます(フリーランス法第4条第1項及び第5項)*34

  • 特定業務委託事業者が給付内容について検査をするか否かにかかわらず、原則として、給付の受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払期日を定めること
  • 上記のように定められた支払期日までに報酬を支払うこと

ウ 特定業務委託事業者の義務②(禁止行為)

さらに、上記ア及びイに加えて、特定業務委託事業者は、特定受託事業者(フリーランス)に対して委託期間が1ヶ月以上の「業務委託」を行う場合には*35、特定受託事業者(フリーランス)に対して、以下の行為を行うことが禁止されます(フリーランス法第5条)。

  • 受領拒否(同条第1項第1号)
  • 報酬の減額(同2号)
  • 返品(同3号)
  • 買いたたき(同4号)
  • 購入・利用強制(同5号)
  • 不当な経済上の利益の提供(同条第2項第1号)
  • 不当な給付内容の変更及びやり直し(同2号)

上記フリーランス法第5条の禁止行為は、下請法第4条に定める禁止行為の一部が同様に規定されたものになっています*36。そのため、フリーランス法第5条に定める禁止行為に関する解釈については、下請法第4条に関するそれらと同様であると解されています*37
そのため、特定業務委託事業者が特定受託事業者(フリーランス)に対し、委託の期間が1ヶ月以上の「業務委託」を行う場合、下請法上の禁止行為に係る解釈・適用を踏まえて、フリーランス法を遵守していくことが必要となります。

2. フリーランス法と下請法等の執行上の優先関係(執行ガイドライン)

前記1(3)ウにて述べたとおり、フリーランス法の特定業務委託事業者から特定受託事業者(フリーランス)に対して期間1ヶ月以上の「業務委託」が行われた場合に、例えば、同法上の「買いたたき」に該当する行為が行われれば、フリーランス法違反(同法第5条第1項第4号)となる可能性があります。仮に、かかる行為が行われた取引が下請取引にも該当する場合には、下請法上の「買いたたき」(同法第4条第1項第5号)に該当する行為でもあったとして、下請法違反と評価されることとなります。さらに、独禁法上の優越的地位の濫用の要件を充足する場合には独禁法違反と評価されることにもなります(同法第19条及び第2条第9項第5号)。しかし、フリーランス法制定に際して、フリーランス法がその適用場面において独禁法・下請法とどのように調整されるかに関する法令上の規定は設けられませんでした*38
もっとも、公取委は、本年5月31日に公表した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方」(以下「執行ガイドライン」といいます。)において、上記のような重複適用が想定される場面における法の執行順序に関して一定の考え方を示しています*39

(1) 原則的な処理

まず、図表1のとおり、フリーランス法違反行為が以下のいずれかに当てはまるケースが想定されます。

  • 行為A:フリーランス法及び独禁法のいずれにも違反(但し、行為C以外)
  • 行為B:フリーランス法及び下請法のいずれにも違反(但し、行為C以外)
  • 行為C:独禁法・下請法・フリーランス法のいずれにも違反

執行ガイドラインにおいては、上記行為A、Bのいずれについても、原則として、フリーランス法に基づく勧告(同法第8条)の執行が行われることが明らかとされており*40、上記行為Cについても同様であると考えられます。 

(2) 複数の違反行為が存在する場合の処理

前記(1)では、ある発注事業者が行った1つの違反行為についての原則的な処理について説明しました。もっとも、実際の事件処理においては、当該発注事業者が複数の違反行為を行っていたと認定される場合も多く想定され、執行ガイドラインでは、このような場合の処理についても一定の考え方が示されています(同ガイドライン3)

ここでは、ある発注事業者が前記(1)の行為Bに加えて、それとは別個に、下請法のみに違反する行為Dを行っていた場合を例として説明します。このケースにおいて、執行ガイドライン3第2文の記載内容に基づけば、公取委による対処としては以下の2つのパターンが存在するものと考えられます。

【パターン1】
まず、1つ目のパターンでは、図表2のとおり、行為Bについては前記(1)で説明した原則に従ってフリーランス法を適用しての対処がなされる一方で、行為Dについては下請法違反行為として下請法を適用しての対処がなされます。

【パターン2】
続いて、2つ目のパターンでは、図表3のとおり、公取委が適当であると判断する場合には、これらの行為について一括して下請法を適用しての対処がなされます。

以上を踏まえると、ある発注事業者が行ったフリーランス法及び下請法のいずれにも違反する同一行為(上述の行為B)が存在する場合、他に存在する下請法違反行為の内容等次第では、公取委の判断により、フリーランス法ではなく下請法の適用による執行もあり得るということになります。

3. 事例紹介

前記2で説明したとおり、ある発注事業者が行ったフリーランス法及び下請法のいずれにも違反する同一の行為が存在する場合に、当該行為にはフリーランス法及び下請法のいずれも適用されるケースがあり得ます。また、前記1で述べたとおり、特にフリーランス法第5条に定める禁止行為に関する解釈は、下請法第4条のそれに倣うべきものと解されています
さらに、フリーランス法施行前に公表された下請法違反事例のなかには、個人を含む下請事業者に対する違反行為が摘発されたものと見受けられる事例が存在します。このようなケースは、フリーランス法施行後の現在において行われれば、フリーランス法による執行が行われる可能性も考えられるところですので、それらのうち近時の2事例を以下に紹介します。

(1) ケース1:公取委勧告令和6年10月25日*41

本ケース1では、資本金5,000万円超の法人であるA社が、個人又は資本金5,000万円以下の法人である下請事業者に対して、インターネットを通じて配信するいわゆる「Vtuber動画」等に用いるイラスト、動画用2Dモデル、動画用3Dモデルの作成を委託していました(下請法第2条第3項第1号の「情報成果物作成委託」として下請取引に該当)。かかる取引において、A社の下請法違反行為として公表された内容の概要は下表のとおりです。

  違反行為類型 該当事実

不当な給付内容の変更

及び不当なやり直し

(下請法第4条第2項第4号)

  • A社は、令和4年4月から令和5年12月までの間、下請事業者の給付を受領した後に、下請事業者(23名)に対し、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを計243回、無償で対応させていた。

支払遅延

(下請法第4条第1項第2号)

  • A社は、上記不当なやり直し等に伴って、あらかじめA社と下請事業者間で定められた支払期日までに下請代金を支払っておらず、その遅延利息(下請法第4条の2)は下請事業者29名に対し、合計約115万円に達していた。

上表に記載した各違反行為については、仮に、フリーランス法施行後に締結(契約更新の場合も含む)された取引において行われていれば*42、以下のとおり、フリーランス法違反行為と認定される可能性があります。
まず、違反行為②について、A社が規模2名以上の「特定業務委託事業者」に該当し、かつ、「特定受託事業者」(フリーランス)に対する委託取引において当該行為が行われていれば、(委託期間にかかわらず)フリーランス法上の「支払遅延」(同法第4条第1項及び第5項)に該当すると考えられます。
また、上記違反行為➀についても、上記の前提に加えて、委託期間が1ヶ月以上の取引において行われていれば、フリーランス法上の「不当な給付内容の変更及びやり直し」(同法第5条第2項第2号)にも該当すると考えられます。

(2) ケース2公取委勧告令和6年11月12日*43

本ケース2では、資本金5,000万円超の法人であるB社及びC社が、個人又は資本金5,000万円以下の法人である下請事業者に対して、雑誌「X」の記事作成及び写真撮影業務を委託していました(下請法第2条第3項第1号の「情報成果物作成委託」として下請取引に該当)。かかる取引において、B社の下請法違反行為として公表された内容の概要は下表のとおりです。

違反行為類型 該当事実

買いたたき

(下請法第4条第1項第5号)

  • B社は、令和5年1月、自社の収益改善を図るため、同年4月発売号以降の雑誌「X」の記事作成業務等を下請事業者(26名)に委託する際の単価を、下請事業者と十分に協議することなく、従前の単価から一方的に引き下げた。発注単価の引下げ幅は最大で約39%となった。
  • C社は、令和6年4月1日以降、雑誌「X」の記事作成業務等を下請事業者(21名)に委託する際の単価について、承継前にB社が一方的に決定した単価をそのまま適用していた。

上表に記載した各違反行為については、仮に、フリーランス法施行後に締結(契約更新の場合も含む)された取引において行われていてれば、以下のとおり、フリーランス法違反行為と認定される可能性があります。
すなわち、上記B社及びC社による各行為は、これら2社がそれぞれ規模2名以上の「特定業務委託事業者」に該当し、かつ、「特定受託事業者」(フリーランス)に対する委託期間1ヶ月以上の取引において行われていれば、フリーランス法上の「買いたたき」(同法第5条第1項第4号)に該当すると考えられます。

4. おわりに

フリーランス法施行直後の現在においては、公取委・中小企業庁が、本トピックで紹介した「取引の適正化」観点での各規制を今後どのような形で、かつどのような頻度で執行していくのかは、未だ不明確な状況にあるといえます。もっとも、フリーランス法と趣旨を共有している下請法については、上記の所管の各官庁によって長年にわたり非常に活発な執行が行われていることに照らせば、フリーランス法についても、毎年相当数の違反事例が公表され、かつそれ以上の指導が非公開の形で個々の事業者に対して行われる可能性は十分考えられます。

*1 医師の診断を受けて、当該症状が当該食品に起因する又はその疑いがあると診断されたものに限られます(食品衛生法施行規則別表第17第9号ロ)。

*2 機能性表示食品については、食品表示基準第2条第1項第10号ロ、別表第27の3の項第1号においても同様の情報提供義務が規定されています。

*3 機能性表示食品について、食品表示基準第2条第1項第10号ロ、別表第27の3の項第2号、特定保健用食品について、消費者庁次長「「特定保健用食品の表示許可等について」の一部改正について」令和6年8月23日消食表第741号別添1の8(3)ウ。

*4 厚生労働省健康・生活衛生局長「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の公布について(通知)」令和6年8月23日健生発0823第8号、厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課長「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供について」令和6年8月23日健生食監発0823第3号や、厚生労働省のWebサイト「いわゆる「健康食品」のホームページ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html)を参照。

*5 厚生労働省健康・生活衛生局食品基準審査課長「「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」について」令和6年3月11日健生食基発0311第2号別添2。
なお、かかる通知は、2024年4月1日に厚生労働省から消費者庁へ移管されました。また、本ニュースレターの執筆現在、微生物等の培養又は発酵工程を経て生産される原材料を用いる食品を製造する事業者が、製品標準書を作成する際に参照すべき指針を別紙として追加する等の改正案が示されており、パブリックコメントの募集が行われています。

*6 現在では廃止され、代わりに、「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」令和6年8月30日消食表第775号が制定されています。

*7 「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」(内閣府告示第108号)。

*8 「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」(前掲注6参照)Ⅱでは、「サプリメント形状の加工食品」について、「天然由来の抽出物であって分画、精製、化学的反応等により本来天然に存在するものと成分割合が異なっているもの又は化学的合成品を原材料とする錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状である食品を指す」とされています。

*9 食品表示基準附則第2条。

*10 原材料の製造施設については、GMP告示の対象外です。GMP告示は、原材料については、製品標準書に記載された規格に適合したものの供給を確保することを届出者の責務とした上で(GMP告示第4条第2項)、サプリメント形状の機能性表示食品を製造する事業者による、原材料の受入段階での確認を以て、その品質が確保されることを企図しています。他方で、衛生状態の変更を伴う包装作業を行う施設はGMP告示の対象となるため、留意が必要です。
以上につき、消費者庁「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供義務化等に関する説明会消費者庁説明事項についての主な質問とその回答」(以下「消費者庁質疑応答」といいます。)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/movie_003/assets/food_labeling_cms206_241126_01.pdf)②1、2を参照。

*11 GMP告示自体には、①から③の観点、及び、これらの各観点と各遵守事項の対応関係は示されておらず、ここで記載する対応関係は一例に留まります。

*12 総括責任者と品質管理責任者は兼任可能ですが、製造管理者責任者と総括責任者、及び、製造管理者責任者と品質管理責任者の兼任は禁止されています(GMP告示第5条第3項)。

*13 製造所等の構造設備、手順、工程その他の製造等に係る管理及び品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し、文書化することを指します(GMP告示第2条第8項)。

*14 消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_240823_10.pdf)。

*15 食品表示基準附則第2条。

*16 製造者等がGMP告示に従って製造等を行っているかについて確認するための、GMP告示に沿ったチェックリストの作成が予定されています(消費者庁質疑応答②6)。

*17 消費者庁質疑応答②4、5を参照。

*18 消費者庁質疑応答②3を参照。

*19 本ニュースレターにおいては、上述のとおり、育児・介護休業法に関する改正内容に限定して紹介するため、次世代育成支援対策の推進・強化については触れません。

*20 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001326112.pdf

*21 厚生労働省リーフレット「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001029776.pdf)

*22 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001326112.pdf

*23 厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A (令和6年 11 月 19 日時点)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001325224.pdf)

*24 厚生労働省Webサイト「育児・介護休業等に関する規則の規定例」」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html)

*25 フリーランス法の立法担当者らによる解説書として、公取委他,2024.『フリーランス・事業者間取引適正化等法』商事法務(以下「担当者解説」といいます。)が刊行されています。

*26 また、取引上優越的地位にある事業者がその力を濫用する行為一般については、別途、独占禁止法(以下「独禁法」といいます。)の優越的地位濫用規制(同法第19条及び第2条第9項第5号)が適用されうることにも一定の留意を要します。

*27 公取委・中小企業庁,2024.「下請取引適正化推進講習会テキスト(令和6年11月)」(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/shitauke_koushu.pdf)1の(3)イ参照

*28 公取委・厚生労働省,2024.「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(以下「解釈ガイドライン」といいます。https://www.mhlw.go.jp/content/001259281.pdf)第1部の1(2)ア、担当者解説34頁以下参照

*29 なお、当該個人が、発注事業者との関係で、労働基準法における「労働者性」の判断基準に照らして、同法の「労働者」と認められる場合には、当該発注事業者との関係ではフリーランス法は適用されません(担当者解説29頁)が、その代わりに、労働基準法等により保護されることとなります(内閣官房他,2024.「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001317944.pdf)第6の1)。

*30 労働者派遣、同居親族の使用の場合の例外については解釈ガイドライン第1部の1(1)、担当者解説31頁参照

*31 ただし、実質的に特定受託事業者(フリーランス)に業務委託をしているといえる別の事業者が存在する場合には、当該事業者が「業務委託をする事業者」に該当します(解釈ガイドライン第1部の3)。

*32 本文に記載した義務のほか、業務委託事業者には、同事業者のフリーランス法違反行為を公取委又は中小企業庁長官に申出をした特定受託事業者(フリーランス)に対する報復措置(取引数量減や取引停止等)の禁止も課せられています(同法第6条第3項)。

*33 具体的な明示事項については、公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(令和6年公正取引委員会規則第3号。以下「公取委規則」といいます。)第1条、解釈ガイドライン第2部第1の1、担当者解説46頁以下参照

*34 再委託の場合における支払期日設定の例外については、フリーランス法第4条第3項及び第4項、公取委規則第1条第2項及び第6条、解釈ガイドライン第2部第2の1(2)イ、担当者解説74頁以下参照。なお、下請法上は、そのような再委託の場合の例外規定は設けられていないため、フリーランス法の適用対象となる取引について同時に下請取引にも該当する場合には、なお下請法を遵守した支払期日の設定が必要となります。

*35 なお、1ヶ月以上の「業務委託」には、特定業務委託事業者が特定受託事業者(フリーランス)に業務委託を行ってから1ヶ月が経過した業務委託のみならず、取引開始時点で1ヶ月以上の期間継続が予定されている場合も含まれ、特に契約の更新により通算して1ヶ月以上継続して行うことが予定される場合も含むものと解されていることに留意が必要です(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第200号)第1条、解釈ガイドライン第2部第2の2(1)、担当者解説92頁以下)。

*36 具体的には、下請法第4条に定める禁止行為のうち、「有償支給原材料等の対価の早期決済」(同法第4条第2項第1号)及び「割引困難な手形の交付」(同項第2号)については、およそフリーランス法上の禁止行為としては規定されていません。なお、「支払遅延」(下請法第4条第1項第2号)及び「報復措置」(同項第7号)については、それぞれフリーランス法第4条第5項及び第6条第3項において規定されています。

*37 担当者解説91頁及び238頁参照

*38 その背景等について、担当者解説220頁以下参照

*39 執行ガイドラインについては、公取委Webサイト(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/may/01_6_fl_jftcguidelines.pdf)参照

*40 執行ガイドライン2及び3参照

*41 同事案の詳しい内容については、公取委Webサイト(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241025_cover.html)参照。なお本文に記載した違反行為②については、指導が行われたのみにとどまります。

*42 「『特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(案)』等に対する意見の概要及びそれに対する考え方」2の(1)No.2-1-4等(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/may/02_fl_opinionandthinking.pdf)参照

*43 同事案の詳しい内容については、公取委Webサイト(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/nov/241112_kadokawa.html)参照

*44 C社はB社が全額出資する同社の子会社であり、令和6年4月1日に雑誌「X」に係る全事業を承継しています。

PDF版ダウンロードはこちら

執筆者

岩崎 康幸

パートナー, PwC弁護士法人

阪本 凌

PwC弁護士法人

山田 裕貴

山田 裕貴

パートナー, PwC弁護士法人

田上 薫

PwC弁護士法人

小林 裕輔

パートナー, PwC弁護士法人

黒瀧 海詩

PwC弁護士法人

山下 胡己

PwC弁護士法人

本ページに関するお問い合わせ