有価証券報告書における気候変動情報開示の動向

はじめに

2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、2022年4月の東証再編後にプライム市場の上場企業に対し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)またはそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量の充実を求めています。有価証券報告書において、気候変動情報をどの程度開示しなければならないのか、これは資本市場の関係者(投資家、企業、証券取引所、監査法人など)であれば、最大の関心事の1つであると推察されます。

海外に目を向けると、英国では、ロンドン証券取引所のプレミアム市場の上場企業を対象に、気候変動に関する開示が要求され、適用が開始されています。

本稿では、このような国際的な動向も踏まえ、有価証券報告書における気候変動情報開示に関する国内の動きを考察し、既に任意開示している企業の開示状況、開示内容の業種別傾向について紹介します。

なお、文中における意見は全て筆者の私見であることをあらかじめ申し添えます。

1 気候変動情報開示へのニーズの高まりの背景

気候変動情報開示の主な目的の1つとして、投資家への情報提供があります。近年、サステナブル投資を推進する金融機関、サステナビリティ経営を推進する企業がグローバルで増加しており、多くの投資家は、企業のESGのリスク管理が投資判断の重要な要素であると考えています。気候変動は投融資先の企業の事業活動に多大な影響を与える可能性があるため、特に、金融機関の保有資産に関する気候変動の影響を評価する動きが活発になっています。

一方、企業に求められる気候変動の影響に関する情報開示は十分ではなく、金融機関は気候変動に関するリスクおよび収益機会を企業の戦略や財務計画と関連づけて把握することができない状況でした。その結果、金融機関は投融資・保険引受の判断が十分に行えず、将来の資産価値の大幅な急落により、金融安定性が損なわれるリスクがあると懸念されていました。

このような状況を受けて、G20財務大臣および中央銀行総裁は、金融安定理事会(FSB)※1に対して、金融機関が企業の気候変動の影響を適切に評価できるような開示の枠組みを作成するように求めました。FSBは2015年12月に民間主導の「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force onClimate-related Financial Disclosures:TCFD)」を設置し、気候変動情報の開示に関する枠組みが作成されました。

2 市場区分の変更とコーポレートガバナンス・コード改訂

2022年4月から東京証券取引所は、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の新しい市場区分に再編され、始動しています。市場区分の再編に先立ち、2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、プライム市場上場企業にはより高いガバナンスの水準が求められるとともに、気候変動などの地球環境問題への配慮など、サステナビリティを巡る課題への取り組みおよび開示要求が定められました。

具体的には、プライム市場に上場する企業は、気候変動に係るリスクおよび収益機会が企業の事業活動や収益などに与える影響について、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の充実が求められることとなります。

TCFDは2017年6月に、年次の財務報告において財務に影響のある気候関連情報の開示を推奨する報告書を公表しました。TCFDは、図表1に挙げている4つの枠組みでの開示を推奨しています。このうち「ガバナンス」および「リスク管理」は全ての企業に対して開示を推奨しており、「戦略」および「指標と目標」については、企業にとって重要性が高い場合に開示することが推奨されています。

図表1 TCFD提言に基づく推奨開示4項目

TCFDは、セクターごとに附属書(ガイダンス)を提供しています。2017年に公表されたガイダンスの一部については、2021年10月に改訂版附属書が公表され、「指標・目標の開示」および「戦略としての移行計画と財務影響の開示」に関して、GHG排出量に関する開示推奨範囲が明確化され、中長期に対する中間目標の設定の追加が推奨されました。

日本では、プライム市場上場企業はTCFDまたは同等の枠組みに基づく開示が求められるため、今後は企業ホームページや統合報告書などの媒体を通じた開示が充実してくると思われます。一方、TCFDは気候変動に関する情報開示を年次報告書に求めていることから、わが国においても有価証券報告書(年次報告書)における情報開示の必要性を検討することが急務となっています。このような背景から、気候変動情報を有価証券報告書にどのように開示すべきかという議論が始まっています。

3 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」における検討状況

2021年6月21日に、企業情報の在り方について幅広く検討を行う目的で、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」が諮問され、2021年9月に第1回、2022年2月末現在で第6回まで開催されています。

ディスクロージャーワーキング・グループでは、有価証券報告書におけるサステナビリティ開示についても検討を進めています。気候変動開示については、「開示基準」「開示対象(開示場所)」「記載欄の設置」「法定開示」「TCFD 推奨開示4項目の優先度」「重要性(マテリアリティ)」などが議題に挙がっています(図表2)。ディスクロージャーワーキング・グループではまだ決定事項はありませんが、さまざまな意見が出ています。

図表2 気候変動関連の開示に関するディスクロージャーワーキング・グループ委員からの主な意見

特に多かったのが、「サステナビリティ事項に関しては、当然有価証券報告書で開示されるべき」「比較可能性を確保するために、サステナビリティ項目については、法定開示とすべき」といった、サステナビリティ項目を有価証券報告書で開示することに同意する意見です。

また、「重要な開示項目は有価証券報告書に入れ、補足情報は任意開示を参照するほうがよい」といったように、法定開示と任意開示を組み合わせた方法に関する意見もありました。

さらに、TCFDの推奨開示項目については、TCFD提言と同様に「ガバナンス」および「リスク管理」が特に重要であるとする意見もありましたが、「戦略」および「指標と目標」が注目されているといった意見もあります。

日本におけるサステナビリティ開示の枠組みを決める際には、国際的な検討状況の反映、特に、ISSB(InternationalSustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)基準などを踏まえて検討する必要があります(ISSBおよび気候変動情報の開示に関する国際的な動向については、後述の5をご参照ください)。

このような環境下で、わが国においても実際にTCFD提言に沿った開示を行っている企業は徐々に増えています。TCFD提言に基づいた開示は、必ずしも有価証券報告書で行う必要はまだありません。しかし、有価証券報告書において気候変動リスクに関する情報開示を義務化する方向で検討が進められており、有価証券報告書で気候変動リスクを開示している企業のTCFD提言の開示状況に焦点を当てることは有用であると考えられます。

以上より、私たちは、有価証券報告書でTCFD提言に関する開示を行っている企業(2021年9月末時点)を対象として、開示状況の分析を行いました。なお、分析は、東証一部に上場し、4大監査法人が監査を行っている企業を対象としています。

4 有価証券報告書におけるTCFD提言に関する開示状況

東証一部上場企業で4大監査法人が監査している企業1,685社(金融企業119社、非金融企業1,566社)※2のうち、有価証券報告書にTCFD提言に関する開示を行っている企業の割合は図表3のとおりです。

図表3 有価証券報告書にTCFD対応について開示している企業

金融企業の開示割合(24%)は、非金融企業の開示割合(8%)よりも高い傾向でした。これは金融企業の場合、自社のTCFD提言への取り組みのみならず、金融企業の投資先における気候変動の財務的影響を把握することが必要で、非金融企業よりも気候変動への対応が自社の事業運営にとって必要不可欠であるためと考えられます。

なお、TCFD提言に関する開示を行っている152社のうち145社(金融企業28社、非金融企業117社)は、2021年11月までにTCFD提言への賛同を表明しています。

4-1 有価証券報告書におけるTCFD開示分析(非金融企業)

(1)業種別分析

ここからは、前述のTCFD提言に関する開示を行っている非金融企業124社(前掲図表3)について、東証の業種別の開示状況を見ていきます(図表4)。

図表4 TCFD対応を開示している非金融企業(124社)の業種別内訳

TCFD提言に関して有価証券報告書で開示している企業数は、「化学」「電気機器」「食料品」の3業種の数が多く、合計で52社となり、全体(124社)の4割を占めています。

「化学」「電気機器」の業種に関しては、産業別のCO2排出量が上位の業種であることが影響していると考えられます。また、「化学」「電気機器」「食料品」に関しては、いずれもTCFDガイダンス※3において、業種別のガイダンスが作成されており、TCFD開示を積極的に行いやすい環境にあることも、開示社数が多い要因と考えられます。

一方、「水産・農林」「ゴム製品」「海運」「空運」「倉庫・運輸」の5業種に分類される企業は、本調査時点では有価証券報告書にTCFD提言に関する開示はなく、今後の開示状況が注目されます。

(2)会計基準別分析

企業が適用している会計基準(日本基準、IFRS〔InternationalFinancial Reporting Standards〕、米国基準、その他)ごとの、有価証券報告書におけるTCFD提言に関する開示状況は図表5のとおりです。

図表5 TCFD対応を開示している非金融企業の会計基準別の開示割合

日本基準を適用している企業と比較して、米国基準、IFRSを適用している企業のほうが、有価証券報告書においてTCFD提言に関する開示割合が高くなっています。

米国基準を適用している上場企業(8社)の業種内訳は、「電気機器」(5社)および「化学」「機械」「繊維製品」(各1社)であり、もともとTCFD開示を行う企業の多い業種である「電気機器」や「化学」などの業種の企業が米国基準を適用しているため、TCFDの開示割合が高くなっていると推察されます。

また、IFRSを適用している企業は海外子会社を多数抱える大規模な企業が多く、売上高や時価総額も大きい企業が多い傾向にあります。規模の大きい企業においては、気候変動に関する財務的影響も大きくなる可能性があり、TCFD開示割合も高くなる傾向にあります(図表6、図表7)。

図表6 TCFD対応を開示している非金融企業の売上高別の開示割合
図表7 TCFD対応を開示している非金融企業の時価総額別の開示割合

「(3)売上高別分析、時価総額別分析」における売上高1兆円企業の119社(図表6)のうち、IFRS適用企業は53社とほぼ半数を占め、同様に時価総額1兆円企業の128社(図表7)の中では、IFRS適用企業は72社と半数以上を占めており、IFRS適用企業は企業規模が大きい企業が多いため、TCFD開示割合も高くなっていると考えられます。

(3)売上高別分析、時価総額別分析

売上高別および時価総額別の有価証券報告書におけるTCFD提言に関する開示状況は、図表6および図表7のとおりです。

前述したとおり、企業規模の大きな企業ほど気候変動による財務影響は大きくなる可能性があるため、気候変動が事業、戦略、財務計画などに与える影響を予測し対策を取ることが、自社の存続のためには必要になります。このため、売上高や時価総額といった企業規模の観点においては、企業規模が大きくなるほど、有価証券報告書におけるTCFDの開示が既に行われていることが分かります。

次に、有価証券報告書におけるTCFD提言の開示内容について紹介します。

4-2 TCFD提言に基づく有価証券報告書における開示内容の分析(非金融業)

有価証券報告書において実際にどのようにTCFD提言に関する開示を行っているか、124社を以下の5つに分類して分析を行いました(図表8)。

図表8 有価証券報告書におけるTCFD開示内容の分類

分類①「TCFD提言への賛同などの言及のみ」から分類④「TCFD提言に基づく推奨開示」に近づくにつれ、開示内容が拡充されています。分類①から⑤の開示状況は図表9のようになっています。

図表9 TCFD開示分類に基づく開示状況

124社のうち約半数の企業(63社)は、有価証券報告書では分類①「TCFD 提言に関する賛同などの言及のみ」に該当し、TCFD提言に基づく4項目の推奨開示といった有価証券報告書における情報開示はまだ進んでいませんでした。

続いて、分類②「CO2、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を開示」に該当する企業は22%(27社)、分類③「移行リスク、物理リスクおよび機会を開示」に該当する企業は13%(16社)で、分類④「TCFD提言に基づく推奨開示」を行っている企業は7%(9社)にとどまっていました。

4-3 TCFD開示分類に基づく業種別開示傾向

TCFD開示を行っている企業数が多い3つの業種「化学」「電気機器」「食料品」、および分類④「TCFD提言に基づく推奨開示」の開示割合の高い業種「小売」の開示分類状況は図表10のようになっています。

図表10 TCFD開示分類に基づく開示状況(業種別)

「化学」(20社)では、分類①「TCFD提言への賛同などの言及のみ」に該当する企業が多く(7割)、コーポレートガバナンス・コードの改訂で求められるTCFDまたはそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を満たすためには、今後さらなる情報開示の拡充が求められると考えられます。

「電気機器」(19社)では、分類①「TCFD提言への賛同などの言及のみ」を除くと、分類②「CO2、GHG排出量の削減目標を開示」に該当する企業が多い(26%)状況です。「電気機器」は産業別のCO2排出量が上位の業種であるため、特にCO2やGHG排出量を削減しようとする意識が高いことが分かります。

「食料品」(13社)では、分類①「TCFD提言への賛同などの言及のみ」を除くと、分類②「CO2、GHG排出量の削減目標を開示」および分類③「移行リスク、物理リスクおよび機会を開示」に該当する企業が多い(23%)状況です。「食料品」の業種においては、異常気象の発生による農作物の品質の悪化、平均気温の上昇による作物の品質の悪化や収穫量の減少による生産能力の低下などが予測され、物理的リスクの影響が大きいと考えられるため、関連する開示を行う企業が多いと推察されます。

「小売」(5社)では開示企業数は少ないものの、分類④「TCFD提言に基づく推奨開示」に該当する企業が最も多い(40%)状況です。「小売」は消費者との接点が多く、市場の変化(消費者嗜好の変化)に関する市場リスクや評判リスク(気候変動対策への遅れなどにより投資家の評価が低下し、資金調達が困難となるリスク)などの移行リスクの影響が大きいと考えられます。また、気候変動情報に関する開示を積極的に行うという企業姿勢を見せることは、企業のブランド価値を高める効果もあります。このような移行リスクの影響や効果から、TCFD提言の推奨開示を行っていると考えられます。

ここまで日本国内の気候変動情報の開示状況を紹介してきました。3で考察したように、日本におけるサステナビリティ開示の枠組みを決める際には、気候変動情報の開示に関する国際的な検討状況も考慮する必要があります。そこで次では、気候変動情報開示に関する国際的な動向について紹介します。

5 気候変動情報の開示の基準設定を巡る国際的な動向

GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)、IIRC(国際統合報告評議会)、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)、CDSB(気候変動開示基準委員会、CDPが事務局を務める)など、多くの国際団体がサステナビリティ情報開示に係る基準を設定しており、そのフレームワークは多岐にわたります。「多様な非財務情報開示のフレームワークと規制が存在する」、「サステナビリティ活動に係る一貫性のある定義が存在しない」といったように、統一されたサステナビリティ情報の開示基準がないことで、さまざまな課題が発生しています。

企業は複数の規制や仕組みに対応しながら効率的に情報開示を行うことが困難となり、投資家は、サステナビリティ開示データが不十分もしくは不整合である場合には、投資の評価やデューディリジェンスの実施が困難となっています。このような課題を解決するには、グローバルに一貫したサステナビリティ開示の基準を策定することが必要不可欠とされ、サステナビリティ基準の策定を担うISSBが2021年11月に設立されました。

既に国際財務報告基準(IFRS)を提供しており影響力を持つIFRS財団の主導のもと、サステナビリティ情報開示基準の設定組織としてISSBが設立されたことは、重要な動きとして捉える必要があります。

ISSBは、IFRS財団の傘下で国際会計基準審議会(InternationalAccounting Standards Board:IASB)と並列する形で設置されました。IASBが設定するIFRSに基づいて作成される財務情報(財務諸表)と、ISSBが設定するISSB基準(IFRSサステナビリティ基準)に基づき作成される非財務情報(サステナビリティ開示)が組み合わされることで、投資家などの資本市場参加者のニーズに合った情報提供が可能になります(図表11)。

図表11 投資家のニーズを満たす適合性のある基準

「これらの2種類の情報は、パズルの2つのピースのようにきちんと収まる必要がある」とIASB議長アンドレアス・バーコウ氏は2021年12月7日に行ったスピーチで述べており、ISSBのIFRSサステナビリティ開示基準がいかにIASBのIFRS会計基準と統合されるかについて注目する必要があります。

2022年に公表予定のISSB基準により、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関して、国際的に一貫して比較可能性がある高品質な報告基準の基礎が提供されることになります。

基準の公表に先立ち、ISSBの計画をまとめた2つのプロトタイプ基準(気候関連開示に関するテーマ別の開示要求および全般的なサステナビリティに関する開示要求)が公表されました。このプロトタイプ基準は、新しいサステナビリティ報告基準の概要を利害関係者に提供するために発表されたものです。

そして、2022年6月までに、既存の開示基準の設定機関であるVRF(Value Reporting Foundation:IIRCとSASBが合併して2021年6月に設立)およびCDSBがISSBに統合されます(図表12)。

図表12 ISSBへの統合

これらの機関の専門知識、コンテンツ、スタッフなどのリソースはIFRS財団に統合され、ISSBにおけるIFRSサステナビリティ基準の策定や運用に活用されます。ISSBは、既存のサステナビリティ情報開示に関する取り組みを統合する機関になると考えられます。

日本では、現在開発中のISSBの基準を踏まえてサステナビリティに関する基準を検討する必要がありますが、ISSBの基準を待つのではなく、日本もISSBの活動にコミットしていくべきと考えられます。

なお、海外の動きとしては、英国においてロンドン証券取引所のプレミアム市場の上場企業を対象に、コンプライ・オア・エクスプレインベースでTCFDに基づく開示を要求しており、2021年1月1日以降の会計年度から適用が開始されています(図表13)。

図表13 気候変動開示を巡る国際的な動き

6 まとめ

本稿では、日本におけるサステナビリティ開示の充実に向けた動向、金融審議会における有価証券報告書内での開示についての検討状況、加えて既に有価証券報告書でTCFD提言に基づく開示を行っている状況の分析結果、さらには気候変動情報の開示基準設定を巡る海外の動向について紹介しました。

有価証券報告書におけるTCFD提言に基づく開示状況には、業種により差があり、TCFD提言への賛同などの言及やCO2排出量削減目標の開示にとどまっている企業がまだ全体の約7割を占めています。

今後、日本国内の上場企業に対し、有価証券報告書で気候変動リスクに関する情報開示を義務化する方向で検討が進められており、上場企業は、有価証券報告書でのTCFD提言に基づく情報開示に向けて、準備を進めていくことが重要になると考えられます。


※1 金融安定理事会(Financial Stability Board:FSB)は、金融システムの脆弱性への対応や金融システムの安定を担う当局間の、協調の促進に向けた活動などを行う国際的な組織。

※2 東証一部上場企業のうち4大監査法人以外が監査している企業を含めた東証一部上場企業は、金融企業が138社、非金融企業が2,037社(合計2,175社)である(2021年9月末時点)。

※3 TCFDガイダンスは、企業がTCFD提言に沿った開示をより充実させることを目的として、経済産業省が2018年12月に策定した。民間主導で設立されたTCFDコンソーシアムが改訂作業を引き継ぎ、2020年7月に改訂版としてTCFDガイダンス2.0を策定している。

※4 会計基準について「その他」に分類している企業は、日本基準および「建設業法施行規則」に準じて有価証券報告書が作成されている企業1社。


執筆者

安田 裕規

PwCあらた有限責任監査法人
ESG戦略室
パートナー サステナビリティ情報審査人 安田 裕規

吉岡 小巻

PwCあらた有限責任監査法人
財務報告アドバイザリー部
シニアマネージャー 吉岡 小巻