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2020年11月3日、米国大統領選挙が行われました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大や、社会の分断を顕在化するさまざまな社会課題に見舞われる中での選挙戦を経て、2021年1月での政権交代が見込まれています。
PwCは選挙前に引き続き、選挙後の11月上旬に、フォーチュン1000企業(米国の売上高上位1,000社)を中心に米国企業のCFO(最高財務責任者)、COO(最高執行責任者)、CHRO(最高人事責任者)、税務部門およびリスク部門のリーダーを含む合計656名を対象としたパルスサーベイを実施しました。この調査の結果から、米国のビジネスリーダーがバイデン政権誕生による企業への示唆をどのように見ているのかを明らかにし、今後の事業展開を検討する上でのヒントを提供します。
民主党のジョー・バイデン氏の第46代米国大統領就任が予想される中、選挙に関連する不確実性の多くが払拭され始めており、ビジネスリーダーの間でも楽観的な見方が強まっています。こうした意識の変化に加えてCOVID-19のワクチン開発に関する大きな進展のニュースもあり、PwCの調査に回答したビジネスリーダーの40%以上が、選挙前と比べて、2021年の事業見通しについて前向きな意見を述べています。バイデン氏が掲げる政策アジェンダの内容が、共和党や、両党が拮抗する上院の存在によって、ある程度緩和される見込みが高いという予想も、企業にとっては安心材料となり得ます。
法人税の引き上げおよび医療保険体制の拡充は、ビジネスリーダーが選挙前に潜在的な政策リスクとして挙げた上位項目でした。COVID-19のさらなる感染拡大、そうした事態が企業や事業にもたらす影響、選挙で深まった国家の分断に対する懸念も、ビジネスリーダーに重くのしかかっています。これらの課題がビジネスにどのような意味を持つのか、また私たちはどのような準備を図ることができるのか、分析していきます。
調査対象者の最大の懸念は、やはり感染拡大の再加速です。回答したビジネスリーダーの半数以上(54%)が、新たな感染の波による経済封鎖が最大の懸念事項であると述べており、4人に1人(26%)が、安全かつ効果的なワクチンを多くの人々に配布できるかどうかについて、国家の能力を懸念しています。COVID-19の感染拡大が、幅広い経済・事業運営に影響をもたらし続けていることも大きな課題です。40%以上が、流動性や資本資源など財務面の影響や、感染拡大による景気後退の影響について懸念しています。また31%が、全体的な不透明感が従業員にもたらしている影響について懸念しています。
企業が変化する環境への対応を続ける中、ビジネスリーダーは、バイデン政権下における自社の当面の注力・優先事項について次のように語っています。
一部の州で選挙結果に対する訴訟が行われているものの、バイデン氏はリードを広げています。そうした中で、回答者は今後の政治的変化に伴う政策上の課題を重視していました。回答者の意見は以下の通りです。
シナリオプランニングとモデル化において、不確実性がもたらすさまざまな影響を考慮すべき
米国のビジネスリーダーは、現状に関して、消費者よりも従業員に対する影響を懸念しています。回答者の31%が従業員への影響を懸念していると答えており、これは、消費者マインドの低下(14%)や需要の減少(12%)などの消費者関連の課題を懸念している層の倍以上に当たります。
企業は、連邦政府による追加景気刺激策が近く導入されるかどうかに関わらず、この公衆衛生上の危機と高まる社会的緊張状態を切り抜けるべく、従業員を支援する具体的な計画を実施しています。企業の約4分の3(72%)が、従業員のメンタルヘルスサポートを強化しており、59%が、労働時間の短縮や休暇の延長などの新たな福利厚生策を拡充しています。COVID-19の検査や、より柔軟な職場環境に加え、育児支援(48%)やマイカー通勤(41%)もこうした福利厚生の一部です。こうした従業員の幸福度を高めるプログラムは、自動化やリモートワークが加速している状況を踏まえ、回答者の52%が挙げた「従業員のアップスキリング」への取り組みと合わせて展開されています。
COVID-19の感染拡大と社会的不安によって、企業は従業員の幸福により注力し始めています。また現在、選挙によって深まった社会的分断が従業員にもたらす影響にも注目が高まっています。ビジネスリーダーの約半数が、従業員向けにダイバーシティ&インクルージョンに関する研修を増やし、従業員が困難な社会問題について相談できるような新たな機会を設けるようにしている、と述べています。また3分の1が、組織文化として「共感」や「謙虚さ」などの特性を育むべく意識的に努力すると共に、社会問題への対応について明確な姿勢を打ち出しています。
PwCがこの一連のサーベイを開始したのは、感染拡大による経済封鎖が始まった2020年3月のことでした。それ以来、ビジネスリーダーは一貫して、テクノロジーへの投資を続けていくことが今後に向けて最も賢明な選択である、と述べてきました。6月の調査では、CFOの56%が、テクノロジーへの投資は、長期的に見て、企業にプラスの効果をもたらすと述べています。同時に、ビジネスリーダーの76%が、DXにより多くのリソースを配分していく、と答えており、72%が、2021年はサイバーリスクマネジメントにリソースを増やしていく、と述べています。
10月に実施した調査では、ビジネスリーダーにより特定されたデジタル関連投資の上位は、データアナリティクス、自動化、クラウド、カスタマーエクスペリエンス、製品・サービスのトランスフォーメーションでした。今や、企業がこういったテクノロジーをこれまでにない分野に活用していることは明らかです。これには、リモート環境での協業に向けて改善したツールを活用した職場復帰の計画策定や、デジタル・カスタマー・エクスペリエンスの拡充、環境・社会・企業統治(ESG)レポートなどの新たな開示報告要件のためのデータ収集・処理などが含まれます。ESGについて言例えば、CFOの約3分の1が、次年度のアニュアルレポートにESG開示を含める予定である、と答えています。
2020年11月9日から11月13日にかけて、PwCは656名の米国のエグゼクティブを対象に調査を実施しました。調査対象には、CFOおよび財務部門リーダー(35%)、 税務部門リーダー(18%)、 CRO、CAE、CISOを含むリスク管理部門リーダー(17%)、 CHROおよび人事部門リーダー(16%)、COOおよび執行部門リーダー(14%)が含まれます。回答者は、金融サービス(28%)、工業製品(26%)、消費者市場(18%)、テクノロジー・メディア・通信(11%)、医療産業(9%)およびエネルギー、公共事業および鉱業(8%)の6セクターの公的・民間企業に所属しています。回答者の73%が、フォーチュン1000企業に所属しています。PwCパルスサーベイは、企業エグゼクティブの意識変化と優先課題を調査するために継続的に実施しています。
※本コンテンツは、PwC米国が2020年11月に発表した「Post-election policy outlook: With change in the White House, what’s changing for US companies?」を抜粋し、翻訳した要約版です。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。