テクノロジー・メディア・情報通信業界における世界のM&A動向:2022年上半期アップデート

全ての市場において不確実性が高まっており、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT:Technology Media and Telecommunications)業界における M&Aの 見通しも新たな局面を迎えています。それでもデジタル化の推進が最優先課題であることに変わりはありません。

2022年下半期、TMT業界では引き続き活発なディールが行われると予想しています。デジタル化の推進は、世界市場における影響力や存在意義を高めることにつながるためです。2022年上半期において、全世界・全業界のディール総額のうち、ソフトウェア関連ディール金額はその約4分の1を占めました。

現在、市場は非常に不安定な状況(世界的な市場の変調、インフレ、金利上昇、課税、規制、新型コロナウイルス感染症の影響など)にあるものの、ディールメーカーはこうした急速な変化が、テクノロジー分野を中心とした大規模なM&Aの機会創出につながる、という楽観的な姿勢を崩していません。変化する情勢をむしろ契機として、TMT業界のプレーヤー、特に資金の潤沢な企業やプライベート・エクイティ(PE)ファンドは競争力を維持し、景気後退リスクなど不確実な現在の状況を乗り切るために、2022年下半期にかけてM&Aに乗り出すと予想しています。

現在、インフラ対応技術分野のバリューチェーン全体において、強力なM&Aの機会創出を後押ししているのが消費者需要です。デジタル化がもたらす体験への長期的な移行トレンドは、光ファイバーネットワークの拡張やデータセンター容量の増大などの分野における法人セグメントへの投資を活発化させています。また最近では、メタバースや関連テクノロジー(拡張現実、仮想現実、非代替性トークン、デジタルコンテンツなど)への注目も高まっています。

「TMT業界におけるディール活動は昨年過去最高水準となりましたが、デジタルディスラプションが続く今年も、分野を問わず非常に高い水準が続くものと見られます。思慮深い投資家にとって、最近の世界情勢は新たな不確実性をもたらす一方で、同時に新たな機会を創出するものでもあるのです」

Alex BakerPwC米国 プリンシパル

今後の見通し

企業の成長戦略の成功に不可欠なDX、テクノロジー、クラウドコンピューティング、データ活用のケイパビリティに対する需要から、TMTディールに対する投資家の関心の高さは今後も継続すると予想されます。

テクノロジーとイノベーションの領域の成長は急速に進んでいます。市場のボラティリティと不確実性は高まっているものの、今後テクノロジーが果たしていく役割を企業が取り込む機会は十分に残されており、こうした状況はむしろ、今後数カ月間にわたって活発なM&Aを促す要因になると思われます。

※本コンテンツは、PwC米国が2022年6月に公開した「Global M&A Trends in Technology, Media and Telecommunications: 2022 Mid-Year Update」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

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