
物流の進化を導く荷主と物流統括管理者が創る新たな連携モデル
「荷主と物流統括管理者が創る新たな連携モデル」という視点から、物流の進化をリードするために必要な物流統括管理者の役割や具体的な実践内容について考察します。
Playback of this video is not currently available
投資家は今後1年間の世界経済の成長について楽観的な見方をしているようです。PwCが実施した「グローバル投資家意識調査2024」の回答者の半数強が、2025年は世界経済が成長すると予想しているのに対し、世界経済が衰退すると予想しているのは3分の1以下です。さらに、マクロ経済の変動やインフレーションを主要な脅威と考えている投資家はわずか3分の1です。2年前は3分の2の投資家がこれらを主要な脅威とみていました。その一方で投資家は、今回調査した主要な脅威のほとんどをほぼ同レベルで評価しています。相互に関連する複数のリスクが存在する複雑でダイナミックな事業環境の中で、企業は機敏かつ弾力的であることが求められています。
一方、気候変動の脅威に対するエクスポージャーは横ばいです。また、今回新たに追加された2つの質問に対する回答では、投資家のおよそ3割が、企業はテクノロジーによるディスラプション(混乱)を非常に懸念している、または極めて強く懸念している認識しており、主要なスキルを持つ労働者の供給力低下に直面していると回答しています(下図参照)。
今回で4回目となる年次投資家意識調査では、さまざまな地域、アセットクラス、投資アプローチに携わる345名の投資家およびアナリストを対象に、投資先企業やカバーする企業に対する期待について詳しく伺いました。投資家へのアンケート調査およびフォローアップインタビューを通じて、世界的な脅威、テクノロジーと生成AIへの期待と課題、専門家が企業に求める定量的・定性的情報、経営陣への信頼などについての見解を伺いました(調査方法についてはこちらをご覧ください)。
改革の必要性:投資家にとって、技術革新と新しいビジネスのやり方は引き続き最重要課題です。投資家の70%以上が、企業が価値を創造し、提供し、獲得する方法を変えざるを得ない最も重要な要因は技術の変化であると認識しています。また、3分の2近くの投資家が、政府の規制、顧客の好みの変化、サプライチェーンの不安定性などに対応して企業がイノベーションを起こすことが極めて重要、またはとても重要であると回答しています。さらに、競合他社の行動、地政学、人口動態の変化についても、半数以上が同様の回答をしています。
テクノロジーと人工知能(AI):投資家の大多数は、生成AIの将来について、特にスケーラビリティ、ROI(投資収益率)の測定、労働力への影響、ステークホルダーの認識、設備投資に関して、楽観的な見方を維持しています(課題よりも機会と認識している回答者の割合が2倍以上高い)。また、投資家の4分の3近くが、企業はAIを大規模に展開するために投資をある程度(42%)または大幅に(31%)増やすべきだと回答しています。
気候変動への適応:一部の国や地域で、企業の持続可能性への投資に対する監視が強まる中、投資家の50%が、気候変動に対応して企業が価値を創造、提供、獲得する方法を変えることが極めて重要、またはとても重要であると回答しています。さらに26%が、そのような変化はある程度重要であると回答しています。また、71%の投資家が、企業はESGおよびサステナビリティを企業戦略に直接組み込む必要があると回答しています。さらに、3分の1の投資家が、企業は、たとえ短期的な収益性が低下しても、事業に関連するESGおよびサステナビリティの問題に対処するための支出をおこなうべきであることに、同意または強く同意しており、さらに、35%の投資家が「どちらかというと同意できる」と回答しています。
コミュニケーションによる信頼:注目すべきは、投資家の約3分の2が、長期的な意思決定、会社の目的および価値観と一貫性のある意思決定、危機を乗り越え会社を導くこと、株主利益への対応について、経営陣を信頼していることです。また、86%の投資家が、危機や新たな展開に対応する企業の機敏性は投資意思決定の重要な要素であることに同意しています。
これら4つの主な調査結果は、投資家にとって最も重要な問題に対処するために企業が取るべき行動を示唆しています。以下において、それぞれについて詳しく説明します。
メガトレンドが競争環境の形を変え続ける中、企業はあらゆる角度から継続的な適応を迫られています。実際、投資家の半数以上が、PwCが調査した8つのトレンド全てに対して、投資先企業がビジネスモデルを改革することが「とても重要」または「極めて重要」と回答しています(下図参照)。リストの中では技術の変化が最上位であり、回答者の71%が「とても重要」または「極めて重要」と評価しています。次いで、政府の規制、顧客の好みの変化、サプライチェーンの不安定性となっています。
企業が利益を生み出す方法、顧客へのサービス提供方法、新製品やサービスの提供方法を根本的に変えるためのアプローチは、企業によって異なります。本調査では、投資家の約4分の3が、投資先またはカバーする企業はある程度、または大幅に従業員のスキルアップへの投資を増やすべき(74%)、将来の国際的危機へのレジリエンスを強化すべき(73%)、AIソリューションを大規模に採用すべき(73%)と回答しています。
CEOや経営陣は、それぞれのトレンドに対して個別に対策をとろうとしています。しかし、それらのトレンドは相互に影響しあっています。もし、リーダーがこれらのメガトレンドの収れんしていく先において成功を収めようとするなら、多くの企業は事業を再構築する必要があります。特に、テクノロジー、地政学、規制、人口動態、気候変動といった相互に影響を及ぼすトレンドが、3つの重要な価値の源泉、すなわち顧客のニーズと期待に応えること、企業のサプライチェーンを管理すること、そして他社との関係を見直すことに収れんされていく中で、経営陣としてはそれに適応するためのレジリエンスと柔軟性が必要となります。
顧客を優先する。調査結果によると、投資家の61%が、企業が顧客の好みに対応してビジネスモデルを見直すことがとても重要、または極めて重要であると考えています。企業は、新たな製品やサービスの開発・革新、新たなオペレーティングモデルの設計、新市場への進出など、新たな事業価値の源泉を特定することを考えるべきです。
サプライチェーンの安定化。多くの投資家にとって、安定したサプライチェーンは引き続き優先事項です。68%の投資家が、企業はサプライチェーンのリスクを軽減するために投資を増やすべきであり、60%の投資家が、そのためには企業がビジネスモデルを見直すことがとても重要、または極めて重要と回答しています。とりわけ、サプライチェーンのレジリエンスを強化するために、企業は短期的なリスク軽減から長期的な安定性により重点を置くべきです。レジリエンス強化には、調達と流通における地理的多様性の拡大も必要かもしれません。さらに、企業は、サプライチェーンの俊敏性と応答性を向上させるために、AIと機械学習を取り入れるべきです。
エコシステムを探る。投資家のほぼ6割、57%が、競合他社の行動に対応して企業がビジネスモデルを見直すことがとても重要、または極めて重要だと考えています。そして、全ての脅威の項目が、投資家にとってほぼ同等の関心度で示されていることを考えると、CEOは、何かひとつに偏って対応することはできません。競合他社との相対的な戦略についてどのように考えているのか、非常にバランスのとれた視点を持つ必要があります。そうすることで、新たな顧客や市場、顧客ニーズに関する新たなデータ、新たな補完的スキルや能力へのアクセスを得ることができます。
投資家の3分の2が、生成AIによって投資先企業の生産性が今後1年以内に少なくとも5%向上すると考えており、ほぼ同数の投資家が、生成AIによって収益と採算性が同程度向上すると考えています。今回の調査結果は、投資家が今後1年間だけでもAIに大きなチャンスがあると見ていることを示唆していますが、インタビューした投資家の中には、導入はまだ初期段階であり、今のところAIは単純で明確なプロセスを自動化するのが最も効率的であろうという意見もありました。
さらに、PwCの調査では、採算性、収益、生産性の向上が労働者の犠牲のもとで達成されると予想している投資家はほとんどいないことがわかりました。生成AIが5%以上の人員削減につながると考えている投資家はわずか3分の1であり、同程度の割合の投資家は逆に5%以上の人員増加につながると見込んでいます(下図参照)。
もちろん企業や業界によって状況は異なります。しかし、AIが雇用に与える影響を懸念する一般的な見方を考慮しても、生成AIが2025年に生産性を向上させると回答した投資家の割合(66%)よりも、投資先企業が労働者のスキルアップを行うと回答した投資家の割合(74%)の方が多い結果になったことは注目に値します。
最後に、投資家の約3分の1(36%)は、企業が2025年、サイバーリスクにとても、または極めて強くさらされると認識しています。PwCの2018年 グローバル投資家意識調査では、41%の投資家がサイバーリスクを企業が直面する脅威のトップ3のひとつに挙げていました。過去3年間、この脅威はほぼ横ばいでしたが、インフレやマクロ経済の変動に対する懸念が低下したことで、サイバーセキュリティは投資家が考える企業の脅威のトップに返り咲きました。また、非財務項目との比較においては、コーポレートガバナンス、イノベーション、マネジメント能力、さらには人的資本管理に対する投資家の懸念とほぼ同水準となっています。
一般的なAI、特に生成AIの可能性は、企業がAIをどのように利用するか、また逆にそれがどのように企業に対して不利に展開される可能性があるかという両方の視点で、投資家が関心をもつ大半の領域に影響を与え続けています。一方で相当程度の懐疑論があるのも事実です。ある投資家は、「(AIに投資した資金が)賢明な使われ方をしているかどうかを部外者が判断するのはほとんど不可能だ」と述べています。他の投資家は、企業がただ単にAIに多額の投資をしていると説明するだけでなく、AIをどのような場所で、どのような目的で使うつもりなのか、具体的な事例を開示してほしいと語っています。投資家の懸念に対処するため、私たちの調査とインタビューでは、企業が行動すべき3つの機会があることも浮き彫りになりました。
サイバーセキュリティを強化するためにAIを導入する。AIの驚異的な能力は、サイバーセキュリティにとって恩恵であると同時に脅威でもあります。投資家へのインタビューでは、AIが企業のセキュリティを標的にした場合に生じる悪影響に関する懸念が高まっていることがわかりました。ある投資家は、「AIを使えば、サイバー攻撃を仕掛けるのに専門的なプログラマーである必要はない」と述べています。また、企業の予防態勢にギャップを感じているのは投資家だけではありません。PwCの2025年版のサイバーリスクに関する調査(Global Digital Trust Insights ) によれば、「最も懸念されるサイバー脅威のトップ4は、クラウド関連の脅威、ハッキングとリーク操作、第三者による侵害、コネクテッド製品への攻撃であり、これらはセキュリティ責任者が最も対処の準備ができていないと感じているものと同じ項目」です。しかし、経験豊富な組織であれば、AIを活用してセキュリティを強化する機会を捕捉すると同時に、AIを活用したシステムを脆弱性から守ることができるでしょう。
従業員に投資する。投資家は、企業が従業員のスキルアップへの投資を増やすことを求めており、それは投資家が期待するような生産性の向上につながる可能性があります。従業員にAIを効果的に活用できる能力を身につけさせ、ガバナンスとコントロールを導入することで、企業はバイアスや誤った情報を最小限に抑えながら、有意義な洞察を提供するAIシステムを構築することができます。PwC「グローバル従業員意識/職場環境調査「希望と不安」2024」では、生成AIを利用したことのある従業員のうち70%が、そのツールによって職場で新しいスキルを学び、職場でより創造的になり、仕事の質を向上させる機会が生まれることに同意しています。それは、企業がAIから効率的な利益を得るだけでなく、イノベーションと成長を促進するためにテクノロジーを活用する最善の方法かもしれません。
生産性を優先する。企業は、長期的なイノベーションに向けた土台を築きつつも、短期的に何らかのメリットを示す必要があります。投資家は今後1年以内に生産性が向上することを期待しているため、AI導入が企業にとって重要な意味を持つ場合は、AIによる壮大なビジョンの実現を待つのではなく、プロセスの自動化などの具体的な成果をあげるために今すぐ迅速に動くべきです。例えば、テクノロジーによるソリューションが現在利用可能な場合、企業は行動を起こし、リソースの最適化、排出量の削減、労働生産性の向上をどのように行っているかを伝えることができます。同時に、企業は環境パフォーマンスや社会的利益を効率的に向上させるなど、長期的にAIがもたらす機会を実現するための実行計画に着手する必要があります。
私たちが明らかにした4つの主な調査結果の3つ目は、気候変動の影響です。2024年調査において、投資家の3分の1近くが、投資先またはカバーする企業における今後1年以内の脅威のトップに気候変動を挙げています。これは、インフレ、マクロ経済の変動、テクノロジーによるディスラプションを最大の脅威とする割合とほぼ同じ水準です。さらに、64%の投資家が、企業は二酸化炭素排出量削減の取り組みへの投資をある程度または大幅に増やすべきだと回答しています。
このような回答者が、当該企業に投資するかどうかは、気候変動に対する取り組みが将来の価値創造につながる可能性を企業が示すことができるかにかかっています。前述したように、短期的な収益性を低下させる 投資を支持する投資家は多くはありません。一方、回答者の約4分の3は、気候変動に関連する一定の行動をとっている企業への投資を、ある程度または大幅に増やすと回答しています(下図参照)。その中には、サプライヤーやコミュニティと協力して持続可能なバリューチェーンを構築する(80%)、顧客が気候変動の影響に適応または軽減できるような製品やサービスを革新する(77%)、物理的な気候変動リスクに対するレジリエンスを構築する(73%)、再生可能エネルギーの利用を拡大する(72%)が含まれます。私たちがインタビューしたある投資家の言葉を借りれば、「営利を目的とする企業は...同時に社会に貢献する」ことが重要です。
気候関連の義務的開示要件が進化し続ける中、多くの企業にとっての課題は、ビジネスにとって何が重要かを投資家にどう伝えるかという点です。私たちがインタビューしたある投資家は、「企業が堅牢な組織を構築し、適切な方法で報告とモニタリングを行っている場合、投資家の観点からは、そのような活動を企業の主要な企業戦略の一部として前向きに評価できます」と述べています。
透明性をさらに高める。経営陣が長期的な意思決定を行うという投資家の強い信頼が示されるにもかかわらず、調査回答者の44%は、企業の持続可能性(環境問題や社会問題など)に関する企業の実績報告には、相当、または極めて広い範囲で裏付けのない主張が含まれていることに同意しています。この項目に関する調査結果は、過去2年間、ほとんど変化が見られません。企業が持続可能性に関する開示において投資家の信頼を得るためには、まだやるべきことが数多くあることを示しています。
理想的には、ある投資家が述べたように、企業が「十分な情報を提供してユーザーが企業の財務パフォーマンスと財務状況について自らの見解を導き出すことができるようにする」ことが重要です。また回答者は、企業は自社が選択した一部の項目だけではなく全ての重要なサステナビリティ情報について保証を付与すべきであることに同意しています。重要な点として、投資家の4分の3以上(76%)は、投資先またはカバー先の企業が報告するサステナビリティ情報が保証されている場合、より高い信頼度を置くと回答しています。また、ほぼ同数(73%)の回答者が、企業のナラティブ開示、サステナビリティ指標、KPIは財務諸表と同じレベルで保証されるべきであることに同意、または強く同意できるとしています(下のグラフを参照)。
移行計画に磨きをかける。ネットゼロ移行計画の策定を義務付けていない規制もありますが、移行計画を策定している企業はそれを開示する必要があり、策定していない企業はその理由を説明する必要があります。また、移行計画は、企業がネットゼロのコミットメントを達成するために必要なガバナンス、目標、行動、リソースを企業固有の状況を踏まえて説明するものです。そのため、投資家は、企業が説明する内容が優れた取り組みなのかどうかを評価するのは難しい可能性があるため、企業はナラティブな説明だけでなく定量的な指標を示すべきでしょう。
投資家のほぼ4分の3が、企業の移行計画のガバナンスを、ネットゼロ移行計画のとても重要な側面、または極めて重要な側面と見なしていると回答しています。また、3分の2の投資家が、関連する資本支出や営業支出についても同様の回答をしており、半数以上の投資家が、企業のネットゼロへのコミットメントに対する意欲と、それを達成するためのロードマップを、企業の移行計画のとても重要な側面、もしくは極めて重要な側面と捉えています。要するに、ネットゼロへのコミットメントの信頼性と意義を示すために、企業は投資家に対して、どのようにコミットメントを達成する見込みなのか、また関連する資本支出や営業支出を開示することに重点を置くべきであるということです。それは、ネットゼロのコミットメントそのものよりも重要かもしれません。
今日の投資家は、企業の財務パフォーマンスだけでなく、広範なトピックに関する情報をまとめ、分析しています。その中で、投資家はコーポレートガバナンス(監督、リスク管理、統制、倫理を含む)を企業の評価にとって最も重要なものとして挙げています。イノベーション、マネジメント能力、人的資本管理、サイバーセキュリティが上位5位を占めています(下図参照)。
しかし、多くの情報源から情報を選別するのは難しい状況です。さらに難解な表現、中途半端な、あるいはそれ以下の真実があふれているため、誰もが何を信用すればいいのかわからなくなっています。ある投資家が語っていたように、企業により多くの情報が求められる中、投資家が抱える本当の問題は、開示された情報が検証可能で正確かどうかを実際に知ることができるかです。
AIの活用に対する評価は定まっていません。投資家の3分の1が、AIの活用によって企業が公表する情報を分析する能力が大幅に増強されたと回答しています。一方、3分の1の投資家は活用による効果は部分的なものにとどまると回答しています。
投資家が投資判断を下す際に、定量的な情報よりも定性的な情報を重視しているケースもあるようです。
例えば、マネジメント能力の評価については、投資判断を行うにあたり相当あるいは極めて広い範囲で十分な定量的情報を有していると回答した投資家は44%にとどまったのに対し、定性的情報については63%が同様の回答をしています。
同様に、イノベーションについても、投資判断に資する十分な定量的情報を有していると答えた投資家は43%に過ぎないのに対し、定性的情報については57%が十分な情報を有していると答えています。
投資家とのコミュニケーションは簡単ではありません。ある投資家は、「正しいことをしているにもかかわらず、それをうまく伝えられていない企業があるようです。また、正しいことをしていないにもかかわらず、それをうまく伝えている企業もあります。一方、正しいことを行っていて、同時に効果的にコミュニケーションがとれている企業は、ほとんど見かけません」と述べています。しかし、本調査の調査結果からは、企業がコミュニケーションを改善する上でできることが示唆されています。
投資家がどこで情報を得るかを知る。ほとんどの投資家は、主に企業自身が投資家を対象に発信する情報に依存する傾向があります。大半の投資家が、投資家向けコミュニケーション、企業との直接対話、マテリアリティ評価や開示、アナリストレポートなど、複数の情報源を頼りにしていると回答しています。実際、財務諸表や注記の開示に相当依存する、または極めて広い範囲で依存すると回答した投資家は、2023年(66%)より大幅に少なくなっています(55%)。ソーシャルメディアについても同様の回答をしているのは3分の1程度です。
例えば、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のような規制の下では、企業は重要な課題であるマテリアリティについて定量的・定性的情報の両方を開示する必要があり、主要な投資家が直接情報を求めてきた場合に備える必要があります。多くの企業がそのような行動をとることになるでしょう。
なぜなら調査回答者の40%が、投資先またはカバーする企業と定期的にエンゲージメントを実施しており、45%が特定の関心や懸念がある場合にはエンゲージメントを実施していると回答しているからです。
メッセージングをより広範に管理する。優れた経営者は、企業の行動やパフォーマンスを伝えるあらゆる方法を注意深く監視し、財務諸表や規制で求められる開示だけではなく、定性的なナラティブやプレス開示においても一貫した検証可能な情報の提供に努めています。
投資家の3分の2が、経営陣に対する信頼が企業のサステナビリティ開示に対する信頼につながると回答しています。
一方で、同じ割合の投資家が、より基本であるデータの前年比での一貫性と比較可能性が確保されていることも信頼の基礎になると述べていることも事実です。
このことは、規制要件の変化やデータの可用性が高まることにより企業が情報開示を強化する際、過去に開示した情報との不一致が生じる場合には明確に説明すべきであることを示唆しています。また、企業が第三者による保証が必要な情報を特定する判断を行う際には、より広い視野を持つべきです。
実際、投資家の75%以上が、保証の存在によって信頼が高まることに同意しています。投資家が後日矛盾を発見した場合、苦労して手に入れた信頼が損なわれる可能性があります。
主要な投資家に対して開示要件を教育する。投資家が企業の開示情報を適切に評価できるようにするため、企業は投資家とのコミュニケーションの中に、規制要件に関する平易な説明を含める必要があります。本調査を行った時点において、CSRD、国際財務報告基準(IFRS)、EUのコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)、欧州(EU)AI規制法の報告要件について、半数以上の投資家は「ある程度」の理解にとどまっているからです。
企業が2025年に直面すると投資家が予想するさまざまな脅威の中で、どれか一つの脅威が突出しているということはありません。企業のCEOが一般的なリスクに対応する中で、投資家は世界経済が成長することを見込んでいます。ほとんどの投資家は、テクノロジーによるディスラプション、政府の規制、AIが企業に与える影響が特に大きく、企業は価値を創造、提供、獲得する方法を変えざるを得なくなると考えています。また投資家は、企業がステークホルダー、エコシステム、気候変動との関係を見直す必要に迫られるとも予想しています。さらに、新たな規制要件が施行されるのに伴い、投資家もまた企業業績の透明性の向上を求めていくことになるでしょう。
著者らは、本レポートの作成に貢献したEleanor Larner、Caitlin McDonald、Elliot Whittinghamに感謝します。また、貴重な時間を割いてアンケートに回答いただいた投資家の皆様、個別のインタビューに応じていただいた投資家の皆様に感謝申し上げます。
※本コンテンツは、PwC's Global Investor Survey 2024を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
「荷主と物流統括管理者が創る新たな連携モデル」という視点から、物流の進化をリードするために必要な物流統括管理者の役割や具体的な実践内容について考察します。
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
日本の保険会社は競争力を維持し、グローバルに成長するために、変革を続けなければなりません。本稿では、今日の課題を乗り越えながら自ら変革しようとする日本の保険会社の2025年における必須事項のトップ10について解説します。
サステナビリティ情報の開示への要求が国内外で高まっています。本書籍では、国内外のサステナビリティ第三者保証の最新情報を踏まえ、サステナビリティ報告と保証に対する実務対応について解説します。(中央経済社/2025年3月)