行動14:相互協議の効果的実施

概要

行動14(相互協議の効果的な実施)は、国際税務の紛争を国家間の相互協議や仲裁により効果的に解決する方法を策定することを目的とした取組みです。

行動14に関する議論については、2014年12月18日にディスカッションドラフトが公表され、パブリックコメントおよびパブリックコンサルテーションを経て、2015年10月5日に最終報告書が取りまとめられました。

最終報告書では、実効的な相互協議の実施を妨げる障害を除去するための措置として、次に掲げる3つの事項について、最低限対応すべき措置(ミニマム・スタンダード)と実施することが望ましい措置(ベストプラクティス)がそれぞれ提言されています。その内容はディスカッションドラフトの内容と変っておらず、基本的には、2007年2月にOECDから公表された「実効的な相互協議マニュアル『MANUAL ON EFFECTIVE MUTUAL AGREEMENT PROCEDURE (MEMAP)』」に沿ったものとなっています。

  1. 相互協議手続の誠実な実施と事案の適時解決のための措置
  2. 租税条約上の紛争の予防及び適時解決に資する行政手続の確保のための措置
  3. 納税者による相互協議へのアクセスを確保するための措置

また、ミニマム・スタンダードの実施を確保するため各国における実施状況をモニタリングすることとしており、モニタリング方法については2016年10月に公表されました。その後、順次モニタリングが行われています。

なお、仲裁制度の導入についてはOECD加盟国及びG20の全ての国の同意は得られなかったため、導入に賛成する20ヵ国により、多国間協定の開発(行動15)の作業の一部として、具体的な仲裁制度に関する条約上の規定についての策定作業が継続して行われています。

我が国では、最終報告書でミニマム・スタンダード及びベストプラクティスとして挙げられている項目については概ね実施済となっています。今後は、仲裁制度の導入については、多国間協定の開発への参加を通じて整備が進められていくことが予想されます。