
VRゴーグルで実現するハイブリットワーク時代の新しいコミュニケーション―PwCあらた有限責任監査法人PwC入所式の事例―
2022年12月に新入職員の入所式をメタバース(仮想空間)で開催し、初めての試みとして全新入職員にVRゴーグルを着用してもらいました。今回はその実現に向けた取り組みと、コミュニケーションツールとしてのVRゴーグルの可能性を紹介します。
2021-09-07
PwCあらた有限責任監査法人は、先端技術を活用してクライアントがデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する際のリスク対策を支援しています。私たちは、監査のノウハウを生かして組織のITを評価し、課題や改善策を提示します。さまざまな組織に関与する中で得た知見を活かして、DXを実現するための施策立案だけでなく、リスク対策も合わせて支援する案件が増えています。
本稿では、DX実現のために必要なプラットフォームについて考えます。組織がDXを推進する上で、これまでに投資してきたIT基盤がその障壁になっていることがあります。そのような場合、DX実現のためにどのような解決策が考えられるでしょうか。
「うちのIT基盤では、DXを始めようにも無理があると思いませんか」
「業務を変えなければいけないのは分かっているのに、上層部の理解が足りないんです」
組織内部のネットワークやサーバー、PCなどの「IT基盤」の構築・運用を担当されている部門の方から、このような悩みを伺うことがあります。
IT基盤に対しては、ITの利用者だけではなく、業務のデジタル化を企画する担当者からも組織の外に拡張することに対する要望が寄せられます(図表1)。IT基盤が変わらないと、例えばリモートワーク中や出張先からITシステムにアクセスできない、またクラウドサービスに象徴される外部の最新技術を活用できないなどの制約を抱え続けることになります。
IT基盤の拡張には、その要望に応じたさまざまな技術の活用が考えられます。
クラウドサービスを使って内部向けのシステムを構築する場合、各システムが個別にクラウドサービスの利用を検討し、次第にそれが増えると、クラウドサービス事業者との契約管理、通信回線、セキュリティの設計などにおいて、重複やばらつきが発生します。そこで、ネットワークの接続を内部ネットワークの管理者がとりまとめれば、無駄を抑えることができます。さらに、業務システムの開発者はネットワークの検討を最小限にしてクラウドサービスを選定したり利用したりすることに専念できます。そのために、組織内部のネットワークをクラウドサービス事業者に延伸することがよく行われています。
組織内部のネットワークに外部組織のシステムを接続する場合、接続先が増えると、組織で用意するネットワークが複雑になって管理も複雑になります。また、組織内部の基幹ネットワークに想定を超える量の通信が発生するかもしれません。そこで、組織内外をつなぐ境界ネットワーク上には企業間のゲートウェイを設けることがあります。これにより、想定を超えるリクエストの急増があっても、流量を制御して組織内部のシステムを守るなど、接続の安定性を確保することができます。
また、リモートワークを行うために業務持ち出し用のPCを調達して従業員に配布する場合、従業員の自宅からリモート会議を行うだけであれば、そのPCからインターネットを経由してクラウドのリモート会議システムにアクセスすれば済むでしょう。しかし、組織のネットワーク内にあるシステムにアクセスするためには、ネットワークのアクセスポイントを作り、セキュリティの監視やログ収集を行ったり、また持ち出した端末の紛失や盗難に備える仕組みなどを組み合わせて構築したりする必要があります。
従来のIT基盤は、コンピューター資源を組織外に物理的に持ち出さないことでセキュリティを保っていました。そのため、上記のように個々の要望に沿ってIT基盤を無秩序に拡張すると、これまでの運用を崩すことになり、セキュリティ上のリスクが伴います。
システムを維持するためには相応の仕組みが必要です。そしてこの仕組みは、個別の要望ごとに用意するのではなくて組織全体をカバーすることが重要です。図表2ではそれらを「業務共通サービス」と表現しています。
DXを実現するために拡張した基盤、そして業務共通サービスを「プラットフォーム」として管理すれば、同様の仕組みが別の業務で必要となった場合にもサービスを共同利用し、コストをシェアすることができます。
一方、こうしたプラットフォームの構築には、さまざまな課題があります。
クラウドサービス活用に対して、多くの組織ではデータプライバシーに対する懸念を持っています。このことは、PwC Japanグループが行ったDX意識調査の結果からも明らかになっています。
例えば、機密情報がインターネット上に漏洩するリスクに対して、プラットフォームによる防御が妥当か、既存のITで十分に対処可能かを検証する必要があり、セキュリティ運用の担当者からは慎重な対応を期待されます。
従来、IT基盤はIT部門が管理していました。昨今、IT部門内では分業が進み、予算は案件単位に細分化されています。また、IT基盤に関わる担当者は、IT部門外にも広がっています。例えばリモートワークは、新しい働き方の実現のためだけではなく、集合研修の削減、執務拠点の被災または通勤困難事態に備えた業務継続性対策として企画されることもあります。その場合、人事部門、リスク管理部門もIT基盤に関わる当事者となります。また企業グループ経営においては、グループ各社のIT部門と協調して企画する必要もあります。
プラットフォームには、多様な機能を含む業務共通サービスを実現するために一定の投資が必要です。「リモートワークを実現したい」「クラウドを利用したい」という単体のニーズで効果を出すことは難しいかもしれません。
前編では、DX実現のために必要なプラットフォームについて、その概要と課題を中心に説明しました。後編では、これらの課題を解決するための施策の一例を紹介します。
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