
VRゴーグルで実現するハイブリットワーク時代の新しいコミュニケーション―PwCあらた有限責任監査法人PwC入所式の事例―
2022年12月に新入職員の入所式をメタバース(仮想空間)で開催し、初めての試みとして全新入職員にVRゴーグルを着用してもらいました。今回はその実現に向けた取り組みと、コミュニケーションツールとしてのVRゴーグルの可能性を紹介します。
2021-09-14
前編では、デジタルトランスフォーメーション(DX)実現のために必要なプラットフォーム構築の課題を中心に説明しました。では、IT基盤の担当者は、プラットフォームの構築をどのように進めるべきでしょうか。後編では、プラットフォーム構築に向けた解決策を紹介します。
プラットフォームの構築にあたっては、まずシステム利用者のニーズを具体的に把握しなければなりません。例えば、「リモートワークを実現したい」という要望に対し、「リモートワークの推進は、行政当局からの要請である」といった抽象論ではなく、「営業部の社員が地方出張が制限されている中で大口顧客との関係を維持するため、在宅勤務中にリモート会議を実施する機材を必要としている」といった具体的なビジネスニーズに落とし込むことが重要です。
前編で「業務共通サービス」として紹介した、システムを維持するための仕組みは、どのようなDXを実現するにあたっても共通して必要となるものです。また、プラットフォームを構想する前から、一部の業務を対象として、業務共通サービスの一部を実現している場合が少なからずあります。その場合、部門ごとに企画するのではなく、関係部門の担当者が集まって予算をまとめた方が、理想的なプラットフォームを作ることができます。
関係部署から担当者を集めて、IT基盤の制約を洗い出します。その上で、施策の実現難易度、必要予算、効果(業務効率向上、費用削減など)の観点から組織に合った指標を選択し、優先順位を討議します。IT基盤の有識者が集まると、IT基盤運用者としての悩みが幅広く持ち込まれることがありますが、そのような場合には、アプリケーション利用者のDXに対象を絞るなど、必要に応じて議論を整理すると良いでしょう。図表3は、実現難易度と効果の2つを軸に優先度の高い施策を選定しています。
施策を、1)ただちに着手すべきもの、2)中期間で実現するもの、3)将来課題とするものに分類し、1)および2)の施策を実施した場合のプラットフォームの全体像を示し、関係者と共有します。
プラットフォームの構築にあたっては、予算承認者にその必要性を理解してもらう必要があります。ただし現実には、プラットフォームの説明だけで承認者にビジネス上の効果を説明することは難しい場合があります。当初は小さく始める「スモールスタート」の方が企画を通しやすい組織もあるでしょう。全体像を描いて今後の投資が最適化されていることを示しつつ、具体的な業務におけるDX対応やクラウド適用などで当初予算を獲得することも考えられます。
IT基盤を組織外に拡張した分、管理する範囲が広くなり、その結果セキュリティ対策が手薄になることは許されません。また、新しいIT利用のあり方には、従来のルールを当てはめることが難しくなります。そこで、現行のセキュリティ管理態勢を見直す必要が出てきます。
プラットフォームの構築により技術面の補強があっても、それを組織が使いこなせなければ、その効果は意味をなしません。セキュリティ対策にあたって、どこまで堅い守りにすべきかを判断する上では、公的機関が発行するガイドラインの要求事項が目安となります。
規程類の見直しを起点に、マニュアル類の整備、研修の開催、さらには遵守状況のモニタリングにつなげ、セキュリティを現場に浸透させる必要があります。
セキュリティを確保する一方で、組織内にあるデータの活用についても検討する必要があります。データを取り扱うサービスは豊富にありますが、それらのサービスに対してどのように情報を受け渡すのかはIT基盤でも検討が必要です。
例えば、データを活用するための新しいサービスをクラウド上に構築するとします。このサービスには、これまで基幹システムに蓄積してきた過去データが不可欠です。基幹システムから新サービスへのデータの受け渡しにはさまざまな方法がありますが、ここでは3つのアプローチ例を検討してみます。
それぞれ、主な特徴をまとめます(図表4)。
どの方式を選択すべきかは、基幹システムの仕様や基幹システムの更改時期などによって個々の組織で判断が必要です。また、組織全体として業務データの活用を考える場合は、直近で検討している基幹システムと新サービスの接続だけではなく、今後、同様の新サービスが増えていく可能性も考慮して検討するとよいでしょう。
いずれにしても、基幹システムをクラウドに接続するためには何らかの機能やサービスが必要です。それをプラットフォームの機能に追加して考えることで、データ活用のニーズにも対応できるようになります。
大きな組織では、どれかひとつの方式に統一するということではなく、基幹システムと周辺システムとでアプローチを変えることが少なくありません。IT基盤の改善自体を目的にするのではなく、組織がデータを活用して業務をより良くしていくことを目的に据えることで、プロジェクトの価値が高まります。
IT基盤(ネットワーク、サーバーシステムなど)に課題を抱える組織では、IT基盤の更新自体を目的にせず、戦略的に進めることが重要です。業務上の必要性について関係者からの理解が得られやすくなる上、個々の施策を部門ごとにばらばらに進めるよりも費用対効果が高くなります。また、セキュリティおよびデータの活用についても考えることで、DXの実効性がより高いものとなります。
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