リモートネイティブ世代が業務のデジタル化を語る ―リモート環境を活かしたイノベーションの好循環【後編】

2021-11-30

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)の若手がリモートワーク環境下ならでは働き方について語り合う本企画。前編では、リモートワーク環境に移行したことにより、業務にポジティブな変化とネガティブな変化の両方が生まれたこと、またそれが既存業務のあり方についてゼロベースで問い直す契機となったことについて論じました。では、実際にリモート環境に移行したことにより、PwCあらたではどのような好循環が生まれたのでしょうか。後編では、リモート環境で生まれた好循環について実例を挙げながら紹介します。

対談者

PwCあらた有限責任監査法人 システム・プロセス・アシュアランス部

アソシエイト 下村 有乃(入社3年目)

アソシエイト 小菅生 草太(入社2年目)

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

地道なコミュニケーションとデジタル化を通じた、自らの余裕の創出と効率化の実現

下村:
小菅生さんはリモート環境下のコミュニケーションにおいて、何か気を付けていることや工夫していることはありますか。

小菅生:
一番気を付けているのは、ミスコミュニケーションを減らすことです。ミスコミュニケーションといっても、そもそものコミュニケーション不足、認識の相違、方向性の相違など、さまざまなパターンが考えられますが、どれも対面に比べてリモート環境下での方が発生する可能性がより高いと思っています。ただ、それ自体がネガティブな意味を持つ訳ではありません。逆に問題が明確に浮き彫りになることで問題意識を共有できるようになり、改善に向けた行動を起こしやすくなるというメリットがあると思います。

例えば、チーム内タスクの文字ベースでの共有や、スケジュールなどの明確化と見える化、資料の確実な共有などは、オフラインで働いていたとき以上に、明示的に遂行しやすくなったように感じます。

下村:
課題の共有が成長のきっかけとなるという観点、とても納得感があります。当たり前ですが課題が見えていないと解決できないですよね。

また、小菅生さんに挙げていただいたポイントに加えて、チャットや資料は記録として残るので、チーム内での継続的なナレッジの共有や個人の勉強、復習にも大いに役立っているように思います。

小菅生:
そうですね。私としてはリモート環境だからこその働きやすさも、大いに感じています。下村さんはリモート環境に変わってから、そのような経験をされましたか。

下村:
そうですね。一つ例を挙げるとすれば、チームに対して業務の一部をデジタル化することを提案し、それを採用していただけたことでしょうか。とても学びになり、嬉しかったです。

このようにお話しすると、少し大それたことのようにも聞こえるかもしれませんが、実際は、ひとりで何気なくデータ分析ツールを触っていた時に作ったツールをチームに提案し、その後チームの皆さんの力を借りて少しずつ改善していった結果、他のチームにもお声がけし、ツールを採用していただけたというとても自然な流れでした。具体的には、通常業務を確実にこなした上で、業務で近い距離で関わらせていただいている方に1人、2人、と相談を進める中で、「それではマネージャーに話を持っていきましょうか」と輪が広がり、具体的な話に発展していきました。

今期はこのツールを利用することで、これまで年間で5時間程かかっていた作業を30分程度に短縮させることが可能になる見込みです。去年は一分野のみでの導入でしたが、ナレッジの蓄積や自身のスキルアップなどにより、今後加速度的に導入を進められると考えています。

小菅生:
素晴らしいですね。創出した時間を利用して、新たなデジタル化に向けて自己学習したり、他の作業についても何か効率化などの改良ができないか検討したりできそうです。

下村:
おっしゃる通り、デジタル化による効率化と、それによって自らに時間と心理的な余裕が生まれることには密接な関係があるのではないかと考えています。効率化と自らの余裕の好循環とでも呼べるようなものですね。

実は、このデジタル化も、リモート環境だからこそ実現できた側面があると感じています。

地道なコミュニケーションとデジタル化を通じた、 自らの余裕の創出と効率化の実現
リモート環境だからこそ、 コラボレーションやイノベーションは創出しやすい

リモート環境だからこそ、コラボレーションやイノベーションは創出しやすい

小菅生:
リモート環境だからこそデジタル化が実現できた、というのはどのような理由からでしょうか。

下村:
主に3点あると思っていて、1つ目は「異なるロケーションメンバーからのナレッジの共有」、2つ目は「目的が明確化されたミーティングでの会話」、そして3つ目は「大人数が参加するミーティングへのハードルの低下」です。

まず、リモート環境でのコミュニケーションが浸透したことで、海外含め異なる場所で働くメンバーとの会話の障壁が低くなったことがとても嬉しく、業務にもいい影響を与えているなと感じます。今回のツールを作成する際にも大阪勤務のメンバーに相談したり、部門活動中に出会った別のロケーションの方からデジタルツールに関する研修講師の話をいただいたりと、コミュニケーションの輪が大きく広がったように感じます。

そして、ミーティングについてですが、オフィスでの「なんとなくの会話」が減った一方で「目的のある会話」はしやすくなりました。そのため、デジタルツールを提案する場合、「デジタルツールのご提案」とタイトルを明確化したうえでミーティングを開催し、目的に沿って結論を出し、次へ繋げる、といった進め方がしやすくなったように感じています。

また、こちらは賛否両論あるかと思いますが、オンラインとなったことにより上位者への提言や、大人数でのミーティングの開催がしやすくなったようにも感じています。オンラインでの会話となることで、参加者全員から常に100%の注目をもらう必要がなくなった点についても、ポジティブにも捉えられるのではないでしょうか。

小菅生:
実はリモート環境だからこそ生まれたコミュニケーション、コミュニティも多くあるのですね。下村さんは、PwC英国のメンバーとの交流も活発に行っているようですが、お互いリモート環境でのコミュニケーションが前提となり、会話のきっかけを掴みやすくなったということも効用の一つということですね。

下村:
そう感じます。私自身、リモート環境下でのコミュニケーションに悩むことも多々ありますが、改めて考え直すと良い面も沢山あります。

はじめはひとりの方との繋がりだけだった信頼関係が、次第にコミュニティ全体に広がっていくことなど、リモート環境になったことで、人との繋がりの広がり方をより体感しやすくなったと思います。

また、働く場所の制約なくさまざまな人との会話が増えたことで、一つのコミュニティで得た知識をその他のコミュニティに還元しやすくなりました。自分の動き方次第では以前よりもコラボレーションやイノベーションの創出がしやすい環境になったのと感じています。

時間・心理的余裕が更なるイノベーションを生み出す、リモート環境における好循環

下村:
ここまでお話しさせていただいて改めて実感しましたが、リモート環境におけるコミュニケーションには課題がある一方で、ポジティブな側面も多く持ち合わせているということですね。

小菅生:
まさにその通りだと思います。リモート環境への移行によりコミュニケーションの余白が無くなってしまいましたが、一方で業務効率が上がり、時間的・心理的余裕が生まれる。その結果、各々が他の領域での改善に向けて取り組み、新たなイノベーションが生まれる。そして、そのイノベーションがさらなる時間的・心理的余裕を生んでいく――。このような好循環があると考えています。

下村:
リモート環境だからこそ実現できる好循環、ということですか。

小菅生:
そうです。ツールの作成や丁寧なコミュニケーションなどの細かい積み重ねが、このような好循環を作り出すのだと考えます。もちろん、リモート環境下での業務でなければ好循環を生めないというわけではありませんが、それをきっかけにして従前の働き方やコミュニケーションの在り方を見直すことで、好循環を生み出せるようになることを期待しています。

時間・心理的余裕が更なるイノベーションを生み出す、 リモート環境における好循環
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執筆者

小菅生 草太

アソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人

下村 有乃

下村 有乃

アソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

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