
テクノロジー・メディア・情報通信における世界のM&A動向:2025年の見通し
AIブーム、テクノロジーとビジネスモデルの継続的なディスラプションに伴い、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)分野のM&Aは2025年も活発に行われる見込みです。
テクノロジー・メディア・テレコム(以下、TMT)セクターの構造的成長は継続しており、中長期的には投資とM&Aにとって非常に魅力的な分野です。企業はダイナミックな市場環境や人工知能(AI)などの新興テクノロジーに対応してイノベーション、再構成、トランスフォーメーションを急務としているため、デジタル化はこれまで以上に重要です。
TMTのM&A活動は、短期的には、資本の制約、高金利、地政学的な緊張、規制当局による監視など、世界的にディールメーキングが直面している多くの同じ要因の影響を受けています。これら全ての要因が、2023年上半期のTMTのM&Aディ―ル件数と金額を押し下げ、今年下半期も同様のパターンをたどると予想されます。私たちは現在のバリュエーションがさらなる戦略的ディールの機会となるだろうと楽観的に考えています。
2023年下半期においてM&A市場の展開に影響を与えると考えられる主要なテーマについて、以下で説明します。
「投資家心理の改善とテクノロジーセクターがダイナミックな、成長する市場であることから、2023年にはTMTのM&A活動が活発化するでしょう。」
「ストリーミングプレーヤーは激しい競争と、コンテンツコストの上昇、加入者の維持といった課題に直面しています。そして今、米国の作家のストライキという新たな課題が加わりました。成長見通しの鈍化に直面する細分化された市場では、各社がそれぞれの立場を強化し、競争力を得るために行動を起こすことで、統合が進むと思います。」
資本制約と地政学的な緊張がディール活動に世界的な逆風をもたらしているにもかかわらず、TMTは依然としてM&Aが最も活発なセクターです。しかし、資本配分のための戦略的手段はまだ残っています。強固なバランスシートを持つ企業は、技術力を拡大し、イノベーションと変革を推進する中で、日和見主義を貫き、同業他社との差別化を図る余裕があります。より多くの資本制約がある他の企業は、より大きな課題に直面する可能性があります。PEファームがTMTセクターに魅力を感じるのは、高いマージンと強力なキャッシュフローを持つビジネスモデルがあるからです。
データについて
M&A動向に関する解説は、業界で認知された情報源から提供されたデータに基づいています。具体的には、2023年5月31日時点および2023年6月2日時点でRefinitiv(LSEG)から提供された、正式に発表されたディールに基づいています(噂や取り下げられたディールを除く)。過去の半期との比較を容易にするため、2023年上半期のデータは上半期の5カ月分実績をベースに、6カ月分を推定計算したものです。この調整は、分析の一貫性を確保し、報告期間にわたる傾向分析を可能にするために行いました。したがって、PwCの予測を示すものではありません。なお、PwCの業界マッピングと整合させるため、ソース情報に一定の調整を加え、S&P Capital IQおよび独自の調査と分析により補完されています。
※本コンテンツは、PwC米国が2023年6月に公開した「Global M&A Trends in Technology, Media and Telecommunications: 2023 Mid-Year Update」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
AIブーム、テクノロジーとビジネスモデルの継続的なディスラプションに伴い、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)分野のM&Aは2025年も活発に行われる見込みです。
生成AIやその他の新技術の進歩、金利に関する確実性の向上、記録的な投資資本などの要因により、2024年後半の米国選挙結果をめぐる不確実性などが懸念されるものの、状況が好転し始めれば、テクノロジー・メディア・情報通信セクターのM&Aは再び活発化するものと思われます。
生成AIやその他の新技術の進展、金利の不確実性の後退、プライベー ト・エクイティ(PE)による記録的な投資資本の水準、ディールへの繰越需要などによって、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)セクターの2024年のM&A取引は増加が見込まれます。
現在の経済環境を踏まえ、資本規律や戦略的かつオポチュニスティック(機会主義的)なM&Aは、今後数カ月間にわたりテクノロジー・メディア・情報通信(TMT)業界全体の共通テーマとなるでしょう。