金融サービス業における世界のM&A動向:2023年上半期最新情報

市場の混乱と現下のマクロ経済の不確実性が続く中、M&Aは金融サービス業の変革の旅に不可欠な要素であり続けています。

金融サービス(以下FS)企業は、ここ数カ月にわたり激動の時期を経験してきました。その結果、2023年上半期のM&A活動は沈黙を強いられました。米国連邦準備制度(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)などの複数の中央銀行は、インフレを抑制するために金利の引き上げを継続しています。このことが、多くの銀行破綻と相まって、銀行セクターだけでなく、FSセクター全体、そしてより広範囲に市場の不確実性を高めています。

FSセクターは変革の必要性にさらされています。既存金融機関は、不透明な市場環境、規制当局からの持続的な圧力、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する懸念の高まり、プラットフォーム(組込型金融を含む)やフィンテックによる秩序の破壊(ディスラプション)に直面しています。テクノロジー自体が、生成AIによって開発された新しいユースケースを通じて、FSセクターにさらなるディスラプションをもたらす可能性があります。これらを背景に、FSセクターはデジタル化、ESG、ポートフォリオの最適化に向けたさらなる変革のステップを検討することが急務となっています。

M&Aは、FSセクターの変革の旅において重要な役割を果たすでしょう。FSセクターには、厳格な規制ゆえに変革のための施策を成功させることが非常に難しいという業界独自の課題があります。特に、オーガニックグロースが厳しい課題に直面している現在のマクロ経済環境では、FSセクターの多くの企業が、数多くの小規模な買収を利用して成長力・収益力を強化し、規模の経済と範囲の経済を通じて将来の成長を促進することが予想されます。M&A戦略にポートフォリオアプローチを採用するFSプレーヤーは、オペレーションの改善やビジネスモデルの再調整の手段として事業売却も活用するでしょう。

「トランスフォーメーションは、金融サービス全体のM&A活動を引き続き促進しています。 ― 経済的課題への対応として、ディールメーカーはデジタル化、ESG、ポートフォリオの最適化に向けてさらなる変革のステップを達成するために小規模なディールを利用していくと見ています」

Christopher SurPwCドイツ、パートナー、グローバル金融サービス関連ディールリーダー

金融サービス業におけるM&Aの2023年下半期の見通し

ここ数カ月のFSセクターで見られた混乱にもかかわらず、私たちは、FSプレーヤーがM&Aを起爆剤としてビジネスモデルを変革し、現在および将来の課題に対応するという楽観的な見通しを維持しています。ポートフォリオの最適化と細分化されたサブセクターの継続的な統合が、今年下半期のM&A活動の主な分野になると見ています。

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※本コンテンツは、PwC米国が2023年6月に公開した「Global M&A Trends in Financial Services: 2023 Mid-Year Update」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

金融業界における各国のM&A動向については、以下の国・地域を選んでご覧ください。

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