
企業価値向上に資するセキュリティガバナンスの実現に向けて ──デジタルガバナンスで捉えるべきサイバーセキュリティ管理態勢
本稿では、企業がDXを進めるための行動指針として経済産業省が定めた「デジタルガバナンス・コード」を前提に、企業価値向上に資するサイバーセキュリティ対応のあり方や、その態勢構築のアプローチについて考察します。
2023年8月2日
PwCあらた有限責任監査法人
PwCあらた有限責任監査法人(東京都千代田区、代表執行役:井野 貴章、以下「PwCあらた」)は8月1日付けで、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定するDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」としての認定*1が更新されました。
*1 (2021年8月12日)PwCあらた、経済産業省が定めるDX認定制度で認定され、 企業のDX認定対応支援を本格化
PwCあらたでは、2018年に策定したVision2025“デジタル社会に信頼を築くリーディングファーム”*2を通じて、デジタル化した社会が必要とする信頼構築や課題解決に向けてその歩みを進めてきました。デジタルテクノロジーと人財への積極的な投資、カルチャー変革の取り組み、監査業務の標準化、デジタルツールの開発・導入が大きく進展したことが評価され、このたび認定を更新できたと考えています。
そしてPwCあらたでは2023年7月に中期経営ビジョンを刷新し、Assurance Vision2030として、2030年の社会に存在しうる多様な“信頼の空白”を埋めるため、“統合されたアシュアランス”を実現することを大きなテーマとし*3、現在取り組みを進めています。
*2 (2018年11月5日)PwCあらた、2025年に向けたVisionを発表
*3 (2023年7月3日)PwCあらた、2030年に向けた中期経営ビジョン「Assurance Vision 2030 -日本の未来に、あらたな信頼を」を発表
企業のDX認定対応支援については、DX成熟度の診断、ガバナンス整備の枠組みやDXジャーニー/ロードマップの策定、ステークホルダーへの公表に向けたディスカッションを行い、DX認定申請に係る必要事項とアクションを明確化した上で、DX認定申請までの一連の整備をサポートしています*4。お問い合わせいただき、DX認定やDX推進について対話した企業数は約100社となり、多数の企業のDX認定支援を行い*5、知見を深めています。
*4 「DX認定」対応支援
*5 DX認定対応支援事例:
・肥後銀行:DX認定取得で地域DXを推進
・西松建設:デジタルによる「空間」のイノベーションの実現
・ひろぎんHD:「未来を、ひろげる。」ためのDX推進
PwCあらたは、PwC JapanグループやPwCのグローバルネットワークと連携し、DX認定対応支援に留まらず、企業の変革を中長期的な視点で包括的に支援してまいります。
以上
PwCあらた有限責任監査法人は、PwCグローバルネットワークのメンバーファームとして、日本の未来にあらたな信頼をもたらすことをビジョンとしています。世界で長年にわたる監査実績を持つPwCネットワークの監査手法と最新技術により世界水準の高品質な監査業務を提供するとともに、その知見を活用した会計、内部統制、ガバナンス、サイバーセキュリティ、規制対応、デジタル化対応、株式公開など幅広い分野に関する助言(ブローダーアシュアランスサービス)を通じて社会の重要な課題解決を支援しています。
PwCは、社会における信頼を構築し、重要な課題を解決することをPurpose(存在意義)としています。私たちは、世界152カ国に及ぶグローバルネットワークに約328,000人のスタッフを擁し、高品質な監査、税務、アドバイザリーサービスを提供しています。
PwC Japanグループは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社の総称です。各法人は独立した別法人として事業を行っています。
複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanグループでは、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、そして法務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、弁護士、その他専門スタッフ約11,500人を擁するプロフェッショナル・サービス・ネットワークとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。
本稿では、企業がDXを進めるための行動指針として経済産業省が定めた「デジタルガバナンス・コード」を前提に、企業価値向上に資するサイバーセキュリティ対応のあり方や、その態勢構築のアプローチについて考察します。
経済産業省の「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」での政策背景を踏まえながら、「デジタルガバナンス・コード3.0」への準拠にあたり、日本企業における経営者とDX推進担当者が押さえるべき論点を考察します。
多くの企業はDXに取り組む中で、その達成度を図る指標を設けていますが、指針や基準が少ないため、試行錯誤している状況です。DX成果指標にガバナンスを効かせるにあたっての課題や、DX戦略の蓋然性と実効性を高めるためのポイントについて解説します。
内部監査部門では、慢性的な監査要員不足に加え、デジタルガバナンスに関する専門的な知識やスキルの不足が課題となっています。これらの課題への打ち手として、内部監査部門に監査推進事務局(AMO:Audit Management Office)を組成することによる、リスクベース監査にも対応できる効率的な監査態勢について考察します。