行動7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止

概要

行動7(恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止)は、人為的に恒久的施設(Permanent Estblishment:PE)の認定を逃れることを防止するために、租税条約上のPEの定義を変更することを目的とした取組みです。

行動7に関する議論については、2014年10月31日に、PEを巡る重要な問題について種々の代替的選択肢を示したディスカッションドラフトが公表され、パブリックコメントおよびパブリックコンサルテーションが行われました。その後、2015年5月15日に改訂ディスカッションドラフトが公表され、パブリックコメントを経て、2015年10月5日に最終報告書が取りまとめられました。

最終報告書の概要は次のとおりです。

  1. 代理人PEの定義の拡張(コミッショネア・モデル等への対応)
    • 代理人が「契約の締結に繋がる主要な役割を反復して果たす」場合を代理人PEと認定される活動に加える。
    • 企業(本人)の名における契約でなくとも、企業(本人)の所有する物品の販売契約等の締結の場合を含める。
    • PEに該当しない「独立代理人」の定義上、「専ら関連企業のためにのみ代理人業務を行う者」を除く。
  2. PEの例外とされる準備的・補助的活動
    • いかなる活動も、準備的・補助的性質でない場合にはPE認定をする。
    • 「細分化防止ルール」の導入。
  3. 契約の分割による建設PE認定回避への対応
    • 主目的テスト(行動6によりモデル租税条約に追加)をもって対応

最終報告書では、既存の代理人PEやPEの対象外となる準備的・補助的活動の範囲を制限することが提言されており、今後、海外進出を拡大している我が国企業にも大きな影響を及ぼす可能性があるものと考えられ、今後の動向に注視が必要と考えられます。

我が国では、平成30年度税制改正において、行動7の最終報告書とこれを受けて改定されたOECDモデル租税条約およびBESP防止措置実施条約等の規定を踏まえて、PEの規定を改正しています。具体的には、PE認定の人為的回避を防止するため、PE認定の例外とされていた、企業が資産の保管等の特定の活動のみを行う場所について、その特定の活動がその企業にとって準備的・補助的に活動に該当しない場合、PE認定の例外としないこと、また、PEの定義につき、租税条約において国内法上の規定と異なる定めがある場合には、当該租税条約の適用を受ける非居住者等については、租税条約上のPEを国内法上のPEとする旨の規定等が導入されています。

OECDより公表された報告書等

PwCの行動7(恒久的施設(PE))関連ニュースレター

OECDディスカッションドラフトに対するPwCのコメント