PwCあらたの新入職員向け育成プログラム 2021年版―ハイブリッドワーク時代の研修で得た気づき(企画者編)

2021-10-07

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、多くの企業が入社式や研修の実施形態を見直したのではないでしょうか。最近では、多様な働き方を実現させる施策として、リモートワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」という働き方が提唱されており、一般的な認知も徐々に広がっています。

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は2021年4月、新入職員がアバターで参加する「バーチャル入社式」をオンラインで開催しました。アバターを導入した背景には、新入職員に少しでもPwCあらたの雰囲気を感じてもらい、同期同士の横のつながりを築いてもらえればという企画側の想いがありました。

PwCあらたにおける通常の研修は、感染対策を考慮して原則として全てオンラインで実施していますが、新入職員向けの研修に関しては、企画側でさまざまな意見が交わされた結果、オンラインとオフラインを使い分けながら実施することに至りました。オンとオフをどう組み合わせるのかを決めるにあたっては、その目的として何を最優先するのかを明確にする必要があります。そこで、PwCあらたのアシュアランス・イノベーション&テクノロジー部が毎年企画・運営している新入職員向け育成プログラムをベースに、新入職員が自信を持って現場で活躍できる素地を作るための研修における、オンラインとオフラインの組み合わせを決める軸について検討したいと思います。

自信をもって現場に出ることをサポートするために

私たちが新入職員向け育成プログラムを策定するにあたって特に重視していることは、新入職員の細かい疑問や質問を拾い上げながら、業務に対する不安を丁寧に解消していくことです。プログラムを通して、基本的な業務のやり方を学ぶだけでなく、業務を円滑に進めるためのコミュニケーション方法を身に付け、自信を持って現場に出ることをサポートします。さらに、このプログラムは部門を超えた同期同士の横のつながりを作る機会となり、現場に配属された後でもお互いに協力し合える関係性を築く役割を果たしています。

これまでの新入職員向け育成プログラムでは、少人数のチームに分かれた新入職員が、チームごとに配置された講師と対面し、監査チームから切り出された業務に取り組んでいました。2020年に実施した新入職員向け育成プログラムについては、「人材育成の当たり前を疑ってみる ― OJTではない新入職員向け育成プログラム」をご参照ください。

オンラインを中心としながらも、オフラインの研修を実施する意義

2021年の新入職員向け育成プログラムは、前年からの大きな変更が2点ありました。

1点目は、実施形態の変更です。COVID-19の影響を受けてオンラインを中心としたプログラムに見直した上で、一部はオフラインで実施することとしました。その一つが、オンライン監査プラットフォーム「Aura」と監査関連資料共有システム「Connect」という、現場で利用するデジタル監査システムの操作方法を学ぶ研修です。この研修は新入職員が担当する代表的な勘定科目の監査手続を題材にしており、AuraとConnectの操作方法を学ぶだけでなく、各監査手続がどのような目的で行われているかを理解できるようになっています。システムの操作方法や監査手続の進め方など最初はわからないことが多く、新入職員は、講師に質問し、チーム内でお互いに議論を重ねて研修を進める必要があります。従って、このプログラムは対面で受講する方が積極的に質問する姿勢や活発な議論を引き出せると考え、オフラインで実施することとしました。

2点目は、実際の業務ではなく、研修用に用意されたデモ環境を使い、監査実務を学ぶこととした点です。従来の「実際に期末監査を実施しているチームから切り出した手続の一部を、研修会場で新入職員に経験してもらう」という形式から、「AuraとConnect上に用意した研修用環境で、監査計画の策定、実証手続、開示書類の検証という監査の流れを経験する」という形式に大きく変更しました。個別の監査手続を体験するだけではわからない、監査の一連の流れを理解することで、実際の監査現場に出たときに上司や先輩からの指示に対する理解度が高まることや、自分の理解が不十分な箇所について的確な質問をできるようになることを狙いとしています。オフラインで実施したため、各々が同じことをすることで、お互いに実施した作業の比較や質問がしやすくなり、研修の効果をより高められたと思います。

研修後に新入職員に対して行ったアンケートの結果からも、一部の研修をオフラインで行ったことは、深い人間関係の構築や基礎的なビジネススキルの習得につながり、実際の業務にスムーズに適応する一助になったと感じています。

一人ひとりがそれぞれの思い描く「プロフェッショナル」となるために

「会計士を志した日に思い描いたプロフェッショナルになってほしい。そのための最初の一歩を惜しまず新入職員一人ひとりをサポートしたい」という想いが、PwCあらたの新入職員向け育成プログラムの根底にはあります。これからも、この想いは変えずにいたいと考えています。

一方で、私たちを取り巻く環境の変化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を踏まえ、プログラムの実施形態や内容などは継続的に見直し、より良いものに育てていく必要があります。新入職員を受け入れる監査チーム、配属される新入職員の双方の不安を払拭し、負担を軽減しつつ効果を最大化できるプログラムとはどのようなものか、試行錯誤を重ねています。

今回は、新入職員向け育成プログラムにどのような想いと狙いがあったのか、企画側の視点からまとめました。次回からは、このプログラムを実際に受けた新入職員が、何を感じ、今後にどう活かしていこうと考えているのかをご紹介します。

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執筆者

岸野 将也

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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片山 恵

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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