トップダウンとボトムアップの両方からDX推進を実現する意味とは

2021-01-21

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は、「デジタル社会に信頼を築くリーディングファーム」となることをビジョンとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と個々のデジタルスキル向上に取り組んでいます。

ここでは私たちの監査業務変革の取り組みや、デジタル化の成功事例や失敗を通じて得た知見を紹介します。これからデジタル化に取り組まれる企業やDX推進に行き詰まっている企業の課題解決にお役立ていただければ幸いです。

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためには、業務の在り方をテクノロジーを前提としたものへとどのように変化させるかについての経営戦略が必要となります。経営戦略に沿って、どのようなデータとテクノロジーを活用し、どのように業務を変化させていくべきか、具体的な方向性を模索している企業も少なくないのではないでしょうか。

PwCあらたは、現場を巻き込みDXを推進するためには、経営戦略に沿ったトップダウン型の変革だけでなく現場発のボトムアップによる変革も必要であると考えています。現場と協力関係を築くためには、本当に求めているものや直面している課題など現場の声に真摯に向き合うことが大切です。法人全体でDXを推進するために重要なことは何かを考えます。

トップダウン型の変革「戦略的に導くイノベーション」

PwCあらたは、トップダウン型の変革を「戦略的に導くイノベーション」、ボトムアップ型の変革を「現場から湧き上がるイノベーション」と名付けています。戦略的に導くイノベーションでは、経営者層が描く将来像とそこに至るまでのロードマップに基づいてDXを推進しています。現場から次々と湧き上がるように起こるイノベーションを戦略的に導き、全体最適となるようバランスを取るのが主な役割です。

企業全体が一丸となってDXを進めるためには、DX推進をする部署の設置も重要な検討事項の一つです。例えば、人工知能(AI)を開発する場合、複数の部署がそれぞれに開発を進めると類似のAIを乱立してしまう可能性があり、データや情報の共有という面でも非効率になります。

このような状況を回避するために最初に行うべきことは、DXを推進するチームを明確にし、部分最適に陥らないための協力関係を築くことです。PwCあらたの監査業務変革専任者は、社内の情報を集約し、部署間の連携を加速させる役割を担っています。

現場のDX推進は 多様性のあるメンバーに任せる

DX推進を主導する部署の設置が重要

現場のDX推進をリードするメンバーが果たす 3つの役割

ボトムアップ型の変革「現場から湧き上がるイノベーション」

ただし、この戦略的に導くイノベーションだけで法人全体のDXを推進できるかと問われれば、必ずしもそうとは言い切れません。そこに現場のニーズが十分に反映されているとは限らないからです。

そこで必要となるのが、現場から出たアイデアをもとに変革を起こす、現場から湧き上がるイノベーションです。そのイノベーションを支援するため、PwCあらたは、こういう業務をデジタル化したいという要望を汲み、ツールに対する疑問を解消する、相談窓口を設置しています。

この仕組みは、現場のニーズに即したツールの構築と、実際にツールを使うメンバーによるカスタマイズを可能とし、現場における使い勝手を向上させることもできます。さらに、各々の現場最適のツールが多数生まれるのを防止し、また現場で構築されたものを他部門や他チームに共有することで、法人全体で役立てていくことを実現しています。

DX推進をリードする部門が経営者層と現場をつなぐ

PwCあらたは、現場における監査実務に合わせてツールを用いて構築されたものを投稿し法人全体で共有するプラットフォーム「Digital Lab」を活用して、現場から湧き上がるイノベーションを促進しています。監査業務変革専任者が、Digital Labに投稿されたツールのレビューや事例の紹介、他の現場でも広く活用できるツールの選定と法人全体への共有・配布などを担っています。経営層と現場、現場と現場をつなぐハブに監査業務変革専任者がなり、DX推進に日々取り組んでいます。

法人全体としてDXを進めるためには、トップダウン型の変革とボトムアップ型の変革の両方のバランスを見ながらDXを推進することが重要と考えています。

例えば、PwCあらたではDXの一環として、監査業務の一部を切り出して集中的に標準化・自動化を実施する「テクニカル・コンピテンシー・センター(TCC)」を設置しています。TCCでは、従来業務依頼の管理に使用していたシステムが、他のシステムとの連携が十分に機能しなくなりつつあり、より効果的な業務依頼を行えるようにするための変革が求められていました。そこで、新たなシステムの導入をトップダウンで決定し、導入するための時間と費用を抑えつつ、継続的な仕様変更に対応可能なシステム自体の柔軟性を確保する工夫として、業務依頼システムと業務管理システムを分けて開発することにしました。

導入後はユーザーによるフィードバックから改善点を見つけて継続的にオペレーションを改善し、システムがシステムをよりよいものにするという循環を実現しています。これは、トップダウン型の変革とボトムアップ型の変革のバランスを取りつつDXの取り組みを加速させている好例といえます。この取り組みの詳細や進めていく上でのポイントは、こちらのコラム「システム導入で業務効率を上げるためのポイント―PwCあらたの業務依頼/管理システム開発の事例」で紹介しています。

DX 推進をリードする部門が経営者層と現場をつなぐ

経営者層と現場の連携の強化がDXを加速させる


経営者層と現場をつなぐ監査業務変革専任者ならびに監査業務変革に向けた組織体制については以下もご覧ください。

失敗からデジタルカルチャーは生まれる―現場支援活動が果たす意味

監査業務のデジタル進化

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執筆者

久保田 正崇

代表, PwC Japanグループ

Email

近藤 仁

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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