2018年の調査では、各国の消費者の経済全般に対する安心感を把握するための質問を新たにいくつか設けた。
2018年における自国の経済全体の見通しについて消費者に尋ねたところ、経済状況が前年を上回ると答えた人は3分の1に上り、さらに経済状況が前年と同程度になると答えた人も41%を占めた。
調査回答者に今後12カ月の個人支出について尋ねたところ、ほぼ4分の3が過去12カ月間よりも支出を増やすか、または同程度に保つ予定だと答えた。
アジア各国は特に楽観的な傾向が強かった。アジアでは、中国や一部の新興国でGDP成長率が安定しているためだと考えられる。実際に、自国経済を楽観視している国上位4カ国は、フィリピン、インドネシア、中国、ベトナムとなっており、いずれもアジアの国が占めている。
一方、悲観的な見通しが特に多い国は、南アフリカ、マレーシア、英国、ハンガリーとなっており、それぞれ異なる地域に属していることから、これらの調査回答者の懸念は各国固有のものであると考えられる。
とはいえ、消費者が特に不安を感じている分野もある。今後12カ月間に支出を減らす予定の世界の調査回答者に注目すると、燃料価格、景気後退、インフレをめぐる不安がその他の懸念事項をはるかに上回っていた。興味深いことに、これら3つの懸念事項はいずれも、明らかに調査回答者の購買力に直接の影響を及ぼすものである。一方、今回の調査で選択肢に含めた世界的なテロの脅威、地球温暖化、保護貿易主義などの他の要因は、調査回答者の大きな懸念事項とはなっていないものの、カフェラテを購入したり、有機栽培の高級食料品を買い込んだりする消費購買力に対しては、間接的に大きな影響を及ぼす典型的な要因と考えられている。
今年の調査では、商品購入と特別な体験への支出を比較して消費意識についても尋ねている。
上記2タイプの支出が過去12カ月間でどのように変化したかを尋ねたところ、どちらのタイプの支出も傾向は同じで、28%が体験への支出を増やし、27%が商品への支出を増やしていた。一方、46%は体験への支出が以前と同程度で、54%は商品への支出が以前と同程度であった。これらの結果もまた、大半の消費者が今後も商品や体験への支出を続ける意向を持っていることを示している。
グローバルにおいては、2018年、経済状況が「前年を上回る」という人が32%、「変わらない」が41%、「悪くなる」は21%だったが、日本においては「前年を上回る」という人が16%、「変わらない」が49%、「悪くなる」は25%だった。今後の消費支出に関しても、43%の人が「今年と変わらない」と回答しており、世界の消費者と比較するとそれほど楽観的ではないことが分かった。特にアジア地域の国と比較するとその差は大きく、「経済が今年より良くなる」と回答した割合は、フィリピン、インドネシア、中国、ベトナムが世界上位4カ国となりどの国も約60%以上の消費者が楽観視している。
日本の消費者が支出抑制に大きく影響をもたらす要因と考えていることの上位は「インフレ」「景気後退」で、グローバルでトップの「燃料・ガス価格」は22%とグローバルの46%と大きな乖離があった。