確実な配送と返品対応

世界の消費者意識調査 2018

PwCの2018年度世界の消費者意識調査結果では、eリテーラーが、速さ、柔軟性、信頼性といった配送に関する買物客の期待を引き上げていることが明らかになった。

  • 消費者は即日配送や短時間の配送に対し、追加料金の支払いをいとわないことが明らかになった。
  • 65歳以上の買物客の調査結果では、「特定の時間帯での配送」を選んだ割合が、他の年代よりも高かった。
  • 買物客は実際の配送業者よりも、配送方法や配送の速さをはるかに重視することが明らかになっている。
  • 物流企業が急速に変化する買物客の期待に応えるためには、デジタルの活用により効率化を図る「デジタルフィットネス」、コスト効率、資産の生産性、イノベーションに重点を置く必要がある。

消費者は、速さ、柔軟性、信頼性を評価する

買物先の小売業者を選ぶ際、価格の他にどのような要素を重視するかを尋ねたところ、回答者の約4分の1は、配送が迅速かつ確実であることを挙げ、返品対応の良さが重要と答えた人も23%に上っている。

調査ではさらにこの質問を掘り下げ、いくつかのサービスが追加料金なしで提供された場合に、買物客がどのサービスを高く評価するかを調べた。その結果、回答者の3分の2近くが、最も望ましいサービスとして返品時の配送料無料を選んだ。

小売業者と提携先の発送業者にとって重要な点

今回の調査では、消費者は即日配送や短時間の配送に対し、追加料金の支払いをいとわないことが明らかになった。オンライン買物客の40%超は即日配送に追加料金を支払うこともいとわない、またオンライン買物客の4分の1は、1~2時間の指定時間帯に商品を確実に受け取れるなら、手数料を支払うと答えている。

65歳以上の買物客の調査結果では、「特定の時間帯での配送」を選んだ割合が52%に達し、他の年代の44%を8%上回った。

ドローンに道をゆずる可能性

調査では、買物客は実際の配送業者よりも、配送方法や配送の速さをはるかに重視することが明らかになった。回答者の3分の1以上がドローンに商品の配送を任せても良いと答えている。

運輸・物流業者へのインパクト

運輸・物流業者へのインパクト

物流企業が急速に変化する買物客の期待に応えるためには、「デジタルフィットネス」、コスト効率、資産の生産性、イノベーションに重点を置く必要がある。これらに取り組む体制を構築、整備し、社内全体に浸透させることが、戦略を日常業務に落とし込む上で極めて重要になるだろう。

日本における示唆

日本でも近年よく取り上げられる「配送問題」。配送コストの抑制やスピーディーな配送が課題となっている。

消費者が配送に求めているのは、やはり価格である。Amazonプライム会員が魅力を感じているサービスの第1位は、日本においても「無料配送」で、グローバルと同様となっている。ただしその割合は85%に達しており、グローバルの72%と比較しても重視されていることが分かる。また、魅力を感じる配送オプションとしては「返品時の配送料無料」がグローバル同様トップで、日本は60%、次いで多かったのは「指定時間配達」の56%で、「同日配達」より上位。これに関してグローバルは44%で第4位。「指定時間配達」は日本特有の重視点となっている。

注目すべきは「スピード」で、「追加料金を支払った場合どのくらいで届くことを期待するか」という問いに対しては、「1‐2時間」「3時間以内」と回答した人がグローバルではどちらも20%を超えていたのに対し、日本では10%程度だった。

日本の消費者に対しては、配送のスピードよりも、約束した条件で着実に届けるサービスの実現が特に求められている。

主要メンバー

矢矧 晴彦

マネージングディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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