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2022年、エネルギー・ユーティリティ・資源(EU&R)分野のディール件数と平均ディール金額はともに減少しました。しかし、エネルギートランジションが2023年以降も投資家や経営陣にとって重要な優先課題であることに変わりはなく、これらのグループが引き続きEU&R分野のM&Aやその他の資本プロジェクト開発に大規模な資金を投じると予想されます。特にエネルギー、再生可能エネルギー、重要鉱物の供給の確保への注目が高まっており、これがEU&R分野および工業関連企業の経営陣にとってM&Aを推進する大きな要因になると考えられます。
銀行など従来の借入先を通じた負債による資本調達の調達コストはより高額となり、資金調達のハードルが上がることは間違いありません。しかし、商品価格の上昇により、多くのEU&R企業のバランスシートは増強されています。また、クレジットファンドのような従来の銀行に代わる借入先も出現しています。これら2つの要因により、M&Aの資金調達手段としての従来の銀行借入への依存度は低下傾向にあります。すなわち、経営陣は買収を推進することが可能であり、実際に買収を推進するでしょう。
過去1年間は、異なるセクターやサブセクターに統合される企業のディール事例が複数見られました。例えば、化学会社による再生可能エネルギープロジェクトの買収、石油・ガス会社による電力小売会社の買収、自動車OEMによる重要鉱物採掘事業者の買収や採掘事業者からの直接的な製品オフテイク契約の確保などが挙げられます。こうした傾向は今後も加速・拡大し、EU&RのM&A市場に新たな投資家を引きこむでしょう。同時に、特にサプライチェーンのレジリエンスという枠組みで見た場合、EU&RのM&A市場の複雑性は一層増すと予想されます。
「企業は自らの戦略的なエネルギートランジションの実現に向けた機会と大望に沿って資産ポートフォリオの構築と再構築を続けており、EU&Rセクター全体にわたる、そしてEU&Rセクターに対しての収束は加速し、拡大しています」
今後半年から1年の間に以下の分野のM&A活動が活発になると予想されます。
国際的石油メジャーは、再生可能天然ガス事業を営む企業の買収を通じてバイオ燃料に着目しています。国際的石油メジャーはこの分野でグローバルに事業を展開、拡大しつつあり、バイオ燃料をめぐり、より幅広いM&A活動が予想されます。
大手企業は引き続き戦略的パートナーシップを模索していくでしょう。また、業界プレイヤーが、重要鉱物の生産者や開発者と直接所有の交渉や直接的なオフテイク契約締結をさらに進めていくと予想されます。
国際的石油メジャーは炭素削減目標を達成するために上流部門のポートフォリオの見直しを続け、国営石油企業はそうした資産の売却により利益を得るでしょう。
エネルギー事業者やユーティリティは、バッテリー部品から充電サービス事業者に至るまで、あらゆる場面で価値を引き出そうとしており、e-モビリティのバリューチェーン全体にわたって投資が急増するでしょう。
エネルギーおよびインフラの価格上昇、セキュリティに対する懸念、テクノロジーやデジタル共有エネルギープラットフォームの利用可能性などが牽引役となり、これらの分野への投資は高水準で推移すると予想されます。
IRAは、米国におけるエネルギートランジションに向けた投資にとってゲームチェンジャーとなり得る法律です。IRAによって、フォーカスが他地域から移行し、他地域から米国への投資が加速すると予想されます。ただし、ドル高が継続した場合、海外からの対米投資はよりハードルが上がる可能性もあります。
EU&R業界における2021年および2022年のM&A件数および金額は、それぞれ17%減、37%減となりました。この減少は、2021年に記録的なM&Aディール活況が確認できたことを考えると納得できるものです。しかし、マクロ経済や地政学的な逆風が強まり、ウクライナにおける紛争によってエネルギー危機が発生し、ディールメーカーの間で不確実性が高まったため、状況は急速に変化しました。こうした厳しい環境にもかかわらず、2022年のM&A活動は、化学、石油&ガス、電力&ユーティリティ分野において、パンデミック発生前の水準にまで戻りました。鉱業・金属のM&A活動は、主にアジア太平洋地域(APAC)と欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)におけるディール件数の減少により、パンデミック発生前の水準には至りませんでした。ディール金額の減少幅はディール件数の減少幅を上回りましたが、これはメガディール(ディール金額が50億米ドルを超えるディール)の減少が一因であり、2021年の19件から2022年には9件と半分以下となりました。
地政学的な不安定さやエネルギートランジションが続く現代において、価値を守り、創造するためには、原材料の安定供給が最も重要です。例えば、上流部門の材料サプライヤーを資産ポートフォリオに加えることで数量を確保し、価格の安定性を高め、製品の原産地をESGの観点から直接監視するなど、短期的なポートフォリオ最適化を行うビジネスリーダーは、企業とそのステークホルダーに向けて長期的に持続可能な成果を達成し得る、有利なポジションに立つことができるでしょう。
データについて
M&A動向の解説は、業界で認知された情報源から提供されたデータに基づいて行っています。具体的には、本書で言及する金額と数量は、2022年12月31日時点でRefinitivが提供し、2023年1月2日にアクセスした、正式に発表されたディールに基づいています(噂や取り下げられたディールを除く)。これはDealogicからの追加情報および当社の独自調査によって補完されており、Dealogicのライセンスの下で提供されたデータから派生したデータも含まれています。Dealogicはこのようなライセンス供与されたデータに関する全ての権利を保持し、留保します。PwCの業界マッピングと整合させるため、ソース情報に一定の調整が加えられています。
※本コンテンツは、PwC米国が2023年1月に公開した「Global M&A Trends in Energy, Utilities and Resources: 2023 Outlook」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。