プライバシーメガトレンド1:データバリューチェーンの所有権をめぐる競争

企業が自社のバリューチェーンに属するデータの管理を競い合う中、買収・合併や提携が今後エスカレートするでしょう。

その理由とは?

データを安全かつ倫理的に価値あるものに転換することは、今後10年間のビジネスにおいて極めて重要です。自社のデータライフサイクルを効果的に管理できる企業は、成功をもたらす大きなチャンスを手にすることができるでしょう。データの価値の評価モデルが高度化することで、最高財務責任者(CFO)は自社の収益のうちどれだけがサードパーティを通じて入手したデータに依存しているかを、より正確に把握できるようになります。データバリューチェーンがもたらす収益とリスクに対する理解が深まれば、企業は優れた価値のある情報資産をめぐる買収や提携を競うようになるでしょう。

ある調査によると、米国と英国のITリーダーの75%近くが、ビジネス上の意思決定においてデータに大きく依存しています。データの価値が上がるほど、産業スパイや国家主導のサイバー攻撃の標的になると考えられます。特に、新型コロナウイルス感染症ワクチンの研究開発、製造、販売に関連するデータについては、一部の国家間でこれを盗みだそうとする攻撃が激化しています。また、偽情報による攻撃が増加することで、データの完全性や本人認証が重要視されることになります。人工知能やロボティクスなどのテクノロジーの導入が進むにつれ、プライバシー、情報操作、バイアスなど、新たなデータに関する倫理上のリスクが生じることになります。

「アフリカ大陸ではデータはいまや新たな取引通貨とみなされており、ほとんどの国がデータを保護するデータプライバシー規制を導入しています」

BusisiweMathePwC南アフリカプライバシーリーダー

このトレンドの推進要因とは?

  • データ集約型のテクノロジーイノベーションがもたらす価値
  • 企業のサプライチェーンの合理化
  • データドリブン型ビジネスモデルの導入
  • 消費者への直販販売のデジタル化
  • B2BからB2Cへのビジネスモデルの転換
  • 最高データ責任者(CDO)の役割の重要性
全世界のテラバイト級データの推移 (2019~24年)

ビジネスに及ぼす影響とは?

最もユニークで需要が高いデータ、ビジネスインテリジェンス、データ生成技術を作り出す企業の価値が上昇し、買収や提携の対象となるでしょう。こうした企業の価値とリスクを評価するデューデリジェンスに精通することで、妥当な金額での買収が可能になり、先行者としての競争優位性を獲得できるようになります。

CEOが取るべき行動とは?

  • 事業責任者、最高データ責任者(CDO)、最高マーケティング責任者(CMO)、最高情報責任者(CIO)、最高プライバシー責任者(CPO)、最高情報セキュリティ責任者(CISO)に、データバリューチェーン戦略と情報資産のダイナミックなインベントリを生成するよう指示する
  • データとテクノロジーの倫理的な活用に関して、自社の価値観と整合性の取れた立場をグローバルに確立する
  • CFOに、責任あるデータの収益化とリスクの緩和を促すデータ価値評価モデルを構築する任務を与える
  • 経営陣のデータ戦略を柱として、戦略的買収、提携、組織運営モデルの調整を推進する

「東欧の歴史の新時代において、信頼性の高いデータは、新たな原油や通貨以上の存在となりました。いまや必要不可欠なコアコンピテンスです」

RobertStoicescuPwCルーマニアサイバーセキュリティ・プライバシーチームリーダー

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