PwC's Alumni #3

PwCコンサルティングで基礎体力を培い
日本のベンチャー業界の発展に従事

PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)でキャリアを積んだ後、新たな道を切り開いている卒業生がたくさんいます。その1人であり、現在は株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズで代表パートナーを務める今野穣氏に、当時の経験が現在のキャリアにどのように生かされているのか、お話をうかがいました。

※所属、役職およびインタビュー内容は掲載当時のものです。

今野 穣 氏
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー

新卒1期生として、同期と切磋琢磨しながら自分の道を切り開く

グロービス・キャピタル・パートナーズは、創業・成長段階のスタートアップ企業に対し、人材、資金、経営ノウハウを総合的に支援するベンチャーキャピタルです。起業家とともに成長を共有できる、未来のある仕事と言えるでしょう。

新卒でPwCコンサルティング(当時はアーサーアンダーセン)に入社して約5年間、主に製造業のクライアントに対して、サプライチェーン改革や、業務改革などのビジネストランスフォーメーション案件のコンサルティングに従事しました。ちょうど新卒第1期生にあたり、東京本社で採用された同期は8名でした。私は浪人や司法試験で周囲より就職が2年遅れていたため、早く成長したい気持ちが強く、先輩のいないチャレンジングな環境に魅力を感じて入社しました。

入社後は、同期とのコミュニティが大きな財産になりました。総合コンサルティングファームには、テック系から戦略系まで多様なコンサルタントが揃っています。同期入社の仲間は、年齢も社会人経験もほぼ同じでありながら、スキルも個性も全く異なる良きライバル。業務上のレポートラインから離れ、同期と議論を重ねたり情報を共有したりする時間は、大きな学びと刺激になりました。

そうした恵まれた環境にもかかわらず、実は入社直後に会社を辞めようと思ったことがありました。当時アサインされたプロジェクトではシステム系のスキルが求められ、私がイメージしていたコンサルタント業務と乖離があったためです。しかし、新たなプロジェクトでとても尊敬できる上司と出会ったことで、考えが変わりました。

その上司はサプライチェーンマネジメントやコスト削減に強く、私も数年はその領域でキャリアを積むことになりました。若手のキャリアやスキルを左右するのは、どのような上司と、どのようなプロジェクトに参画したか、だと思います。自分の問題意識や適性に合った環境を見極めること、自分の意見を発信していくことの重要性を感じました。

20代で大手企業の経営計画を策定。方針決定を任された経験が、大きな糧に

入社6年目を迎える頃、私は大学の先輩に誘われ、グロービス・キャピタル・パートナーズに転職しました。実を言えば、声を掛けられたのはその2年前。しかし、当時の私は上司の推薦を受けて、異例のスピードでマネージャーに昇進する機会を得ていました。「せっかくならマネージャーという立場で成果を出して、育ててくれた会社に恩返しをしよう」。そう考え、一度は転職を見送ったのですが、結果的に私はこの2年間で貴重な経験を積むことができました。

私は昇進前後のタイミングで、大手飲料系企業の2つのプロジェクトに参画していました。1つ目が在庫管理のプロジェクトです。クライアントの課題は、店舗が過剰な在庫を抱え、賞味期限切れなどによる廃棄損が利益を圧迫していることでした。そこで、まず廃棄を減らすために供給の適正化と、ラインナップ改善のための顧客ニーズ理解に取り組みました。具体的には、自販機のデータを取得し、市街地や運動施設内などロケーションによるニーズの違いを把握した上で、在庫管理・補充のガイドラインを作成しました。クライアントの経営層はたたき上げの方たちでしたので、書店に並ぶ経営戦略本をそのまま実践するような表層的なアウトプットでは納得しません。理論だけに偏らず、実践との両輪でプロジェクトを遂行する必要があり、それを成功させたことが大きな自信につながりました。

続いてマネージャー就任後に行ったのは、中期経営計画策定のプロジェクトです。1つ目の在庫管理プロジェクトの成果が評価され、クライアントのご指名を受けてプロジェクトマネージャーとしてリードすることになりました。同じクライアントで上流と下流のプロジェクトに携わることができたのも、会社の全体像を実践的に理解する貴重な機会でした。

マネージャーの下で汗をかいて仕事をしていた頃は、指示ばかりの上司に不満を抱くこともありました。しかし自分がその立場になってみると、直接プロジェクトオーナーとの接点を持ちながらプロジェクトの方針決定を行い、現場の全責任を担うプロジェクトマネージャーの仕事と、その方針決定に基づいて紙にまとめる仕事では全く違うことがよく理解できました。現在、私が人材を採用する時にも、プロジェクトマネージャーを経験しているかどうかをチェックします。この経験の有無はそれほど大きな意味を持つのです。それまでの自分とは違う非連続的な成長を遂げることができたと感じました。

こうした経験により、「ビジネスパーソンとして自分を鍛える」というファーストキャリアの初期目標は達成できました。それまでの経緯もありコストカット系の仕事が多くなっていたため、よりダイレクトに企業の成長に関わる仕事に挑戦したいと考え、グロービス・キャピタル・パートナーズへの転職を決断したのです。

コンサルタントとして培った、正しい“問い”を立てる力

PwCコンサルティングを離れてはじめて、私はその大きな魅力に2点気づきました。1つは、ビジネスパーソンとしての基礎体力を短期間で一気に鍛え上げることができる場だということ。もう1つは、グローバルなネットワークを有していることです。高いブランド力と強固なグローバルネットワークを兼ね備えた企業は、世界中を見渡してもそれほど多くありません。在籍当時はその人材、資金、経営ノウハウを当たり前のように享受していましたが、いずれもベンチャー企業にはないものばかり。非常に価値の高いベネフィットだったと思います。

また、コンサルティングファーム出身者は“問い”を立てる力が強いと感じます。正しい問いを立てることさえできれば、その段階で問題の7割は解決しています。問題が解決できない場合は、問い、つまり論点が間違っていることが多々あります。不適切な問いに一生懸命向き合っても、答えが導き出せないのは当然のことでしょう。

その点、コンサルティングファーム出身者は、プロジェクトを通じて日々適切な問いを立てるコアスキルを磨いています。また、フレームワークを使いこなして考え抜くだけではなく、実は地道に現場を回って一次情報を収集するといった泥臭い仕事へのマインドや経験値を持っていることも強みだと考えます。

こうした点を踏まえると、PwCコンサルティングは若手ビジネスパーソンが総合的な基礎体力をつけるのに最高の場だと言えるでしょう。また、自分の目指すキャリアに応じてオプションを広く取れることや、さまざまなサービスラインでグローバルネットワークを活用できることも、幅広い領域をカバーする総合コンサルティングファームならではの魅力です。専門性を高めて次のステップに上がる時には、そのままチャレンジを続けることもできますし、卒業して新たな可能性を模索することも可能です。PwCコンサルティングには、新卒のファーストキャリアとして、この上ない環境が整っています。

これからの社会で求められるのは、自発的に未来を生み出すアントレプレナーシップ

これから社会に出る皆さんに必要なのは、アントレプレナーシップです。アントレプレナーは「起業家精神」と訳されることが多いですが、より広義に捉えるべき言葉です。私が考えるアントレプレナーとは、「こんな社会問題を解決したい」「こういう未来を創りたい」という強い思いを抱く人。強烈なモチベーションを持ち、自分自身で問いを立てられる人を指します。

これからの時代、大企業の社員であっても、自発的に何かを生み出す力、問題を解決する力が必要です。漫然とルーティンの仕事を回しているだけでは、AI(人工知能)に置き換えられてしまうでしょう。人口も経済も縮小していく日本において、自分の足跡を残したいなら、新しい何かを生み出す仕事をすべきではないでしょうか。

私はもともと保守的な性格でしたが、学生時代の2年間の遅れを取り戻したいというモチベーションに突き動かされ、自分の意志を貫き通してきました。だからこそ周りに意見を聞き入れていただき、結果を出して次のステージに進むことができたのです。自分は何になりたいのかという目標設定、それに対する強いモチベーションが、その後のキャリアを決定づけるのではないかと思います。

私自身、現在の仕事でもアントレプレナーシップを実践しています。弊社の社員は15名と少数ですが、ベンチャーキャピタルとして日本で初めての1,000億円規模のファンド設立を目指しています。その背景には、ベンチャーを国家の成長のコアのエンジンにしたいという思いがあります。米国と日本では、ベンチャー企業に供給される資金が数十倍違います。そのギャップを埋めるべく、私も日々、問いを立てて解決法を模索しているのです。

皆さんへのもうひとつのメッセージは、「社会に出て3~5年は無我夢中で働いてほしい」ということ。キャリアは3年周期という考え方があります。最初の1、2周期は筋トレと考え、がむしゃらにサイクルを回してほしい。私は2サイクル終えて転職しましたが、同じ会社でサイクルを回し続けてもいいでしょう。いずれにしても、自分の目標に合った環境を選ぶことが重要です。脂の乗る40代までに5~7サイクルを経験できますし、逆に言うとそれだけの時間しかありません。3年というサイクルで、どのようなマイルストーンをクリアし、次の機会を獲得するか。3年後の成果を意識し、懸命にサイクルを回し続けることが目標に近づく第一歩だと思います。

今野 穣 氏
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー

東京大学法学部を卒業後、アーサー・アンダーセン(現PwCコンサルティング)にてプロジェクトマネージャーとして、中期経営計画策定・PMI(Post Merger Integration)・営業オペレーション改革などのコンサルティング業務を担当。2006年7月、グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。2012年7月、同社パートナー就任。2013年1月、同社パートナーおよび最高執行責任者(COO)就任。2019年1月、同社代表パートナー就任、現在に至る。

新卒関連情報

PwC's Alumni #1

誰もがAIを自由に活用する未来に向けて
「AIの民主化」を掲げるベンチャーを起業
#transformation #collaboration #impact

 

PwC's Alumni #2

ともに学び、成長し、夢を叶えた
PwCコンサルティング同期の2人がキャリアについて語る
#businessconsultant #care #inclusive #growth #globalnetwork

 

海外大学からPwCコンサルティングへ

海外の大学から、PwCのグローバルのフィールドへ
会社選びや情報収集など、経験者が就職活動を振り返る
#technologyconsultant #itsolutionconsultant #strategyconsultant #businessconsultant #growth

 

新卒1年目が見るPwCコンサルティング

2021年4月入社の新卒社員が語る
就職活動から入社までの過ごし方、入社後の働き方
#businessconsultant #itsolutionconsultant #technologyconsultant #strategyconsultant #growth

 

ビジネスコンサルタントの1日

若手が活躍できるフラットな環境で成長
社会課題を解決に導くコンサルタントを目指す
#growth #businessconsultant

 

ITソリューションコンサルタントの1日

コアコンサルとITのスキルを並行して磨き上げ
「働く人を支える」コンサルタントに
#growth #itsolutionconsultant

 

ビジネスコンサルタントの1日

財務モデリングのエキスパートとしてデータに向き合い
数字から企業の未来を予測する
#growth #businessconsultant #dealadvisory

 

Strategy& 戦略コンサルタントの1日

入社1年目で経営層のインタビューなども経験
学びと成長を実感する、刺激的な毎日
#growth #strategyconsultant