4.シナジーとは?

「シナジー」とは、ディールプロセスで浮かび上がってくるオペレーションの要素で、統合の成果が各要素を足し合わせたよりも大きくなる場合と定義することができます。日本のM&Aではシナジーをディールの評価額に含めないことが多いのですが、これは予想されるシナジーの実現に対するプレッシャーを低減し、投資の償却負担を回避するためです。しかし、シナジーは、ほとんどの場合ディールの潜在的な利点として論じられ、長期的な投資戦略の一部を形成します。最も一般的に論じられるシナジーとしては、クロスセリングによる売上拡大や間接費の削減があります。しかし実際には、こうした点は期待できるシナジーのごく一部にすぎず、以下に説明する8つの推進力を検討することで、バリューチェーン全体にわたってオペレーションやキャッシュ・フローの改善を見いだすことができます。

【図表1】オペレーション改善のための8つの手段

【図表1】オペレーション改善のための8つの手段

シナジーの特定はデューディリジェンスの段階の前から始めることができます。つまり、デューディリジェンスでの検証のための仮説を立てるときから始めることができるのです。コマーシャル/オペレーショナルデューディリジェンスのプロセスが厳密なものであれば、その他の要素の特定をサポートし、仮定を検証することになります。それにより、自社の成長Blueprintや統合計画全体に組み込むためのシナジー計画を規模、リスク、実施のしやすさ、実施コストを踏まえて優先順位付けすることが可能になります。成功の鍵は何もかもやるのではなく、入念に練られた体系的な実施スケジュールに従って進めていくことです。

主要メンバー

吉田 あかね

副代表, PwC Japanグループ

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鈴木 慎介

代表執行役社長, PwCアドバイザリー合同会社

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