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PwCでは、労働者が自身の仕事や職場環境をどのようにとらえているかを探る「グローバル従業員意識/職場環境調査『希望と不安』(Global Workforce Hopes and Fears Survey)」を実施しています。3回目となる2022年度の調査では、44の国・地域の52,196名を対象に、職場環境の変化・デジタル化が加速する中で、社員が「仕事」に対して何を求め、何を恐れているかについて調査を実施しました。
本稿では、日本の回答者に焦点を当て、諸外国との比較分析および日本国内の質問項目別の分析を通じて、日本企業における実態や課題、従業員を引きつけるためのポイントを考察します。
調査によって日本企業の社員および職場環境に関する「7つの事実」が明らかになった。
データから見えてくる日本独自の傾向を踏まえた、日本の各企業が人材マネジメントにおいて考えるべきポイントをまとめました。
人材マネジメントにおいて考えるべきポイント | 参考 | |
1.組織の活性化 |
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グローバル組織文化調査2021 |
2.社員のアップスキリング |
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デジタル環境変化に関する意識調査 2021年版 |
3.働きやすい職場環境・ワークスタイルの構築 |
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ワークスタイル調査2022 |
4.企業の透明性・情報開示の促進 |
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「ESG」と「報酬」に関するグローバル経営者・投資家の意識調査 |
5.多様性を受容する組織文化への変容 |
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I&D推進のアプローチ |
なお、上記の各要素は相互に影響を及ぼし合いますし、企業によって、社員の状況や施策を実施した場合のビジネスへのインパクトも異なるため注意が必要です。各企業が施策を検討・実施する際には、自社の競争環境・カルチャー・人材等を考慮する必要があります。
各企業が取り組みを成功させるために抑えるべきポイントを「4つのアプローチ」としてまとめました。
日本が他のOECD加盟国と比べて各取り組みに遅れている理由の1つとして、各取り組みが自社の経営におよぼす影響度を客観的に把握できていないことが挙げられます。
そこでポイントとなるのが、昨今議論が加速している「人的資本経営」の実践です。人的資本経営においては、自社の経営・事業戦略を踏まえて施策を検討し、人的資本に関する取り組み(施策)が将来財務に与える影響をインパクトパスとして可視化します。
それによって、人的資本が中長期的な企業価値や将来財務につながるストーリーを示すとともに、それを踏まえた各テーマの目標や具体的な取り組みを開示することが必要となるのです。
また、情報開示やKPI達成に向けた取り組みを効率的かつ確実に進めるためには、自社のデータ収集やデータをもとにリアルタイムでPDCAサイクルを回すことが必要となります。
つまり、人的資本経営を強化するためには、データに基づく人材マネジメントへの変革が必須要件となるのです。結果として、各取り組みの影響度を客観的に把握でき、実践につなげることが可能になります。
日本が他のOECD加盟国と比べて各取り組みが遅れているもう1つの要因として、画一的な人材管理の枠組みが挙げられます。
従来、日本企業の人員計画は人材「量」の担保を重視し、全人材を一律で管理し、総花的な人事施策を行う傾向がありましたが、人材が多様化するとともに事業環境が急速に変化する中で、そのやり方は機能しなくなっています。
今後は、将来求められる人材ポートフォリオを策定した上で、人材の「質」と「量」の双方を担保する戦略的かつ精緻な人員計画が求められることが予想されます。それにより、ビジネスへの影響度を見据えながら、ターゲットを絞って効果的な施策を打つことが可能になります。
(「ワークフォース・ストラテジー」より)
データに基づく人的資本マネジメントや人材ポートフォリオ策定が重要であることを述べてきましたが、それらを機能させるためには、人事機能の変革が必要不可欠です。
人事機能の変革には、下図のとおりさまざまな観点が含まれますが、中でもHRBP(HR Business Partner)導入などをはじめとする新しい役割・人事機能の開発は重要です。人材ポートフォリオなどを活用しながら機動的な人材マネジメントを行っていくためには、各事業部に権限を委譲していく必要があるからです。
先に述べたように、日本企業は人事部が中央集権的に採用・育成・配置・処遇の権限を有し、一律の人材管理・総花的な人事施策を行う傾向がありました。しかしながら、このやり方は、事業環境・事業戦略に合わせた機動的な人材マネジメントや、多様化する人材への対応には適しません。
今後は、事業側のニーズと多様な人材の状況の双方をデータで可視化しながら、柔軟かつスピーディに施策を立案・推進していくことが求められます。
(「HRトランスフォーメーション」より)
本調査結果からも明らかなように、社員の価値観・ニーズは多様化しており、これまでの経験や勘に基づく人材マネジメントは機能しなくなりつつあります。
多様な人材のエンゲージメント向上および人材の獲得・維持につながる施策を打ち出すためには、各社員の目線に立って彼らの体験=エンプロイーエクスペリエンス(EX)を理解することが必要になります。
まずは従業員の志向性に焦点を当てたサーベイ等によって、自社の人材の状況をデータによって可視化し、多様な社員の期待やペインポイントを理解した上で、彼らの体験を向上させるために、各領域の施策を総合的に検討・実施していくことが重要です。さらには、人材の状況を定期的に可視化しながら、PDCAを回す仕組み・体制を構築していくことが理想的でしょう。
EXで捉えるべき視点
本稿が、自社の現状や環境の変化をより深く考察し、人材マネジメント改革の方向性を見定めることの一助となれば幸いです。
※四捨五入の関係で、回答者の属性および調査結果の総計が100%にならない場合があります。