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「デジタル化は、どんな組織においても、マーケティングとコミュニケーションの戦略にとって必要不可欠です。Eコマースであれ、広告であれ、ターゲット層の絞り込みであれ、ソーシャルメディアであれ、消費者エンゲージメントのあらゆる側面で中心的な役割を果たします。それが未来の姿であり、現在すでに起こりつつあります。」
今回の調査に協力したファミリービジネス企業の4分の3は、革新性を高めることが重要または非常に重要だと回答しました。また、向こう5年間の最大の課題として継続的に革新していく必要性が最多の回答率を得ました(64%)。
ファミリービジネス企業は、イノベーションを起こす力を持っています。世代交代するごとに事業を変革する能力があると思うと多くが語っていて、今回の調査ではそう答えた割合が57%に達しました。2012年の47%から着実に上昇しています。
しかし、これは本当なのでしょうか。確かにイノベーションを持続的に起こしている企業はあります。インドのJBM GroupやフランスのMane Groupは、その好例です。
しかし、それ以上に多くのファミリービジネス企業が変化できずに葛藤し、イノベーションでつまずく現実を、私たちは見てきました。この所見は、ファミリービジネス企業に雇われた一族以外のCEOや経営幹部も共有するところです。また、次世代も、これが将来の事業の成功にとって真の課題になると見ていて、変化を起こそうとして周囲を説得するのにしばしば苦労することを認めています。
「ファミリービジネス企業の考え方を変えるには時間がかかり、それが大きな課題です。今までのやり方が成功を築いてきたと感じているからです。ファミリービジネス企業の経営に参画するプロの経営者にとって、これは最大の課題です。」
ではなぜ、ファミリービジネス企業にとってイノベーションを起こすことがそれほどまでに難しいのでしょうか。一つの答えは、スキルかもしれません。ファミリービジネスサーベイを実施するたびに、スキルが大きな課題だという反応があり、回答者の多くが「適切な」人材の確保に苦労していると答えています(今回の調査では、1年後と5年後の両方で、これが2番目に高い優先課題とされた)。ただし明確な戦略がないままで「適切な」人材とスキルを特定することは困難です。戦略によって会社の向かう将来の方向性が固まり、それが翻って、その方向性を実現するために必要なスキルと経験を決定するためです。つまり、スキル不足が問題だと言うだけでは、真の問題を隠してしまう可能性があります。このことは、特に革新性を考える際に重要です。
取り巻く環境が速いスピードで変化し、新しい技術や破壊的なビジネスモデルが次々と登場してくる今の時代、どんな企業でも、日々の業務が突き付けてくる直近のニーズを超えて、2年、5年、10年という単位で目指すビジョンを確かな情報に基づいて持たなければなりません。これはすなわち、変化を引き起こしているトレンドを理解し、新しい技術に負ける可能性の高い製品はどれかを評価し、人口構造の変化といった世界的なトレンドが市場にどのように影響するかを把握することを意味します。このアセスメントこそが、戦略的な計画策定に必要な作業です。この作業を通じてこそ、会社がこれから獲得または開発すべき人材が浮かび上がってくるでしょう。それをしないかぎり、どこで、何を、どのように革新すべきかが分からずに葛藤を続けることになります。
「型を破ることは容易ではありません。株主資本は100%一族が保有しているため、確信を図り事業を発展させることに難しさがあり、それ自体が大きな課題です。」
大手上場企業の中には、この種の先見性に優れた(そのためにリソースも割いている)企業があるが、ファミリービジネス企業も「中期的戦略計画」に取り掛かる準備をする必要があります。特にデジタル化などの課題に関して、これが当てはまる。トレンドの一歩先を行くには、よく考え抜いた上で場合によっては多額の投資をする必要があり、その投資で実りをもたらすには適切なスキルを持った人材を社内に有していなければならないためです。
「当社は、インドで初めて1990年代後半にプライベートエクイティから資金を調達した企業の1社でした。この方法を選ぶに当たっては、さまざまなことを慎重に検討しました。一族全員で集まって話し合いました。物事が根本的に変化し、今まで以上に説明責任を明確にして、変化に対応しようという意欲を持たなければならないことが分かっていたからです。また、プライベートエクイティが時間的なスパンという点で非常に異なった視点を持っていることも分かっていました。プライベートエクイティの投資家は、短期のリターンを求めるからです。」
今回の調査では、向こう12カ月の課題として、自由回答式の質問で自発的に技術を挙げた回答者はわずか7%だった。また、技術とデジタルは、回答が選択肢として用意されている場合にのみ中期的な優先課題として挙げられた(47%で5位)。
これは明らかに気がかりな状況だ。とりわけ、回答者の3分の1が、ファミリービジネス企業は他の企業に比べて新しい考えやアイデアに対してオープンでないと考えていて、また他の企業よりも進んでリスクを取ると答えた割合は40%程度であったことを考えると、この懸念の真実味が増す。これを最も裏付ける点として、デジタルディスラプションの脅威にさらされていると答えた企業は25%にすぎず、このトピックを取締役会レベルで議論したことがある企業は54%にとどまった。PwC米国のファミリービジネス企業担当リーダー、Alfred Pegueroは、次のように語っている。
「どの企業もデジタルディスラプション(デジタル化による創造的破壊)の脅威にさらされている。自分の会社はあまり影響を受けないと思っていても、そうではなかったことにまもなく気付かされるだろう。これは全ての企業、全ての個人が直面している脅威であり、場所、業界、規模を問わない。」
後述するとおり、デジタル化は、次世代が大きな役割を果たせる領域だ。後継者世代の多くは、新しいテクノロジーに囲まれて育ってきた。事業を引き継いだ暁にはそれを導入したいという意向も強い。現世代の59%は、デジタルへ移行することの具体的なメリットを理解していると回答したが、次世代の37%は、デジタル戦略を持つことの重要性を会社に理解させるのに苦労していると回答した。この割合は、小規模なファミリービジネス企業では43%に達した。
私たち自身が幾度となく経験してきたことだが、革新性に優れた企業というのは、おしなべて新しいアイデアや新しい働き方に対してオープンな企業だ。多様性に富んだ人材を持ち、多様な意見を歓迎するような文化を作ることは、この点において大きなメリットをもたらす。が、変化に対応するだけでなく、変化をチャンスに変える能力が、さらに重要だ。インドのJBM Groupの業務執行取締役、Nishant Arya氏は、次のように語ってくれた。
「私たちの家族では、永遠に続くものは何一つなく、唯一の例外が『変化』だと考えています。これが、私たちの好む考え方です。」
Same Passion, different paths: How the next generation of family business leaders are making their mark.
The next generation of family business leaders are well prepared, confident, and above all they have great ambition – both for themselves and for their firms. 88% want to do something special with the business.