企業の生産性を向上させ、多様で柔軟な働き方を実現するための在宅勤務ガイダンス

6.部下のマネジメント

在宅勤務を導入すると、従来のフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション形態と異なり、音声や文字だけのコミュニケーションも増加します。また、オフィスに出勤していた場合に比べて、部下の業務状況を把握しづらくなります。

そのため、下記のことに注意して在宅勤務を進める必要があります。

(1)部下への権限移譲
在宅勤務においては、指示型や命令型のコミュニケーションではなく、部下を信頼し権限移譲することが必要となります。

また、業務の計画段階で、上司・部下の双方が業務内容や目的、完了期限や期待される成果、評価の観点についてオフィスで勤務しているとき以上に精度高く合意しておくことが重要です。また、その合意に基づいて上司は部下からの定期的な報告を通して、部下の業務状況を把握し、成果物の進捗状況を管理し、適切なフィードバックを与えることができます。

(2)会議運営
音声や文字だけのコミュニケーションを主体とした会議においては、自分の意見や他参画者に対しての明確なリアクションを提示する必要があります。ファシリテーションする側も意識的に質問や参画者への問いかけが必要になります。

(3)評価
部下の業務状況が見えないため、勤務時間・勤続年数の長さや保有能力を評価するシステムから、目標管理・業績評価といった成果主義重視の評価システムへの移行や適切な運用が望まれます。また、在宅勤務におけるコンピテンシーの運用について必要な議論や精度を高めていく必要があります。

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