2024年上半期最新情報

世界のM&A 業界別動向

Global M&A Industry Trends image
  • 2024-08-08

M&Aはこの先も続けなければなりません。今後に向けた準備が重要です。

2024年のM&Aマーケットでは1月にディールメーキングの好転が期待されたものの、その後不確実性という濃い霧が立ち込めて見通しが不透明となり、2024年上半期にはディールが急激に減少しました。何がこの霧を引き起こしたのでしょうか、そしてディールメーカーにとってより重要なことは、この霧はどの程度で晴れるのでしょうか。私たちはこの霧を打ち破るためのマクロ要因を特定しました。そのうちのいくつかは市場の経験則からすると意外なものですが、これらはディールメーカーが自信を取り戻し、M&A活動がより健全なレベルへと回復するための鍵となるはずです。

この不確実性の中で確かなことが1つあるとすれば、それはM&A活動が回復するということです。ただし、回復のスピードは業種によって異なる可能性が高いでしょう。M&Aは、時期は未確定だとしても、検討を続けなければなりません。これは、ディールの必要性がかつてないほど高まっていることが大きな理由です。2024年のM&Aの見通しで述べたように、ディールの流れが制限されたまま時間が経過すれば、それだけM&Aを支える戦略的ファンダメンタルズや経済的ファンダメンタルズに対するプレッシャーが高まります。過去2年半のM&A水準の低下は、特にプライベート・エクイティ(PE)の世界において、潜在的な需要(および供給)を生み出しました。加えて、企業はダイナミックな変化の中で、成長を加速させ、ビジネスを改革するためにM&Aに目を向けています。AIはビジネスモデルにディスラプション(破壊的変革)を起こしており、誰もがAIに投資しているように見えます。低成長経済下で企業の成長を加速させたいというCEOの願望も、M&Aの機会を生み出しています。また、同じ業界内では、特定の要因によって多くの場面で「技術獲得」と「自社開発」のどちらかを選ぶアプローチが必要とされます。

上記の喫緊の課題は、すぐに解決されることはありません。したがって、問題はM&Aが再び増加するかどうかではなく、いつ増加するかなのです。水面下では売り手の活動が活発化しており、売却の準備が進み、潜在価値を最大化する事業計画が策定され、多くのベンダーのデューデリジェンスがすでに進行しています。また、まだ事例ベースでありディールデータとして報告できる段階ではありませんが、今後6カ月間にさらに多くの優良資産が市場に投入されるにつれ、こうした動きは買い手にとっても好ましいものとなるでしょう。

「高金利、足元のバリュエーション、政治的な不確実性といった困難な要因が重なり、多くのディールが停滞しています。とはいえ、M&Aに対する戦略的なニーズは引き続き高まっており、こうした不確実性が解消されれば、潜在的な需要が掘り起こされるでしょう」

Brian Levy,PwC米国、パートナー、グローバル・ディールズ・インダストリーズ・リーダー

ディールの必然性

PEポートフォリオは売却のタイミングを迎えます。PitchBookによると、年初時点でPEファームが保有するポートフォリオ企業は世界中で2万7,000社を超え、その約半数は少なくとも4年以上保有されており、通常エグジットを検討するタイミングを迎えています。2024年半ばに至ると、それらの投資の大部分はさらに6カ月経過しています。新規ファンドの調達を進めている多くのPEファームは、投資家にリターン実現の遅れを問われ、売却のプレッシャーが高まっています。既存のファンド投資からの分配金を得られないPEファンドは、新たな資金調達がより困難になる可能性があります。

企業は成長を加速させ、トランスフォーメーション実現のためのディールに注力しています。企業は、マクロ経済要因、地政学的問題、テクノロジーのディスラプションなど、AIによってさらに激化しつつある、より破壊的かつ複雑で不確実な環境下で事業を展開しています。こうした状況から、企業はビジネスを革新し、再構築する必要に迫られています。適切な機能、人材、テクノロジーを獲得したり、ノンコア資産を売却したりすることによるポートフォリオ最適化を実現するための、周到に練られたM&A戦略を持つ企業が成功を収めるでしょう。

AIには、あらゆる種類のディールの触媒となる可能性があります。AI、特に生成AIは、巨大企業から新興企業まで、またセクターや産業全体にディスラプションをもたらす力を秘めています。生成AIはまだ初期段階にありますが、ビジネスや社会に与える影響はすでに大きくなり始めています。AIは、コスト効率を大幅に向上し、新たな収益獲得を可能にし、顧客に新たなチャネルを開くほか、価値提案を強化すると同時にコモディティ化する能力を備えています。AIの波が到来した今、企業はその強力な力によって自社の戦略、ビジネスモデル、市場、競合他社を再評価する必要に迫られることになるでしょう。こうした動きによって生まれる取引は、従来のM&Aから、パートナーシップ、提携、そしてこれまでにない革新的な関係まで、多岐にわたる可能性があります。

オーガニックグロースの停滞を克服するために、インオーガニックグロースが必要となります。多くの国々でマクロ経済的要因と金融政策により経済環境は低成長となっており、オーガニックな収益成長を達成することが難しくなっています。その結果、企業はトップラインを伸ばすために、インオーガニックグロース戦略の一環としてM&Aに目を向ける必要があるでしょう。

各セクターに特有の、インオーガニック戦略から恩恵を受ける数多くの要因から、M&A活動が増加する可能性が見て取れます。以下にそのいくつかを紹介します。

  • 製薬会社は、バイオテクノロジー企業を買収することで迫り来るパテントクリフによって生じるパイプラインのギャップを埋めようとしています。
  • 電動化への道を歩み続ける自動車メーカは、バッテリー生産に必要な重要鉱物へのアクセスを確保するために、CASE(Connected, Automated, Shared, Electric)関連の資産の買収や鉱山会社への投資を行っています。
  • テクノロジー企業は、デジタル化やテクノロジーディスラプションに対応するため、AI、サイバー、クラウドの機能に投資を行っています。
  • エネルギー企業は、上流部門で統合を進めることで、規模の拡大による効率性の向上を実現し、新たな石油ガス埋蔵量へのアクセスを獲得しています。

この停滞が企業よりもPEファームに大きな影響を及ぼしていることも注目に値します。フィナンシャルスポンサーが関与するM&Aは、2024年上半期に34%減少しました。企業については18%の減少で、大きな減少幅ではありますが、M&A全体のパイに占める企業の割合は過去2年間の60%から63%に増加しています。これは、企業の負債依存度が低いことによる競争優位性が一因と考えられます。

PEはディール金額のベースでは好調で、これは主に上半期にいくつかの大型ディールがあったためです。2024年の企業によるトップディールは、PEファームが関与した最大ディールを大幅に上回りましたが、PEファームが関与したディールは、業界の大型ディールへの意欲が復活しつつあることを示唆しています。2024年のこれまでに発表されたPEバイアウトの大型案件には、プライベート・エクイティ・ファームのStone Point CapitalとClayton, Dubilier & Riceが率いる投資家グループによるTruist Insurance Holdingsの残存株式の買収(126億米ドル)、BlackRockによるGlobal Infrastructure Partnersの買収提案(125億米ドル)、PermiraによるSquarespace, Inc.の買収提案(69億米ドル)などがあります。

M&Aの回復:乗り越えるべき障害

過去2年間のM&A市場の低迷にはいくつかの要因があり、以前の不透明な時期を見ることで、どのような展開になるかのヒントが得られることも少なくありません。しかし今回は、過去の慣例を覆すような顕著な異常事態が発生しています。さまざまな要因を理解することで、ディールメーカーはより適切なリスク評価やシナリオプランニング、戦略策定ができるようになり、適時に行動を起こす自信につながるでしょう。

  • 金利:金利の高止まり長期化はM&Aの長期低迷を意味するのでしょうか。債券市場では、米国債の利回りの逆転が2年近くも続いており、短期債の利回りが長期債の利回りを上回っています。歴史的には、逆イールドカーブは景気後退の予兆と考えられてきましたが、景気後退はまだ起こっていません。米国のような大国は、政府による景気刺激策の継続と堅調な労働市場の影響もあり、何とか軌道を維持しています。スイス、スウェーデン、カナダ、欧州中央銀行が最近金利引き下げを発表したことから、さらなる金利引き下げが控えている可能性が示唆されます。こうした待望の金利引き下げは、借入金による買収資金調達を目指すディールメーカーにとっては歓迎すべきことでしょう。現在の金利上昇はリターンを圧迫しているため、今後見込まれるディールによる価値創造ストーリーがより重視されることになります。
  • バリュエーション:現在の水準が維持されているということは、リターンのハードルが高いことを意味します。多くのセクターで買い手と売り手の間のギャップは依然として大きく、その一因は、過去1年間に取引された資産が良いマルチプルで取引された強い資産である傾向があることです。これにより、一部のオーナーは、通常の資産で得られるマルチプルについて、期待を抱くようになりました。特にPEのオーナーは、他のポートフォリオ資産が取引された場合、リミテッドパートナーの期待値を下回る価額になるのではないかと懸念しています。株式市場が依然として活況を呈していることも一因で、金利の動きが予想以上に鈍いにもかかわらず、生成AIが期待されることもあり、バリュエーションは上昇しています。まるで、金融市場が中央銀行の利下げを事前に織り込んでいるかのようです。不確実性は、低迷する市場がディールメーカーにリスクを取る機会を与えるのであれば、M&A活動にとって良いものです。しかし、このケースでは、不確実性と高バリュエーションの組み合わせが障害となっています。
  • 選挙:政治情勢が不透明なため企業の主要な意思決定は先延ばしにされていますが、投票は年末までに終了予定です。2024年はすでに選挙活動が活発化しており、下半期には英国や米国などで選挙が予定されています。また、フランス、インド、欧州議会における6月の選挙結果も明らかになる時期です。政策の方向性について不確実性が生じるため、ディールメーカーや市場は選挙を警戒する傾向があります。また、中央銀行は、金利政策を政治的な動機によるものと(正しくても間違っていても)解釈される可能性がある場合には、金利の見直しに慎重になる傾向があります。米国では、連邦準備制度理事会が市場が長い間期待してきた金利引き下げを最終的に実施するのは、2024年末または2025年初頭になるかもしれません。
  • 地政学:世界的な緊張の高まりによって不透明感が強まっています。ウクライナの戦争や中東の紛争は、すぐには解決しそうにありません。それどころか、悪化するリスクも無視できません。また、米中関係も引き続き市場の重荷となっています。これら全てが不透明な地政学情勢を助長しています。
  • それぞれの不確実な要素が個別に、あるいは複合的に解決されれば、市場に大きな変化をもたらす可能性があります。景気の低迷は、特にそれが不況に突入した場合、金利引き下げにつながる可能性がありますが、成長が難しくなるおそれもあり、ディールメーカーにとってはまた別の不確実性となります。最近の欧州中央銀行の利下げは、他国の利下げとともに、金利をめぐるモメンタムがすでに変化しているという希望の光を与えてくれるかもしれません。金融市場の調整により、バリュエーションギャップが解消される可能性がありますが、2024年に入ってからの株式市場は強気相場が続き、多くの銘柄が過去最高値を更新しています。年末までには経済データが金利の方向性を決定し、サプライズがなければ選挙結果もほぼ確定するものと思われます。現在の課題が早期に解決され、それに代わる新たな課題が発生しなければ、M&Aにとってより好ましい市場環境となるでしょう。

ディールメーカーを前進させるM&A市場のシグナル

上記の要因がM&A市場の停滞の要因となっている一方、霧の中から抜け出せる可能性を示す重要な兆候も見られます。その主なものを以下に挙げます。

前述のように、投資家によるPEへの資金還元への強いプレッシャーが大きな兆候の1つです。過去2年間、IPO市場は実質的に閉鎖されていましたが、ハイテクをはじめとする一部のセクターでは、IPOの活発化が見られています。このような上昇基調が続けば、大規模な投資先企業はIPOの道を再び実行可能な出口戦略として見出すかもしれません。しかし、短期的には、多くの企業がオプション性を考慮し、出口戦略をデュアルトラックで考えることになるでしょう。IPO回復への楽観的な見方が続いており、株式公開を待ち望む企業のバックログは増加していますが、2024年のIPOのチャンスは、選挙を控えているため狭くなっています。さらに、最近のIPO後の業績が期待外れだったことを受けて、投資家は慎重な姿勢を崩していません。これにより、IPOの成功基準が高くなり、M&Aによる事業売却にも引き続きプラスに働く可能性があります。

M&Aのための資金調達は、過去2年間よりも容易になっています。投資適格債市場、ハイイールド債市場、レバレッジドローン市場のいずれも、2024年上半期の発行額は2023年上半期を上回りました。米国および欧州のハイイールド債市場とレバレッジドローン市場は2023年のほぼ2倍になる見通しで、ハイイールド債市場の発行額は2023年通年の2,230億米ドルに対し2024年上半期には2,010億米ドルに、レバレッジドローン市場の発行額は2023年通年の3,790億米ドルに対し2024年上半期には3,590億米ドルに達しました。

Preqinのデータによると、2024年第1四半期のディールに占めるプライベート・キャピタルの割合は、2022年の20.6%から24.1%に増加したと推定されます。世界のプライベート・キャピタルの運用資産残高は、過去5年間で年率約8%増加し、2023年には総額約133億米ドルに達します。COVID-19のパンデミックや金利上昇といった市場の混乱にもかかわらず、最大手ファンドは過去5年間で2桁成長を達成しています。また、これらの巨大ファンドの中には、オルタナティブ投資マネジャーがより積極的に活動できるようなプライベート・キャピタル・プラットフォームを構築しているところもあります。ソブリン・ウェルス・ファンドやファミリーオフィスも、プライベート・キャピタル投資のための新たな資金源となっています。こうした状況は、シンジケートバンク融資の復活とともに、ディールに資金を供給するための資本が豊富であることを意味しますが、コストはかかります。

エネルギートランジションは、社会がネットゼロという目標を達成する上で果たす役割として投資家からの注目が集まるため、M&Aの好機を生み出すと期待されています。この大きなトランスフォーメーションを達成するためには、企業は革新的なアプローチでビジネスモデルの再構築に取り組む必要があり、M&Aが重要な役割を果たすことになります。さらに、中期的にかかる莫大なコストを賄うためには、官民双方を含むさまざまな資金源からの投資が必要となります。投資を促進するための政策変更や特定のプロジェクトへの関与といった政府の対応は、政府債務の増加や金利上昇がそうした投資を抑制しなければ、政府の後ろ盾を得た大規模な資本プールを生み出すことになり、リターンへの期待が投資家をこの分野に引きつけるでしょう。いずれにせよ、必要とされる投資規模が非常に大きく、プライベート・キャピタルが解決策の重要な一翼を担うことになるため、エネルギートランジションへの投資に特化した新たなファンドがすでに誕生しています。これは、企業がトランスフォーメーションや再構築を通じてサプライチェーンの強化とエネルギー需要へのアクセスを確保するための、M&Aやジョイントベンチャー、パートナーシップなどのディールにつながるものと予想されます。

トランスフォーメーションに向けた取り組みを加速させるため、企業は自社のポートフォリオを評価し、機能、人材、テクノロジーにおけるギャップや、売却すべきノンコア資産を特定しています。Synopsysが提案したAnsysの買収は、Synopsysの半導体電子設計の自動化ソリューションとAnsysのシミュレーションおよび解析という両社の機能を組み合わせることで、魅力的な近接分野における戦略と成長の加速を狙った一例です。The Home Depotによる住宅専門商社であるSRS Distributionの買収は、プロフェッショナル顧客向けの成長を加速させ、対応可能なプロ市場全体を拡大することを目的としています。Unileverが発表したアイスクリーム事業を他のブランドから分割する決定と、Sanofiが提案したコンシューマーヘルスケア事業の分割は、ポートフォリオの見直しが大規模なカーブアウトにつながった最近の2つの例であり、この傾向は他の大企業でも続くと予想されます。

金利上昇と厳しい市場環境が多くの企業にさらなるストレスを与え、リストラクチャリング案件の増加につながりました。自動車、小売、一部の不動産アセットクラスでは苦境が深刻化しているため、2024年下半期にはこれらのセクターでディストレストM&Aがさらに増加すると予想されます。ディストレストM&Aは、コンピタンスや地域のギャップを埋めようとする買収意欲の高い企業に新たな機会を提供するでしょう。

2024年の最初の5カ月間に発表されたメガディールは33件で、前年同期比22%増加しました。国としては米国1国、セクターではテクノロジーとエネルギーの2セクターで、それぞれ特有の理由から最も活発な動きが見られました。例えばエネルギーセクターでは、世界的な再生可能エネルギーへの移行が石油・ガスセクターの再編を加速させています。テクノロジーセクターでは、AIやテクノロジーの進歩が期待され、活発な動きが続いています。メガディールがこれら2つのセクター以外でも広がりを見せ始めれば、より広範な市場回復の兆しが出てきたと言えるでしょう。

突如として、PEよりも企業の方が優位な位置に立ったように見えます。キャッシュリッチな企業が持つアジリティは、大規模で高価なレバレッジを必要とするPEモデルに対して、明確な競争優位性を持っています。ディール活動における企業のシェアは高まっています。しかし、この機会をさらに生かすには、迅速な行動が必要です。企業の買収担当者は様子見を決め込んでいると、PEが革新的な手法や創造的な仕組みを用いてそのギャップを埋めるのを傍観する立場になってしまうかもしれません。PEが再び動き出すのは時間の問題です。

ディールメーカーにとって重要な行動:雲の切れ間を突き破る準備を

M&Aの回復時期が不確かで、取引を完了させることが難しくなっている中、ディールメーカーにとって、インオーガニックグロースのための戦略的ロードマップを持つことがこれまで以上に重要になっています。準備しておくことが何よりも重要です。とはいえ、実際には何をすればよいのでしょう?

買い手は次のような準備が必要です。

  • M&A戦略と、トランスフォーメーションやビジネスモデルの再構築を含む企業戦略との整合性の確認
  • 買収企業と買収対象企業のビジネスモデルにAIが与える影響の評価
  • ビジネスケースの信頼性を高めるための、より深いデータ分析とデューデリジェンスの実施
  • 重要な人材の特定と、その人材に関するリテンション計画の策定
  • 価値の維持と創造を両立させるサステナビリティへのアプローチの精緻化
  • 強固な価値創造プランと説得力のあるエクイティストーリーの準備
  • 投資委員会および取締役会からの迅速な承認

売り手は次のような準備が必要です。

  • 不良債権やノンコア事業の売却の検討を含むポートフォリオ最適化のための定期的な戦略的レビューの実施
  • 包括的なビジネスデューデリジェンスやシナリオプランニングを含む、綿密な事前売却準備
  • 提供資料とサポートデータ(過去の財務情報および予測財務情報を含む)の間の整合性の確保

買い手と売り手双方とも、パートナーシップ、提携、売り手の持分の一部譲渡、業績連動型報酬、その他の資本構成形態など、代替ストラクチャーに柔軟に対応できる必要があります。

「M&A活動の復活には、しっかりした準備と自信の回復が鍵となるでしょう。すでにディールの準備が整いつつある兆候が見られます。いったん自信が回復すれば、市場やディールメーカーは迅速に動き出すでしょう」

Lucy Stapleton,PwC英国、パートナー、グローバル・ディールズ・リーダー

そして最後に、モメンタムというものは自ら予言することで実現するのかもしれません。金利が高止まりし、バリュエーションが予想を上回っているような不確実性の高い現在の状況であっても、ここで述べたような不確実性が1つでも解消されれば、市場は大いに活性化し、ディールメーカーは自信を取り戻す可能性があります。いずれにせよ、PE業界にとってディールは生命線であり、PEファームはやがてこの難局を乗り切ると確信しています。一方、企業にとって、テクノロジーの変化やディスラプションのスピードについていくためのM&Aは戦略上必要不可欠です。

結局のところ、M&Aは続けなければならないのです。

M&A動向の解説は、業界で認知された情報源からのデータと当社独自の調査に基づいています。具体的には、本文で言及している金額と件数は、2024年6月30日時点でロンドン証券取引所グループ(LSEG)が提供し、2024年7月3日にアクセスした、正式に発表されたディールに基づいています(噂や取り下げられた取引を除く)。2023年12月31日時点のPE投資先企業数に関するデータはPitchBookより入手したものです。米国、欧州のハイイールド債券市場およびレバレッジドローン市場の債券発行データは2024年6月11日時点のもので、Preqinの情報に基づいています。2024年3月31日時点の世界運用資産残高データもPreqinの情報に基づいています。PwCの業界マッピングに合わせるため、ソース情報に一定の調整が加えられています。

Brian Levy
PwC米国、パートナー、グローバル・ディールズ・インダストリーズ・リーダー

Suzanne Bartolacci
PwC米国、ディレクター

※本コンテンツは、PwC米国が2024年6月に公開した「Global M&A industry trends: 2024 mid-year outlook」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

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2024年初頭時点の「世界のM&A業界別動向:2024年の見通し」は以下よりご覧いただけます。

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