2025年の見通し

世界のM&A業界別動向

Global M&A Industry Trends image
  • 2025-03-17

2025年のM&A:大型ディール、切り札、そしてワイルドカード

過去数年間、M&A市場の成長の足枷となっていた経済的、地政学的な不確実性が解消されつつあり、世界のM&A市場は再び上昇基調に戻る兆しを見せています。しかし、2025年はM&Aにとって素晴らしい年になるのでしょうか、それとも平凡な年になるのでしょうか。市場の上位層における最近のディールメーキングの勢いは、すでに上昇傾向が始まっていることを示唆しています。2024年に10億米ドル以上のディール件数は17%増加し、その平均金額も上昇しました。しかし、いくつかの混在したシグナルも見られます。中小規模のディール件数は2024年に18%減少しており、今後1年間、ディールメーカーはいくつかのワイルドカード(不確実な要素)を注視する必要があります。

10億米ドルを超えるディールは、昨年世界で発表された約50,000件のM&Aディールのほんの一部(約1%)に過ぎませんが、こうした大型ディールは市場全体に大きな影響を与えることがよくあります。M&Aは市場全体の基調を作り、メディアの見出しを飾ります。各産業界で大型ディールが行われるのを目にした産業界の経営幹部は、競争力を維持するため、そして業界動向に遅れないよう、自社のM&A計画をより積極的に進めようと自信を持ち始めることが多いのです。

新たなM&Aが加速する背景には、以下の要因があります。まず、新しいAI時代における成長とトランスフォーメーションに対するCEOの強い関心。次に、利用可能な資本の拡大。そして、プライベート・エクイティ(PE)のポートフォリオ企業や企業によって売却されるノンコアアセットの供給増加が予想されることです。とはいえ、ディールメーカーは以下のようなワイルドカードを無視することはできません。

Large conference room
  • 不安定で不透明な地政学:ディールメーカーと市場は、2024年中に多くの国で実施された選挙の結果と、それに伴う政策の方向性の変化、特に米国のトランプ新政権の政策と最近の大統領令の影響が世界中にどのように波及するかを、まだ見極められていません。ディールメーカーは予期せぬ事態を想定しておく必要があります。

The imposing facade of the Bank of England
  • 長期金利の再上昇:インフレ率は緩やかな上昇を続けており、米国連邦準備制度(FRB)をはじめとする中央銀行はここ数カ月で金利を引き下げています。しかし、利下げの勢いは鈍化しており、米国やその他の国々で長期金利が上昇しているため、リターンを見つけるのが難しくなり、借り換えプロセスがより困難になる可能性があります。

Man studying a computer screen
  • 一部の国におけるバリュエーションの高さ:2025年1月中旬時点で、米国株(S&P 500種株価指数ベース)の将来株価収益率は22.87であるのに対し、米国以外の国際株(S&P International 700種株価指数ベース)は13.67でした。バリュエーションの高い企業は、インオーガニックグロース戦略の一環として自社株を活用する可能性があります。また、米ドル高に後押しされた米国企業が海外、特に欧州に事業機会を求めるため、クロスボーダー・ディールが増える可能性もあります。

「M&Aの回復期は過ぎましたが、長期金利が上昇し、バリュエーションが高い今、最近の勢いを維持するのは難しいかもしれません。M&A市場は、トップ・ディールメーカーとそれ以外のディールメーカーに分かれます。M&Aを成功させるためには、産業に関する深い専門知識を持ち、価値に焦点を絞ることが必要です」

Brian Levy、PwC米国、パートナー、グローバル・ディールズ・インダストリーズ・リーダー

地政学と「トランプ効果」

カナダ、フランス、ドイツ、韓国など、いくつかの主要国の経済は政情不安に直面しており、その多くは2025年に国政選挙を控えています。ロシア・ウクライナ戦争の影響、中東紛争の沈静化の可能性、シリアのアサド政権の崩壊なども、関係国やその近隣諸国に大きな経済的影響を与える出来事です。また中国も、世界第2位の経済大国としての地位や、いくつかの国との関係における政治的緊張の高まりを考えると、地政学的な舞台における役割を無視できません。

特に米国の選挙の影響は世界中に波及しており、新政権の政策は、米国だけでなく世界のM&Aにとって重要な、しかし時には矛盾するような意味を持つかもしれません。

産業によって異なる影響

トランプ大統領が選挙戦を展開したさまざまな問題は、セクターによって異なる形でM&Aに影響を与える可能性があります。例えば以下がその例です。

製造業、建設業、農業、小売業、ヘルスケア:移民を制限する政策は労働力不足を招き、これらのセクターやその他のセクターでインフレを引き起こす可能性があります。関税の導入は、米国に商品を輸出している多国籍企業にとってはサプライチェーンに大きなディスラプションを引き起こす可能性があり、報復措置が取られた場合には米国から製品を輸入している企業にもディスラプションをもたらす可能性があります。

防衛:トランプ大統領は、ロシア・ウクライナ戦争と中東戦争を終結させるという公約を掲げて選挙戦を戦いました。これらの紛争が今年中に終結することはありえますが、世界的な防衛支出は継続すると予想されます。より広範な地政学的情勢や将来の紛争の可能性によって重点分野は変わりうるにせよ、少なくとも今後10年間は強力な防衛予算が見込まれます。

エネルギー生産:米国新政権が石油・天然ガスの国内増産に注力することは、米国のエネルギーセクターにとってプラスに働く可能性が高いです。インフレ抑制法のエネルギークレジットの変更などの不確定要素はあるものの、再生可能エネルギーはエネルギートランジションへの長期的支援とAIによる電力需要の増加から引き続き恩恵を受けると予想されます。

ヘルスケア・製薬:トランプ新政権の政策変更により、疾病予防と個別化医療に焦点が当てられると予想され、米国ではバイオ医薬品・ヘルスケア分野のイノベーションが引き続き促進されるでしょう。規制緩和はヘルスケア・製薬セクターのM&Aに恩恵をもたらすかもしれませんが、潜在的な関税の脅威と世界の医薬品サプライチェーンへの影響は、今後注視していく必要があります。

情報通信:トランプ大統領が任命した連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員長は、衛星通信イニシアチブを支持し、これまで情報通信規制には反対票を投じてきました。これにより、民間衛星および情報通信分野の再編が進み、M&Aに有利な環境が整う可能性があります。

テクノロジー:トランプ大統領は就任後、AIの安全基準に関するバイデン前大統領の大統領令を撤回し、OpenAI、オラクル、ソフトバンクの3社による5,000億米ドル規模の合弁事業を発表しました。ソフトウェア企業は米連邦取引委員会(FTC)のスタンスの緩和から恩恵を受けることで、より大規模なM&Aが行われるようになるかもしれません。しかし、大手ハイテク企業やソーシャルメディア部門は、最大手企業の分割を求める声など、引き続き難題に直面する可能性があります。

金利

FRBによる2024年の利下げと、欧州中央銀行やイングランド銀行を含む他の中央銀行による同様の利下げが、今日までの新たなM&Aの勢いを後押ししています。米国では2024年9月から12月にかけて100ベーシスポイントの利下げが実施されました。しかし、長期金利は上昇し、米国債の10年物利回りは1月上旬に5%弱まで上昇しました。英国やその他の国でも長期金利が上昇しています。このため、2025年における将来の利下げのタイミングと程度については不透明感が増しています。さらなる利下げは、地域経済の力強さとインフレの鎮静化が続くかどうかにかかっています。金利が上昇し、成長が鈍化する場合、ディールエコノミクスはより難しいものとなるでしょう。

長期金利が上昇に転じたとはいえ、レバレッジドローン市場の利回りは2024年に低下しましたが、これは主にプライベート・クレジット間の競争が激化し、銀行が貸出市場に復帰したためです。2024年には、投資適格債市場、ハイイールド債市場、レバレッジドローン市場で銀行による貸出が増加しました。米国と欧州のハイイールド債市場の2024年の債券発行額は3,880億米ドルに達し、2023年から74%増加しました。米国と欧州のレバレッジドローン市場の発行額は、2024年には2倍以上の7,700億米ドルに達します。このような資本の利用可能性の拡大は、M&Aの原動力となります。

成長を続けるプライベート・クレジット市場は現在1兆7,000億米ドル近くを運用し、ディールメーキングの波を引き寄せています。多くのPEファンドがプライベート・クレジット・ファームを買収し、市場の成長ポテンシャルを活用しています。2024年9月にはBrookfieldがアセットベースのプライベート・クレジットを専門とするオルタナティブ・アセット・マネージャーのCastlelakeに15億米ドルの戦略的投資を行い、2024年12月にはBlackRockがプライベート・クレジットとパブリック・クレジットの両方を専門とするHPS Investment Partnersの約120億米ドルでの買収案を発表しました。

プライベート・クレジットの融資が増加するにつれ、当然のことながら、プライベート・クレジットが関係するリストラクチャリングの件数も増加しています。このような状況では、企業と貸し手は財務の安定性を高め、苦境に対処するために、債務について再交渉、リストラクチャリング、または変更を行うプロセスに取り組みます。基本的なリストラクチャリングの原則は貸し手の如何にかかわらず変わりませんが、PEスポンサーとプライベート・クレジット・ファームとの間に強固な関係があれば、多くの場合、合意に基づく解決策に至ります。合意に基づく解決策には自発的なデット・エクイティ・スワップやリファイナンスなどがありますが、合意に至らなければ、裁判所が命じるリストラクチャリングや「クラムダウン」(実行可能な結果を得るために反対債権者や株主に再編計画の承認を命じること)となることがあります。特に米国、英国、オランダ、ブラジル、シンガポールなどの国々で国際的なリストラクチャリングの件数が増加した2024年の傾向は2025年にも続くと予想されます。

高まるディールの必要性

今日の市場では3つの重要な動向が強まっており、それにより2025年にはディールの必要性が高まり、M&A活動が活発化すると思われます。1つ目は企業が成長とトランスフォーメーションに注力していること、2つ目はAIが変化と再創造の触媒として機能していること、3つ目はPEプレーヤーが投資期間が終わる投資先企業からのエグジットを迫られていることです。

成長とトランスフォーメーションへのフォーカス

PwCが2025年1月に発表した第28回世界CEO意識調査によると、今後12カ月間の自社の売上成長見通しについて「極めて強い自信がある」または「非常に自信がある」と回答したCEOはわずか38%でしたが、3年後の見通しについて尋ねたところ、この数字は53%に増加しました。これは、CEOが、現在の行動や将来計画されている行動が、自社のトップラインのさらなる成長につながると期待していることを示唆しています。これは、成長が鈍化し、多くの企業がインオーガニックな収益成長を達成することが難しくなっている経済環境においては、特に重要なことです。

成長戦略としてのM&A

M&Aは、企業が未来を切り拓き、ビジネスモデルをトランスフォームし、成長を生み出すために不可欠な戦略要素であり続けています。企業は、バリューチェーン、流通チャネル、顧客コミュニケーション、テクノロジープラットフォームなど、事業のあらゆる側面を体系的に見直して再考し、AIをはじめとするテクノロジーやその他の世界的なメガトレンドによって広範囲にディスラプションが進む環境において有力な存在であり続けるために、新たなビジネスのあり方を特定する必要があります。

新たな市場への参入、機能の強化、業務効率の改善などを目的とした、収益と利益率の両面の成長に焦点を当てた買収が活発に行われると予想されます。テクノロジーやAIへの投資には多額のコストがかかるため、投資余力のある大企業が有利です。また、銀行や保険など規制の厳しい分野でも同様の傾向が見られ、規模の拡大を目的としたディールは、規制遵守に伴って予想されるコスト上昇をより幅広い顧客基盤に分散させるのに役立ちます。

トランスフォーメーション推進のための事業売却

2025年に予想されるもう1つの傾向は、企業が機能のギャップを埋め、ノンコアまたは低成長のアセットを売却することにより、企業ポートフォリオを洗練させることです。産業、ヘルスケア、エンターテインメントなどのセクターでは、大企業が分社化や売却によってノンコア事業から撤退しています。最近の例としては、GEが3つの上場会社に分割されたこと、Sanofiがコンシューマーヘルス部門のOpellaの支配権をCD&Rに譲渡すると決定したこと、ComcastがNBCUniversalのケーブルTVネットワークを補完的なデジタルアセットとともにスピンオフする計画であることなどが挙げられます。

81%

の過去3年間に大規模な買収を行ったCEOが、今後3年間で1件以上の買収を計画している。

出典:PwC「第28回世界CEO意識調査」(2025年1月)

変革の触媒としてのAI

M&Aに大きな影響を与える可能性のあるもう1つの要因は、AIの波が企業や市場レベルで、変化や改革の触媒としてどのように作用するかということです。今のところ、AIとその潜在的なトランスフォーメーション機能に対する市場の期待は非常に高く、最新の調査では約半数のCEOが生成AIによって今後1年間で自社の収益性が向上すると予想しています。しかし、実際の成果は昨年の調査で示されたCEOの期待をやや下回っていることは注目に値します。2024年には46%が収益性の改善を期待していると回答しましたが、その1年後にそのような改善が見られたかどうかを尋ねたところ、「見られた」と答えたのはわずか34%でした。

にもかかわらず、AIのディスラプション力に対する確信は続いており、成果が向上するにつれて、テクノロジー分野だけでなくあらゆる分野でM&Aの追い風が吹くと予想されます。世界中の企業が、より高い効率性と新たな収益機会、パートナーシップ、プロセスを生み出すことを目的に、AIを大規模に導入するトランスフォーメーションを加速させています。AIの力を活用する方法を見出した企業は、それをディールメーキングの優位性に変えることができるかもしれません。

AIが投資を加速し、数兆米ドルの資本を誘致

AIはAI企業への投資を集めているだけでなく、データセンターや発電機能など、AIをサポートするために必要なデジタルインフラへの投資も加速しています。今後5年間で、米国をはじめ世界各地に新たなデータセンターを建設・促進するために20億米ドルもの設備投資が見込まれています。現時点での投資は、従来のM&Aではなく、直接投資やパートナーシップの形が主流です。

このAI主導の資本支出「スーパーサイクル」は、M&Aに2つの方法で影響を与える可能性があります。まず、投資家のアロケーションが(M&Aを通じた)「買う」戦略から(設備投資、パートナーシップ、戦略的提携を通じた)「作る」戦略へとシフトするにつれて、M&Aが縮小を余儀なくされる可能性があります。次に、AIバリューチェーン内に位置する企業や資産の戦略的買収を通じて、市場シェアと価値を獲得する機会が増えると予想されます。

データセンターとデジタルインフラへの投資の例としては、2024年6月に完了したDigitalBridgeとSilver LakeによるVantage Data Centersへの92億米ドルの株式投資、2024年9月に発表されたBlackRock、Global Infrastructure Partners、Microsoft、中東の大手AI投資家による最大1,000億米ドルの資金調達を目的としたAIパートナーシップ、2024年12月に完了したBlackstone による160億米ドルのAirTrunk買収、2025年1月に発表されたOpenAI、SoftBank、Oracle による最大5,000億米ドルの資金調達を目的とした「Stargate」ジョイントベンチャーなどがあります。

発電への投資の一例としては、Microsoftが2024年9月にConstellation Energyと電力購入契約を締結し、Crane Clean Energy Center(旧スリーマイル島原子力発電所1号機)を再稼働させたことが挙げられます。もう1つの例としては、Googleが2024年12月に発表したクリーンエネルギー開発企業Intersect PowerおよびTPGとの新たな提携が挙げられます。この提携では2030年までに再生可能エネルギーによる電力インフラに200億米ドルを投資し、クリーンエネルギーを電力源とする新たなデータセンターを米国内に構築する計画です。

データセンター、デジタルインフラ、発電へのこうした投資は、テーマや活動領域に関連したビジネス環境の変化を象徴しています。これらの活動領域は、セクターを超えた依存関係を生み出し、新たなビジネスモデル、パートナーシップ、成長への道をもたらしており、これらすべてがディールメーキングのさらなる機会を促進する可能性があります。

プライベート・エクイティのエグジットプレッシャーが増大

過去3年間、プライベート・エクイティ投資のエグジットが平均水準を下回った結果、プライベート・エクイティ投資先企業の平均保有期間が長期化しています。リミテッドパートナーからのPEファームに対する古い投資案件のエグジット圧力が高まっているため、2025年にはより多くのPE投資先企業が市場に出てくると予想されます。PitchBookのデータによると、世界のPEポートフォリオ企業29,400社のうち半数近くは2020年以来維持されています。

M&A patterns emerge

The AI Infrastructure play and the massive capital vacuum it creates

One of the latest M&A developments—and one which looks set to become a broader trend—is the growing convergence among sectors around particular themes. AI infrastructure is a case in point: the huge amount of computing power AI needs to process reams of data in a very short time requires a tidal wave of investment info semiconductors, data centers, and digital infrastructure. As a result, for the first time in decades demand is outstripping our energy capacity. Accordingly, the past few months have seen deals bringing together tech companies with energy providers and real estate players to build data centers and other major new digital infrastructure. EXAMPLES We are seeing record new capital formation through partnerships with players that had preciously not tied themselves together from big tech – the Mag 7, sovereign wealth funds, traditional PR and infrastructure. The investment needs over the next few years could easily be in over a trillion US dollars This has supercharged deals in the digital infrastructure space igniting a fire under data centers and interestingly, these deals don’t resemble traditional M&A – they have been more akin to growth capital transactions, but on a scale creating billions in investments and partnerships. We expect these new era growth capital deals to continue to proliferate in energy and data centers, in particular. However, we pause to question whether this massive capital spend will mean that big tech companies, PE and others allocate less to M&A transactions, in what would amount to a crowding out of deals as “build” replaces “buy”.

AI as a catalyst: spurring transformation and reinvention

The rise of AI plays into another major theme that will fuel M&A in 2025: corporate transformations and business model reinvention. As the AI infrastructure absorbs the capital at a record pace the onus shifts to companies across every industry to invest in leveraging AI to reinvent themselves – through the greatest catalyst in history to disrupt, reinvent, innovate and create new revenue opportunities, new partnerships, new processes and reduce costs. These have long been an essential driver of M&A activity and many global companies have announced carve-outs and disposals of some assets they deem non-core in order to refine and narrow their strategic focus. AI will act as a spur to this corporate refocusing. It promises greater growth and productivity, but also require new skills, capabilities, corporate structures, and cultures. Acquisitions can help laggards get up to speed faster, but, beyond that, a judgement of the AI readiness of potential target companies will become a necessity: dealmakers will need to build a case around how AI will or won’t affect every new deal, and we expect the thesis to state that it will impact the deal and therefore dealmakers will be forced to scenario plan and understand the sensitivities of returns.

Competitive capital

Capital availability and interest rates will be a third major driver of M&A in 2025. Yields in the leveraged loan market in the US have come down in the back half of this year, even though the rates for 10-year Treasury notes have risen. That is largely the result of growing competition between private credit —who now have almost $1.9 trillion under management—and banks returning to the lending market. Private credit shows no sign of slowing its growth. The end result is a good one for dealmakers, because it means that ever more capital is available at even more competitive prices, at a time when interest rates appear to have stabilized and may have further to fall. We note that despite cooling inflation the market remains concerned about getting inflation to the 2% target, and the US Fed just shifted its rate expectations to only 2 cuts vs four for 2025. If inflation creeps back in the market will not react kindly.

Post-election ripples: the industry effect

Finally, politics will be a wild card for M&A. For his second term as US President, Donald Trump is promising large-scale deregulation, a more favourable tax regime, the threat if not promise of tariffs, and a public-sector transformation initiative of its own focused on eliminating regulations, efficiency and cost-savings led by two entrepreneurs, Elon Musk and Vivek Ramaswamy. Even before his inauguration, key appointments to US regulatory agencies suggested a less interventionist touch in overseeing mergers and acquisition than under the Biden Administration. Yet questions remain about how far any deregulation or tax cuts could go—and whether their effect on the US and global economy would be offset by protectionist moves including tariffs on imported goods and services that could crimp growth and stoke inflation. The geopolitical world seems to have hopes of more stability and peace but there are unlimited examples of new challenges that have already cropped up including destabilization and no confidence votes in many countries such as Canada, South Korea, France and Germany and others like Syria where rebels have overthrown long standing regimes, all further clouding the geopolitical skies, without mentioning the ongoing wars. If the Trump effect is already having such far reaching implications across the world before his inauguration, what will happen on Jan 21st?

CEO confidence has improved post election. Importantly, the outright contrast between the Trump administration and its pro business fundamentals versus the restrictive policies of the prior government are duly noted. We expect major changes in key industries such as healthcare, pharma and food as the Make America Healthy Again mantra promoted by RFK Jr and his nomination as secretary of Health and Human Services. Additionally, defense, aerospace and industries selling to the government will be put under pressure as the aforementioned DOGE embarks on its mission. Technology and social media will likewise face challenges as calls for breaking up these powerhouses continue and the impact of the Tik Tok ban (or its reversal) loom large. These are just a few industries that will be in the crosshairs of the new administration and any changes could be a catalyst for M&A, particularly in the back half of 2025.

ディールメーカーにとっての前進

ディールを成功させるためには、ディールメーカーは以下のような難しい質問に答える準備が必要です。

AIは買収先企業のビジネスモデルにどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。これには、ターゲット企業や買収先企業でAIを活用するためのコストを織り込んだ、重要な分析とシナリオプランニングが必要です。

バリュエーションが堅調で、一部の国では経済成長が鈍化している市場において、期待を満たすリターンを得るにはどうすればよいのでしょうか。そのためには、価値創造を優先し、説明責任の枠組みを構築する必要があります。

リファイナンスに失敗した場合、あるいは負債が企業価値を上回ったためにM&Aプロセスが難航、遅延、中断した場合、どのような代替オプションが存在するのでしょうか。このような状況では、ディールメーカーはプランB、あるいはプランCまで策定する必要があります。

世界のどこに投資機会が残っているのでしょうか。クロスボーダーのビジネスチャンスをつかむのはより困難かもしれませんが、企業戦略、案件テーマ、各国の地政学的リスク評価を慎重にリンクさせることで、リスクに見合ったリターンを得られるかもしれません。

検討されているディールについて、安全保障を含む地政学的な影響はあるでしょうか。企業のアジリティと強力な緊急時対応計画の枠組みを構築することを含め、入念なシナリオプランニングが功を奏します。

真の夜明け、偽りの夜明け

M&A市場にとっては実に複雑な時代です。買い手側も売り手側も、ディールメーキングの復活に向けて多くのことが整っているように見えます。しかし、バリュエーションや金利から地政学に至るまで、いくつかの重要な側面が、簡単には片付けられない圧力を生み出しています。M&Aの回復に対する市場の期待はこの2年間裏切られてきたため、2025年のM&Aの新たな夜明けがまたもや偽りの夜明けにならない保証はありません。しかし、今回は多くの星が揃っています。このような市場で大規模なディールが続けば、すぐに勢いは現実化するでしょう。リスクは高く、進展は直線的ではないかもしれませんが、2025年のM&Aの勢いは、特に下半期には出てくると確信しています。しかし、それはM&Aを再び偉大なものにするのに十分なものでしょうか。私たちはそう願っていますし、金融市場はそれを期待しています。

※本コンテンツは、PwC米国が2025年1月に公開した「Global M&A industry trends: 2025 outlook」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

各国・地域別のM&A動向については、下のボックスから選択してご覧ください。

世界のM&A 業界別動向シリーズ

本ページに関するお問い合わせ