上場申請会社において、上場直前に合併、株式交換、株式移転、株式交付、子会社化や非子会社化、会社分割、事業の譲受けや譲渡などのコーポレートアクション(以下、組織再編行為等)が行われることがあります。
基準事業年度の末日から起算して2年前の日以降に組織再編行為等を行った会社が、スタンダード市場、プライム市場に上場申請をする場合、提出書類や形式要件の審査に関して、通常とは異なる取扱いを行う項目を定めています。
基準事業年度の末日から起算して2年前の日より後において組織再編行為等を行っている場合、上場申請会社の実態により近い財政状態および経営成績に基づいた審査を実施できるようにするために、組織再編対象会社等の規模・属性に応じた財務情報および監査意見等を上場申請時に提出する必要があります。
組織再編主体会社等とは、申請会社よりも規模の大きいもの(複数ある場合には、そのうち最も規模が大きいもの、ただし、上場申請会社が組織再編行為等に伴い新設される場合においては、組織再編対象会社等のうち、最も規模が大きいもの)をいいます。
組織再編に重要な影響を与える会社とは、組織再編対象会社等のうち、その規模が申請会社の規模の過半となるもの(申請会社が組織再編行為等に伴い新設される場合においては、組織再編対象会社等のうち、その規模が組織再編主体会社等の規模の過半となるもの)をいいます。
組織再編主体会社等または組織再編に重要な影響を与える会社等いずれにおいても、規模の大小は、組織再編行為等が行われた日の属する連結会計年度の直前連結会計年度に係る連結財務諸表の総資産額、純資産の額、売上高および利益の額等を比較して決定します。
なお、組織再編に重要な影響を与える会社等の判断にあたっては、原則として、直前における総資産額、純資産の額、売上高および利益の額等のうち、一項目でも規模の過半となる会社が該当します。
上場申請会社が直前々期の期首以降に実施した組織再編行為等(非子会社化、会社分割による他の会社への事業の承継又は事業の譲渡を除く)において、組織再編主体会社等が存在する場合には、申請会社の実態により近い財政状態および経営成績に基づいた審査を実施できるようにするため、形式要件の審査の取扱いを定めています。
例えば、事業継続年数は、通常、上場申請会社の株式会社としての事業継続期間を確認していますが、組織再編行為等が行われた場合は、組織再編主体会社等における主要な事業の活動期間を加算して事業継続年数を算出します。
また、売上・利益の額は、組織再編主体会社等の財務項目を審査対象とします。
スピンオフとは、企業が、子会社または自社内の特定の事業部門を切り出し、独立した会社の株式を元の企業の株主に交付する手法であり、子会社を切り出す株式分配、自社内の特定の事業部門を切り出す分割型分割の手法により実施されます。
スピンオフの直後に当該スピンオフにより独立した会社が上場すること(以下、スピンオフIPO)も可能であるため、取引所では、スピンオフIPOを行おうとする場合における新規上場申請に係る提出書類、上場審査等に関して、具体的な取扱いを定めています。
なお、スピンオフIPOにあたっては、あらかじめ余裕を持って証券会社、監査法人、取引所等とご相談ください。
東京証券取引所『新規上場ガイドブック』 Ⅶ 企業組織再編に係る取扱い
(https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/index.html)
経済産業省『「スピンオフ」の活用に関する手引』
(https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/saihenzeisei.html)