デジタルガバナンス支援

DX推進に求められるデジタルガバナンス

昨今のテクノロジーの進展やデジタルトランスフォーメーション(DX)の隆盛は、社会や企業に変革をもたらすと同時に複雑な環境変化を引き起こし、リスクの予測とコントロールを困難なものにしています。このような環境下では、企業にはリスクや機会に対する機動的なガバナンスやリスクマネジメントの整備、継続的な運用がこれまで以上に求められており、そのためには小さな成功と失敗を繰り返しながら、そこから学びを得ることでガバナンスを継続的かつアジャイルに強化することが重要となっています。

図表1:デジタルガバナンスのアジャイルな高度化

図表1 デジタルガバナンスのアジャイルな高度化

日本企業は今、経営層、ミドルマネジメント、現場のそれぞれがDX推進に関する課題を抱えています。DX推進が停滞する、あるいはDX施策が実証実験にとどまってしまう背景には、技術力の低さや人材不足よりも、次のようなガバナンスの脆弱性に起因した課題があると考えられます。

  • 事業戦略(DX戦略)の具体化や施策への落とし込み
  • 全社的なDX推進に係る組織機能の再構築(役割と責任範囲、推進・管理態勢)
  • 事業と組織、個人の達成目標の関連づけとDX推進へのコミットメント

デジタルガバナンスとは

経済産業省が企業のDXに関する自主的な取り組みを促すことを目的として2020年11月に公表した「デジタルガバナンス・コード」では、次の柱立てに則してデジタルガバナンスとして整備・強化すべき事項が示されています。

図表2:DX経営に求められる5つの柱

図表2 DX経営に求められる5つの柱

出典:「デジタルガバナンス・コード3.0」(経済産業省)

それぞれの柱立てには、企業が持続的な価値向上を図っていくためのデジタルガバナンスの考え方や望ましい方向性、実践すべき事柄が取りまとめられており、DXを実現する枠組みとプロセスを整備するにあたって必読の内容となっています。

また、このデジタルガバナンス・コードに対応することで、国からDX認定が取得できます。

デジタルガバナンスとは、企業が内外環境の変化やステークホルダーとの対話による価値共創を踏まえ、デジタルテクノロジーを活用するにあたり、経営によるリーダーシップのもと、事業戦略の実現のために機動性と健全性を兼ね備えたデジタル推進・管理態勢を確保するための機能を意味します。ステークホルダーとの信頼の空白を埋め、持続的に企業価値を向上させるDXを推進するためには、柔軟性と実効性を確保した枠組みおよびプロセスの整備と強化すなわちDX推進のための仕掛けが必要となります。

図表3:デジタルガバナンス・コードを踏まえたガバナンス構造のイメージ

図表3 デジタルガバナンス・コードを踏まえたガバナンス構造のイメージ

押さえるべきポイント

  • 経営による主導的なDX推進を前提とした事業戦略(DX戦略)に対するガバナンス
  • コーポレートガバナンスからITマネジメントまでに至る一貫した推進・管理態勢がDXの蓋然性と持続可能性を高める
  • ITガバナンス・ITマネジメントは、IT領域の開発・運用管理が主軸でありDX戦略にあわせて高度化が必要

デジタルガバナンスはコーポレートガバナンスに近い上位概念であり、事業計画(DX戦略)に対するガバナンスであることからも、全社的な組織機能と業務機能を検討する必要があります。組織体制としては、取締役会、DXを推進する執行部門、機能的な牽制・支援、内部監査といった組織総体でデジタルガバナンス態勢を構築することが重要です。

図表4:組織構造から見るデジタルガバナンス

図表4 組織構造から見るデジタルガバナンス

デジタルガバナンス整備のポイント

  • 経営のリーダーシップのもと、DXのリスク・課題を分析し、DX戦略とガバナンスを統合することが肝要である
  • 社内コンセンサスを形成しながら、経営から現場までの広い課題を捉え、既存のガバナンスをアップデートすることで、実効性のあるDX管理態勢が構築可能になる
  • ボトムアップまたは局所的なプロセス改善・強化では部分最適に陥り、課題解決につながらない。そのため、トップダウンアプローチが初期整備段階では重要になる

PwCのソリューション

PwCはクライアントのデジタルガバナンスを整備または強化するにあたり、まず現状の事業戦略・計画やガバナンス・リスクマネジメントにおける課題を把握し、DX成熟度を客観的に評価します。その上で、その企業に適したデジタルガバナンスの方向性をクライアントとともに検討し、整備計画の策定と社内コンセンサスの形成をサポートします。また、DX委員会の組成や組織機能の検討などDX推進・管理態勢に係る整備に関しても助言を行います。そして、デジタルガバナンスの運用立ち上げや、運用状況を客観的な評価、改善事項の助言など、デジタルガバナンスの強化を一貫して支援します。

PwCは、コンサルティング業務に係る実績や、DXに関する知見、監査をはじめとした保証業務を通じて培ったコーポレートガバナンス・リスクマネジメント・内部統制に係る経験を活かし、デジタルガバナンスの整備および運用を包括的に支援します。

図表5:デジタルガバナンスコンサルティング

図表5 デジタルガバナンス設備コンサルティング

提供サービス

DX成熟度評価支援

「デジタルガバナンス・コード」(経済産業省)と「DX推進指標」(情報処理推進機構)に基づき、DX推進に必要なガバナンスやITガバナンスの実態をスコアリングした「DX成熟度」として客観的に評価します。

DX成熟度評価を通じて、「デジタルガバナンス・コード」への準拠性をFit&Gap分析することで、短期および中長期的な課題を可視化する支援を行います。

関連サービス

関連事例

「DX認定」対応支援

「デジタルガバナンス・コード」(経済産業省)を踏まえ、DX推進に関する開示物のレビュー・助言や、DX認定に必要なDX戦略とガバナンスの初期整備のサポート、DX認定申請書の検討に係る助言を通じて、「DX認定」の取得支援を行います。

関連サービス

関連事例

インサイト

「DX銘柄」対応支援

「デジタルガバナンス・コード」(経済産業省)を前提に、DX推進に関する統合報告書のレビュー・助言や、DX銘柄アンケート項目の要求事項への対応など、「DX銘柄」への選定に向けて継続的に支援を行います。

関連サービス

インサイト

DX情報開示支援

「デジタルガバナンス・コード」(経済産業省)を踏まえ、DX情報開示の方針の検討支援を行います。また、情報開示の情勢や投資家の求める情報開示ニーズを踏まえたDX情報開示の在り方に関する助言も行います。

関連サービス

インサイト

DXバリュードライバー構想支援

DX戦略を「1.企業価値」「2.価値提供・信頼構築」「3.組織機能・業務機能」の3つの価値創出レイヤで捉え、DX戦略で実現すべき事項とそのつながりを明らかにし、実現事項をKPIに落とし込むことで、経営から現場までの戦略に対する共通理解を促進し、蓋然性を確保したDX戦略の強化支援を行います。

インサイト

デジタルガバナンス構想支援

「デジタルガバナンス・コード」(経済産業省)を踏まえ、DX戦略やリスク・課題認識に基づき、DX推進に関するデジタルガバナンスの枠組みやDX推進態勢に関する構想の検討支援を行います。

関連事例

DX推進・管理態勢強化支援

DX企画推進部門やDX推進委員会などの組織機能・業務機能の整備をサポートします。また、全社的なDX施策や多数のDXプロジェクトに対して、適切な経営リソースの最適配分を目的に、DX施策ポートフォリオに関する管理態勢やDXプロジェクト管理態勢の構築・評価支援を行います。

関連事例

インサイト

DX推進・管理態勢に係る内部監査/外部評価支援

DX推進・管理に係るリスクの高い事象を識別し、ガバナンス・リスクマネジメント態勢が構築・運用されているかを客観的に評価します。この評価は、内部監査支援または外部評価の形で行います。

関連サービス

インサイト

主要メンバー

宮村 和谷

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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小形 洸介

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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田中 良祐

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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松江 アレックス

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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野地 舞花

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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古川 拓馬

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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