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総人口の減少にも関わらず、訪日外国人客などに支えられて緩やかに伸びてきた日本の鉄道旅客輸送量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって国内の人の移動が大きく変容した2020年以降、甚大な影響を受けました。
緊急事態宣言やまん延防止等重点処置に基づき、人の移動は厳しく制限され、一時期は旅客輸送量が2019年比で30%程度まで落ち込む事態に陥りました。COVID-19の感染拡大によってテレワークが普及したことで、鉄道事業者は定期収入を安定的に確保することが難しくなっています。
さらに、近い将来、自動運転やオンデマンドモビリティが一般的になることが予想される中で、移動手段における鉄道の占める割合は徐々に縮小していくことが予想されます。また、メタバースに代表されるバーチャルリアリティーが普及することで、身体の移動を必要としない社会が形成される可能性も認識されつつあり、買い物や旅行に伴う移動の定期外収入すら徐々に減少していくことが考えられます。
このように鉄道旅客輸送の需要減少によって十分に収益を確保できない状況が見えている中、鉄道事業者には、これまで多角化を進めてきた事業をより深化させ、利用者の価値観やライフスタイルに合わせた事業に取り組むことが求められています。
日本の鉄道事業者は、これまで鉄道事業を基幹として、小売業、不動産業、ホテル業などの非鉄道事業に投資し、事業を積極的に多角化してきました。しかしながら、今後はこれまでの延長線上で将来の事業を捉えるのではなく、現在の事業環境の大きな変化の先にある将来像に基づいて、次の事業を見定めていく必要があります。
私たちは、鉄道業界の事業環境を将来の移動需要の変動の視点から分析し、鉄道事業者が描くべき将来像として、2つのシナリオを導出しました。
移動需要はコロナ禍以前の水準に戻ることはないという見方が大勢を占めますが、完全に失われるということは現実的にはありえないでしょう。一方で人々は、これまでに以上にそれぞれの街が持つ個性を求めて街と街との間を移動するように、行動を変容していくと考えられます。この限られた移動需要を事業に取り込むためには、人々が行き交う駅を中心として、個性ある街づくりを推進することを事業の中核とする将来像を描くことができます。
PwCでは、駅が都市における拠点として3つの役割を担い、鉄道事業者はそこでさまざまな事業を展開することが可能だと考えています。
①生活と文化の拠点(コトの拠点)
②物流の拠点(モノの拠点)
③関係人口の交流の拠点(ヒトの拠点)
カーボンニュートラルへシフトしていく過程で、今後、人の移動が極端に減少する可能性があります。鉄道は比較的環境負荷の低い移動手段として認知されているものの、鉄道事業者はカーボンニュートラルによる人々の志向の変容の影響を完全に避けることは難しいでしょう。では、志向の変容とは具体的にどのようなものが考えられるでしょうか。
欧米を中心とする先進国では近年、「20-minute neighborhood」という考え方が広まっています。生活に必要な場所へは自宅から20分以内にアクセス可能であるということを意味しており、移動することなく身近な限られたエリアで生活を完結させる潮流が出てきています。これは同時に、街は個性的な存在というより、機能的な存在としても認識され始めていると言えます。街がより機能的な存在へと位置付けられる一方、人々はメタバースに代表されるバーチャル空間において生活の豊かさを補うことを求めるようになると考えられます。
PwCでは、人々が移動せずに限られたエリアで生活を完結できる様式を「バブル」と定義し、カーボンニュートラルによる志向の変容によって「バブル」と「バーチャル」とが融合した世界観が形成され、鉄道事業者がその中で事業を展開する将来像を描いています。
PwCでは、鉄道事業者が直面している事業環境の大きな変化に対して、将来の鉄道業界の世界観にアラインすることで、以下の領域に関わる取り組みへの支援に注力しています。
対応課題
経済圏確立、沿線価値向上、MaaS、モビリティ革命、物流改革
該当領域・テーマ例
対応課題
働き方改革の推進、ハイブリッドワークスタイル、人員配置の最適化、デジタル人材の育成
該当領域・テーマ例